- サステナビリティ
- ESGの取り組み
2025.1.22共に未来を創ろう!〜SROIが導く新たな一歩。Jリーグクラブと地域が描くサステナブルな社会~
ABOUT ~この記事を書いた人~

SHIOTSUKI NATSUMI
大分市出身。2009年よりネットワンシステムズ(株)専任フォトライターとして“大分トリニータの今”を社内向けにレポート。
その他、大分県内を中心にスポーツや企業紹介、観光関連、グルメなど様々なジャンルのフリーライターとして活動は多岐に渡る。

大分トリニータのオフィシャルスポンサー、ソーシャルアクションパートナーとしてスポーツを通した社会貢献に取り組んでいるネットワンシステムズ。その歩みは今年で17年目を迎え、トリニータや大分県と“共に成長、共にチャレンジするパートナー”として強い絆を築いています。
2024年のホーム最終戦では“ネットワン冠デー”として、トリニータを応援し共に歩む仲間が集まり、産官学連携による地域貢献イベントを実施。同時に社会貢献活動の社会的効果を可視化するSROI(Social Return on Investment:社会的投資収益率)調査も行いました。
今回は、その結果から次のアクションにつなげるべく開催された「産官学連携SROIプロジェクトの成果報告会」と「サステナビリティワークショップ~Jリーグクラブと共に創る地域社会の未来についてみんなで考える~」の模様をお伝えします!

開催されたのは“新しい価値を創造し豊かな未来を切り拓くチャレンジの場”をコンセプトとしたネットワンの事業拠点「イノベーションセンター(netone valley)」。
産官学連携地域貢献イベントの、企画から運営まで携わったメンバーが一堂に会し、報告会とワークショップの2部制で実施されました。

開催概要
- 開催日時:2025年1月22日(水)
- 会場:ネットワンシステムズ イノベーションセンター(通称:netone valley)
- 参加者:
ネットワンシステムズ・大分FC・大分県・日本文理大学学生・ジェイリースFC・株式会社大分放送(OBS)、帝京大学塚本研究室、筑波大学松尾研究室 総勢50名程
※大分大学学生は都合により不参加 - プログラム:
<第1部>ネットワン×大分トリニータ産官学連携SROIプロジェクト成果報告会
<第2部>【サステナビリティワークショップ】みんなで考える、Jリーグクラブと一緒に取り組む社会貢献活動
第1部:ネットワン×大分トリニータ産官学連携SROIプロジェクト成果報告会
報告会はネットワンシステムズよりプロジェクトの全体概要や産官学連携イベントの実施内容の共有の後、SROIの調査・分析結果が帝京大学の塚本拓也先生、筑波大学の松尾博一先生から伝えられました。
<SROIとは>
社会的な活動に対して資金やリソースが投じられ、プロジェクトが実施された結果として発生した社会的インパクトについて、貨幣価値に換算された定量評価を行うものです。この指標では、社会・環境・経済面の費用と便益とを以て様々な活動による社会的インパクトを評価し、経済的な価値だけではない目に見えない価値を適切に評価することを目的としています。

塚本先生からは、総じて、今回のイベントでは、ステークホルダー(関係者)全体で投じられた費用に対して4.21倍の価値が得られたことが報告されました。これは、100円を投じた場合、421円の社会的価値を生み出すことができたイベントだったというポジティブな結果になりました。各ステークホルダーの結果に対する、評価や今後に向けた改善ポイントも伝えられました。
<結果の詳細はこちらをご覧ください>
ネットワンシステムズ、大分トリニータとの産官学連携地域貢献イベントでSROI分析(社会的投資収益率)を実施 | ネットワンシステムズ

松尾先生からは、どのようにSROIが計算されるのか?そのプロセスや評価方法についてご説明がありました。
SROIは全体の数値が良かったか、悪かったかだけを見るのではなく、ステークホルダー毎の結果も丁寧にみて今後に繋げていくことが重要であり、社会的に注目を集めるテーマ設定や、より影響力の強いステークホルダーと連携することで、イベントが生み出す社会的価値を増幅できる可能性があることが伝えられました。
社会貢献活動は今、広がりの輪を見せていますが、それがどのような社会的効果になるかは見えにくいもの。今回のSROI調査では、定量調査の対象として来場されたサポーターの方々にもアンケートを行いましたが、今後もその生の声を大切にしながら社会や地域に活かしていける大きなツールになると感じました。

その後も各団体、学生から結果を受けた思い、それぞれが行っている社会貢献活動についての発表がある中で今後も大分県、大分トリニータを盛り上げていきたいという想いが多くありました。また今回SROIの調査に取り組んだ帝京大学の塚本研究室学生さんからは、2025シーズンの具体的な取り組みの一つとして、不要になったスポーツ用品が新しい価値あるものに生まれ変わる「スポーツアップサイクルワークショップ」の提案も発表されました。例えば、パンクしたボールや使わなくなったユニフォームを使ってキーホルダーやコースターを作るワークショップを開くなど学生ならではの新しいアイディアが聞けました!


