It is the top of the page

Link for moving within the page
To text (c)

このウェブサイトではサイトの利便性の向上のためにクッキーを利用します。サイトの閲覧を続行されるには、クッキーの使用にご同意いただきますようお願いします。
お客様のブラウザの設定によりクッキーの機能を無効にすることもできます。詳細はこちら

The main part starts here.

  1. ナレッジセンター
  2. 匠コラム

スマートに進化する光ネットワーク

匠コラム
ネットワーク

ビジネス推進本部 第1応用技術部
第1チーム
関原 慎二

5GやIoTビジネスなどBeyond 2020に向け様々な分野でML(Machine Learning)やAI(Artificial Intelligence)の活用が期待されています。そのような状況のなかでマルチベンダー、ディスアグリゲーションそしてエラスティックへと進む光ネットワークにおいてはML技術を取り込み、将来のAI技術に向けた研究が進められています。MLとSDN(Software Defined Network)を融合することで光ネットワークのオペレーションは、ヒューマンからよりインテリジェントなプロセスへ進化していくことが期待されています。

今回はMLによる光ネットワークのスマート化について、お話ししたいと思います。

光ネットワーク運用の現状

現在の光ネットワークは構築時に想定したサービス仕様によりシステム構成が”Fixed”されたものとなり、その後のサービス需要に即応するダイナミックさやフレキシブルさに欠ける面があります。例えば、新サービスの導入に向けて帯域を増強しようとするケースにおいては、光ネットワーク構成の見直しや機器の調達そして開通に向けた試験といった工程が必要な場合があり、サービスを提供するまでに多くの時間を必要とします。

しかし近年はサービスのデリバリーまでに時間を要することで新たなビジネスチャンスを取り逃してしまうことが懸念されています。さらにサービス提供後のオペレーションにおいては、障害や故障が発生してからその対応が開始される為に復旧までに時間を要すると共に、その過程はエンジニアのスキルに依存した労働集約型のスタイルになっています。

そこで今後の光ネットワークではこれらの問題解決に向けて、スマートなシステムへ進化していくことが求められています。

SDNによる光ネットワークの自動化

ソフトウェアで光ネットワークのプログラミングを行うSDN技術の登場により、光パスなどサービス設定におけるプロビジョニングの自動化が進んでいます。現在はSDNコントローラやオーケストレーション機能により光ネットワーク機器に対するコンフィグレーションの自動設定が可能なレベルにあり、さらにその制御インタフェースではオープン化が進んでいます。しかし、マルチベンダーの機器により構成される光ネットワークではベンダー毎に定義したプログラミングに大きく依存していることが多く、機器制御を抽象化し一元的に行う自動化は余り進んでいません。(*1)

そのようななかMLを取り入れた光ネットワークの学習機能やAIのアシストによりマネージメントを抽象化しマルチベンダ対応を可能にするSoftware-defined cognitive networkが登場してきました。

Software Defined Cognitive Network の登場

MLのアルゴリズムは、①Supervised Learning(教師あり学習) ②Unsupervised Learning(教師なし学習) ③Reinforcement Learning(強化学習)などに分類され、光ネットワークでは主にSupervised Learningを用いたMLによる提案が行われています。これは入力情報の学習を行い新しい入力に対してその結果を出力するもので、光ネットワークのいろいろな特性を予測するユースケースとして提案されています。

そしてこのユースケースを活用することで、Fig2に示す”Sense & Control”アーキテクチャーを適用したSoftware Defined Cognitive Networkの実現が可能となり、以下に述べるアプリケーションが期待されています。

(1) 性能及び帯域容量の最適化(Performance & Capacity Optimization)
多様なサービスを提供する光ネットワークでは現在、コヒーレント伝送やエラスティック伝送など高度な技術が導入されており、光チャネルのモジュレーションフォーマットなど考慮すべきパラメータが非常に多く複雑になっています。そこでMLを用いることにより、これらを最適にコンフィグレーションすることが重要になります。

例えば、新たな光パスの開通を行う際に事前にSupervised Learningにより対象パスの受信側での特性値(OSNR,BER,Q-factorなど)から伝送品質(QoT: Quality of Transmission)の予測を行い、QoTを満足するように送信側で最適なモジュレーションフォーマットやシンボルレートの選定を行うことができます。

また、光アンプ(EDFA)をマルチスパンで使用する光ネットワークにおいてはSupervised learningを使用した回帰予測により、光チャネルのAdd/Drop時の光パワーレベルの変動を最適化設定する試みも行われています。

(2) 予測保守(Predictive maintenance)

従来、光ネットワーク機器の性能や障害に関するデータはSNMP(*2)を介してオペレータに通知されていますが、そのデータ量は膨大なものになっています。そして一定の閾値を超えたアラームの検出や障害が発生してから初めてその事象に関するデータの解析や対応が行われることになり、必ずしもデータの有効活用がされていません。

そこで、もし障害や故障が発生する前にそれらの情報を使用して予測が可能になれば、サービスに大きな影響を与えずに対処可能となることが期待されます。現在、MLによりWDM装置に使用する光モジュールなどの故障を予測した保守も開始されています(Fig3)。

今後はモニタリング技術もSNMPからテレメトリー技術へ移行することで、光ネットワーク全体での故障や障害予測が可能になり、例えば光ネットワークの品質劣化によるエラー予測を元に、障害が発生する以前に最適な光パスルートへの変更を行うようなオペレーションも期待されています。

まとめ

今日までの約10年間に光ネットワークは高機能なハードウェアとソフトウェアをSDNプラットフォームに導入することで自動化が進んできました。そしてネットワークをモニタリングすることで得られる大量のデータをMLアルゴリズムを使用し自ら学習することにより、機敏でダイナミックに適応可能な光ネットワークの実現へと進展しています。

さらに今後はAIの進歩により人間の言葉やインテントベースでのワークフローの実現が可能となり、OPEXなどコスト削減や生産性の向上が期待されています。

※1 OpenROADM, ONOS, OpenConfigなどのCommunityではマルチベンダを前提としたオープン化を進めています。

※2 SNMP:Simple Network Management Protocolの略、TCP/IPネットワークに接続された通信機器に対し、ネットワーク経由で監視、制御するためのアプリケーション層プロトコル

参考文献

執筆者プロフィール

関原 慎二
ネットワンシステムズ株式会社 ビジネス推進本部 第1応用技術部 第1チーム所属
通信機メーカ入社後、キャリア向け伝送装置のハードウェア開発、LSI設計等に従事。
ネットワンシステムズではオプティカル製品(FTTH、WDM)の評価、検証及び案件技術支援を担当。

  • ADVA Certified Expert #083193
  • 工事担任者デジタル1種

Webからのお問い合わせはこちらから

ナレッジセンターを検索する

カテゴリーで検索

タグで検索