クラウドネットワーキングのインフラとして、改めて注目を浴びるIP over WDM

ビジネス推進本部 応用技術部
コアネットワークチーム
松井 裕二

以前のコラムにてOpen Optical Line System(OOLS)と呼ばれる『光伝送装置を分割して上位レイヤとの連携を重視したコンセプト』について述べました。今回はこのOOLSコンセプトを実現する構成(= IP over WDM)での検証をArista社およびADVA社の協力の元、実機を使った検証機会を得ましたので、その結果を要約してご説明致します。

OOLSコンセプトのIP over WDM検証とは

Cisco、Juniper、AristaなどL2/L3 Switchを提供している主要なメーカでは、以前よりWDM対応のインタフェースモジュールをリリースしております。このモジュールにColoredのPlugを取り付ける事で、トランスポンダとしてのWDM波長チャネル信号を出力する事が可能です。

Arista社のクラウド・ネットワーク向けに設計された製品7500シリーズでもWDMモジュールをリリースしており、ColoredのPlugを搭載する事で100G/200G WDM波長信号を出力することができます。

今回の接続検証ではAristaスイッチに搭載したトランスポンダからのWDM波長信号とADVA WDM内のトランスポンダから出力される信号を波長フィルタにて多重化する事で、OOLSコンセプトを実現できるかどうかを確認しました。また、監視にはADVAのNMSを用いてAristaスイッチを含めた統合的な見え方と、伝送路障害発生時の通知について確認しました。

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検証構成と検証内容/結果

Arista 7500Eシリーズに搭載したWDMモジュールでは、CFPから出力する波長、及び光出力Power値をCLI上で任意に設定可能であり、波長においては、ITU Grid spacingに準拠した99CHの中から、変調方式もインタフェース速度に応じて選択します。

Aristaから出力された波長は、外部の波長フィルタ(今回はADVA社のWDMフィルタ)を介して多重化され、WDMシステムとして繋がります。

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Arista 7504E/7508EとADVA FSP3000R7

 


実際のネットワーク構築では、利用するダークファイバ損失などを加味して線路設計する必要あり、アンプなどの増幅装置利用も配慮しなければなりませんが、Point-to-Pointトポロジで且つ、許容損失の範囲内であればアンプも使わずに組む事が可能です。

これは、IPネットワークの運用者から見れば、WDM製品を習熟する事無く、セキュアで運用管理が容易なシステムが構築出来るというメリットに繋がります。

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それでは検証結果の説明に入りますが、主とする着眼点は以下2点です。
①ADVA NMS上でのArista機器の認識
②伝送路(WDM区間)障害時のイベント通知

<結果>
①ADVA NMS上でのArista機器の認識
ADVA NMS上でArista 7500Eシリーズの登録(認識)を確認でき、Aristaに実装されているモジュールのInventory情報も取得出来きました。

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ADVA NMSでの各機器登録状況

 


②伝送路(WDM区間)障害時のイベント通知
伝送路(WDM区間)障害時には、インタフェースのLink DOWNを示すイベントログを通知する事を確認できました。Severity Levelの変更(例えば、CriticalMajorへ)にも対応しています。

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Alarm画面に表示されるログ

 


今回のネットワーク構成においてADVA NMS利用は必須ではありませんが、NMS上のAristaサポート状況より互いのメーカが協業している事が確認出来ました。

IP over WDM選択時のメリット、デメリットについての考察

WDM装置が持つトランスポンダ部分をスイッチ側に搭載する事で低遅延な相互接続を実現します。また、WDMインタフェースを削減できるため導入時の機器コストは概ね下がる傾向にあり、ネットワーク機器に精通したオペレーション知識で運用可能となります。

しかし、専用のWDM装置と比較するとライフライクルが早いスイッチ製品にトランスポンダ部分を持たせることになる為、長期で見た場合はコスト高となる可能性はあります。また、Ethernet以外のインタフェース(OTN、SONET/SDH、FC、InfiniBandなど)の収容が出来無いなどデメリットもあります。

メリット・デメリットを総合的にとらえると、短距離区間のクラウド・ネットワーク向けDCI接続(Point-to-Pointトポロジ)での利用であれば、管理性向上やTCO削減などのメリットを得る方が多いかも知れません。

尚、今回の検証では、AristaおよびADVA製品いずれも大型のシャーシを利用しましたが、互いに小型シャーシもラインナップとして予定されており、ラックスペースに考慮したスモールサイズ(Arista製品/1RU、ADVA WDM/1RU)での実現が可能となります。

まとめ

弊社が販売しているADVA Optical Networking社のWDM装置は、Juniper社やArista社の製品と親和性が高く、各社のスイッチと組み合わせてクラウドインターネットワーキングのインフラとして利用されています。

今回のOOLSコンセプト構成(IP over WDM)では、拠点間接続などのシンプルなバックボーンネットワークとして有用な選択肢となり得る事を、実機検証を通して確認し報告させて頂きました。

今後は、マネージメントを含めたOOLS連携についても、引き続きモニタしていく予定です。
 

参考文献

Road to 100G – 100G の現状
Road to100G-100Gインフラを導入するメリット
Road to 100G – 100G 高信頼性の実現、冗長技術について
Beyond 100G をめざすオプティカル技術
Beyond 100G 光通信を支えるオプティカル技術
通信システムでソフトエラーが発生!
WDM光伝送装置の新しいコンセプト Open Optical Line System(OOLS)とは?
ファイバからの盗聴を防止する光トランスポート暗号化技
光トランスポートとコラボするFlex Ethernetって?

 

執筆者プロフィール

松井 裕二
ネットワンシステムズ株式会社 ビジネス推進本部 応用技術部 コアネットワークチーム
所属
通信機メーカにて、NTT向け、管民需向け伝送ビジネスのシステム設計業務に従事
ネットワンシステムズ入社後、オプティカル製品(SONET/SDH,、RPR、WDMなど)の評価、検証及び案件技術支援を担当
・ADVA Certified Expert #083192
・監理技術者

イベント/レポート

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