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WDM光伝送装置の新しいコンセプト Open Optical Line System(OOLS)とは?

匠コラム
ネットワーク

ビジネス推進本部 応用技術部
コアネットワークチーム
松井 裕二

光伝送装置はTDM/ADMの時代(1990年代)から、MSPP、MSTP、P-OTSなど、1台の装置筐体に複数のレイヤ、機能を統合化する方向で進化が進んできました。しかし最近は、それとは逆に、光伝送装置は本来の「拠点間をWDMで結ぶ」という機能だけに特化し、他社製を含む上位レイヤ装置との連携性を重視した Open Optical Line System(OOLS)というコンセプトが注目されています。

多機能な伝送装置の特徴

P-OTSなどの多機能な伝送装置には、下記のような特徴があります。

  • 複数の機能ブロック、サービスカードを1つの筐体に搭載し、バックプレーン・バスで接続することにより、冗長化された電源部、冷却ファン、制御部などを共有できる。
  • 全体を統合する事で、全体として価格が低減できる。
  • レイヤを跨ぎ、1つのNMSで統合的に監視・制御が可能。

ところが、ハイパフォーマンスのスイッチングが必要なクラウド事業者のDCI(データセンター間接続)などの分野で利用する、統合化された多機能な伝送装置では、下記マイナス要素が指摘され始めました。

1) 適材適所の投資が困難
全拠点に多機能な装置を共通に配備することになりがちで、結果としてコスト高になる。

2) 最先端・最高性能を必ずしも享受出来ない
多機能な装置は、それぞれの機能ごとには、最先端・最高性能とは限らない。

3) 技術革新のライフサイクルへの適応が難しい
WDM、光トランスポート、TDM/パケット・スイッチングなど、それぞれの機能で新しい技術が出てくるタイミングは同時では無いのに、全て同時に機器更新しなければならない。

4) メーカー選定の自由度が低下する
それぞれの機能について、より得意なメーカーの製品を個別に選ぶことができない。

OOLSによる原点回帰

多機能な伝送装置のマイナス要素をカバーすべく、Open Optical Line System(OOLS)では、WDM装置の基本機能である、拠点間に信号を運ぶ機能だけを切り出して構成する考えに基づきます。
パケット・スイッチングなどの上位レイヤの機能は、得意とするメーカー各社に任せ、WDM装置側では自社のラインカードだけでなく、他社スイッチなどと組み合わせて使えるようにしています。そのため、ユーザは必要な拠点だけに必要な投資をし、機能ブロック毎に好みのメーカーの最先端・最高性能の製品をいち早く導入していくことが可能となるのです。

一般的なWDMは、大別ずると3つの機能部「Transponder」「Mux/Dmux(Roadm含む)」「Amp」で構成されます。

一般的なWDMの構成イメージ

一方、OOLSでは、スイッチにWDM対応のインタフェイス(ColoredのPlugなど)を取り付け、WDM装置に波長チャンネルとして直接収容することが可能です。この機能自体は目新しいものではありませんが、最近、広帯域な接続とハイパフォーマンスなスイッチングが必要なDCIの分野を中心に、重要な選択要素となっているケースもあるようです。

Open Optical Line System (OLM)のイメージ

例えば、マイクロソフトは自社の巨大かつ成長していくデータセンター・ネットワークにおけるDCIの解として、このOpen Optical Line System的に展開する方向性を表明しており、Arista製スイッチをOOLSに直収する構成での検証結果を発表しています。(※1)

このように広がりをみせるOOLSですが、実際にフィールドに取り入れて実際に動かすためには、データが通るだけの確認だけでは不十分です。通常は、スイッチと伝送装置メーカーとの間で相互にインテグレーション(動作検証やインター・オペラビリティのための機能追加・実装調整)が必要であり、以下の確認も忘れてはいけません。

1) データ・プレーンのインテグレーション
データの疎通や回線切り替わり

2) マネージメント・プレーンのインテグレーション
相互接続性および上位のネットワーク・マネージメント・ソフトウェアでの
トポロジー表示やアラーム監視

3) コントロール・プレーンのインテグレーション
エンド・ツー・エンドの回線プロビジョニングやSDN対応など

まとめ

弊社が販売しているADVA Optical Networking社のWDM装置は、Juniper社やArista社の製品と親和性が高く、各社のスイッチと組み合わせてOOLSとして使用できるようにメーカーの方でインテグレーションされています。

例えば、スイッチ側に100Gコヒーレント変調のインタフェースを実装し、WDM光伝送装置の波長チャンネルとして直接収容する構成においても、インテグレートされたシステムとして統合的に動作させることが可能であり、拠点間接続などのシンプルなネットワークで有用な選択肢となります。

分野、市場によっては、多機能に総合化されたシステムより、OOLSのように本来機能に特化した製品に回帰している流れが一部であること、記させて頂きました。

略語:
MSPP(Multi Service Provisioning Platform)
MSTP(Multi Service Transport Platform)
P-OTS (Packet Optical Transport System)
DCI (Data Center Interconnect)

参考文献

執筆者プロフィール

松井 裕二
ネットワンシステムズ株式会社 ビジネス推進本部 応用技術部 コアネットワークチーム
所属
通信機メーカにて、NTT向け、管民需向け伝送ビジネスのシステム設計業務に従事
ネットワンシステムズ入社後、オプティカル製品(SONET/SDH,、RPR、WDMなど)の評価、検証及び案件技術支援を担当

  • ADVA Certified Expert #083192
  • 監理技術者

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