第2部:【サステナビリティワークショップ】みんなで考える、Jリーグクラブと一緒に取り組む社会貢献活動
SROIの結果報告を通じて今回の活動の社会的インパクトを振り返るなかで、更なる価値創出に向けた課題や可能性が見えてきました。そこで第2部では、より大きな社会的インパクトを生み出す次のアクションを考えるために、Jリーグのサステナビリティ方針に基づき「環境アクション」に焦点を当てたワークショップを開催。Jクラブと地域、企業が連携し、持続可能な未来に向けてどのような取り組みができるのか、多様な視点から自由な発想で議論を行いました。


各テーブルは各企業や大学など、異なる立場の方々が交わる形で構成。特に学生を中心に活発な議論が交わされ、若い世代ならではの斬新な発想や柔軟なアイディアが次々と生まれました。
~生まれたアイディアの一部をご紹介~
- ゴミを集めて利活用作戦!!
CO2削減のためにゴミを減らし、車の利用も抑えたい。しかし地域の特性上、車の利用やゴミの発生を完全に避けるのは難しい。そこで、「ごみを利用しよう」という逆転の発想からうまれたアイディアです。
・試合時にスタジアムでリサイクル回収を実施(ペットボトル、古着など)
・地元の環境整備企業と連携し、リサイクルを雇用促進につなげる
・参加者のモチベーション向上のため、CO2削減量を「見える化」し、ポイント制を導入。(貯めたポイントでクラブグッズや特別体験がもらえる、楽しみながら環境保全への意識を自然と高める仕組み)
- 温活プロジェクト
大分の名産である温泉を活用した環境アクション。現在、一部の温泉では温度低下や資源枯渇が課題となっており、このプロジェクトを通じて地域住民が「自分ごと」として環境問題に向き合うきっかけを作ります。
・温泉を活かした気候変動対策を考える(CO2削減と地域資源の保全)
・県民が主体となって「温活プロジェクト」に参加し、環境問題を学ぶ
・「大分らしさ」を活かしながら、持続可能な地域づくりを推進
- 親子でマイボトル
スタジアムをはじめ、シーズンを通してプラスチック排出削減を目指す啓発イベントを実施。特に親子での参加を促し、次世代に向けた環境意識の向上を図るものです。
・試合会場で「マイボトル推奨キャンペーン」を実施
・親子で楽しく学べる環境イベントを開催し、日常生活にも取り入れやすい仕組みを作る
・短期的なイベントで終わらせず、シーズンを通して継続的に取り組む
その他にもスタジアムへ自転車や歩きでの来場を推奨してCO2削減と健康促進に同時に推進していこうといったアイディアや、海ごみ拾い活動を通じて環境保全意識および観光資源としての魅力を同時に高めることで地域経済へも貢献していこうといったもの。大分県の再生可能エネルギーの自給率の高さを活かした自家発電体験プログラムや古いユニフォームを推し活グッズとして再活用しようといったアイディアが生まれました。



今回のワークショップでは、地域資源や大分県の特性を生かした環境アクションが多く生まれ、身近な問題から地域を巻き込む視点が強調されました。どのグループも、まずは誰もが参加しやすい形からスタートし、長期的にはJリーグクラブ全体への活動を広げていくことで、より大きな社会的インパクトを生み出すことを目指しており、今回のSROI評価を踏まえた議論を通じて、持続可能な社会の実現に向けた具体的な枠組み作りの第一歩を踏み出すことが出来ました。
<参加した学生さんのコメント>
- Aさん「今回のワークショップで、ネットワンの方や、トリニータの方にたくさんお話を聞かせてもらいものすごく学びになりました。私は現在大学で、スポーツサステナビリティを学んでいるので、今後のJリーグのサステナビリティという観点から、シャレン活動や、今回のような産官学連携プロジェクトなどの活動を持続可能性のある活動にして行けるかを考えて行きたいと思いました。」
- Bさん「これから自分がスポーツに関わる職に就いても就かなくても、実際に企業のプロジェクトに参加し、その報告会でどのように改善していくかなどの話を聞けたのはすごく良い経験になりました。社会人になってからも新しいアイディアを考えさらにより良い活動を生み出せるように活かしていきたいです。またnetone valleyの見学ツアーでは、会社の設備がすごく充実していて驚いたし、社員の方の雰囲気まで近くで感じることができとても楽しかったです。ありがとうございました!」

<参加した学生のみなさん>
この会を通じて感じたのは、多くの人が集まること、共に手を組むことで生まれる意見の広がりや、ジャンルの違う一人ひとりの力が集まることで想像もしなかった発想を知れることの大切さでした。“社会貢献活動”とひと言で言っても、その目標に向かう道のりは無限大。大分トリニータを支え、愛する人たちの大きなパワーを感じる1日になりました。

ネットワンシステムズはこれからもスポーツを通した社会貢献活動を継続しながら歩みを続け、大分トリニータと共に笑顔あふれる未来を創出していきたいと思っています。