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CAD on VDIの今を知る

匠コラム
働き方改革
仮想化

ビジネス推進本部 応用技術部
EUC・SDI開発チーム
川原 尚人

近年、企業におけるCAD on VDIの本格導入が進みつつある。
本コラムでは、CAD on VDIが求められている背景と、企業のシステムに本格導入する際に検討すべき内容を、2回に分けて紹介する。

ワークスタイル変革の重要性

近年のワークスタイル変革の波により、どの業種においてもワークスタイルの変革が求められていて、ワークススタイル変革への取組を本格的に進める企業が増加している。企業によりワークスタイル変革をする目的は様々だが、「生産性向上」、「グローバル化への対応」、「ビジネススピードの加速」といった部分は、多くの企業が共通で持つ目的である。
仮想デスクトップ(以降、VDI)を導入し、「いつでも」、「どこでも」、「どのデバイスでも」、「セキュア」に業務をすることで、働く場所を問わない柔軟な働き方が可能となり、結果として社員の満足度向上につながる。しかし、VDIだけでは不十分と言える。社員同士のコミュニケーション不足が発生する可能性があるからだ。
この部分は、チャットやビデオ会議システム、ウェブ会議などのコミュニケーションツールの導入で解決できる。なお、VDIやコミュニケーションツールの導入だけではワークスタイル変革の実現は難しく、企業制度や、従業員の働く空間について検討する必要がある。より詳細な内容については、(第1回 ワークスタイルの変革とポストPC時代に備える業務基盤)で紹介している。

CAD on VDIが注目を浴びている理由

VDIは、サーバに搭載されているCPUや主記憶装置などのコンピューティングリソースを複数のユーザが共有利用する性質を持つシステムのため、負荷の高い処理を実行するアプリケーションの利用時は制限事項が多かった。最たるものが、グラフィック処理を主に行う3D CAD(以降、CAD)である。自動車業や建築業、造船業、広告業をはじめ、多くの企業ではCADを利用し設計業務をしている。負荷の高いグラフィック処理をするためには優れた性能を持つGPUが必要であるが、CPU処理をメインに行うVDIではグラフィック処理性能が乏しく、設計者が実務利用するには程遠いものであった。結果として、高いグラフィック処理を必要とするCADのようなものはVDIでは不向きと言われ続け、CADを利用した業種にVDIの導入が進まなかった。しかし、VDIの技術革新と市場のニーズが高まり、2013年にGPUメーカのNVIDIA社からVDIに最適なGPU(NVIDIA GRID)が提供された。VDIに対応したGPUの登場をきっかけに、CAD on VDIに対する注目度が上がりつつある。まだまだ、製造業を中心として市場を賑わせているが、業種依存はなく、CADやグラフィック処理が必要な環境において活躍が期待できる。

図1:CAD on VDIの利用シーン

CAD on VDIの効果とは?

上述の通り、CAD on VDIはVDIでCADを動作させる仕組みや概念を指す。
簡単に言うと、GPUを搭載した物理端末をVDIにしただけと言えるが、「VDIにした」という部分が非常に重要なことである。ワークスタイル変革を実現には、VDIの導入が重要だと紹介したが、CAD on VDIもVDIを利用している。そのため、「ユーザの柔軟な働き方」、「セキュリティ対策」と、VDIの恩恵を受けられ、ユーザにとっても、管理者にともって非常に多くのメリットがあるのだ。
CAD on VDIに特化した導入効果もあるため、2つピックアップして紹介する。

  • 業務空間の効率化
    設計者によくある話だが、設計者は自身に割り当てられた作業スペースに、CAD用途や業務用途の端末と複数のディスプレイを置き、自身の作業スペースを目一杯使用して業務を行う傾向が強い。作業スペースに余裕が無い環境だと、集中力が低下し作業ミスが発生に繋がる可能性がある。CAD on VDIの導入により、VDIに接続する端末を1台と、ディスプレイを1台~2台用意するだけで、広々と作業スペースを確保でき、集中した設計業務が行える。

  • 業務時間の有効活用
    一般的な企業だと、本社やデータセンターにファイルサーバが置かれ、拠点のユーザはWANを介してファイルサーバにあるデータにアクセスをする環境が多い。LANと比較してWANは帯域幅が狭く、距離遅延もあるため、ファイルアクセスの遅さにストレスを感じるユーザもいる。
    CADのような、数GBから数十GBの大容量データにファイルアクセスする環境を想像して頂きたい。WANで数十GBの大容量データを読み込むと、数十分間データ転送に時間を要し、無駄な業務時間が発生する可能性がある。CAD on VDIの導入により、ユーザのデスクトップ環境とファイルサーバを同一データセンターに集約し、デスクトップ環境とファイルサーバ間をLAN接続にすることで、高速なデータ転送が可能となる。CADデータの読み込み速度が向上し、CADデータの読み込み待ち時間の削減効果があるとともに、ファイルアクセスの遅さに対するストレスからも解放される。また、ワークステーションなどの物理環境の場合、OSやCADソフトウェアなどのセキュリティパッチ・バージョンアップ作業など、ワークステーション毎のメンテナンス作業がCAD業務を阻害することになる。VDI化することで、このようなメンテナンス作業はデータセンターで一元的に実施できるため、CAD業務への影響も軽減することが可能だ。
    上記では2つを例にして導入効果を紹介したが、まだまだ多くの導入効果はある。下表を参考にして頂きたい。

図2:CAD on VDIの導入効果

今回、CAD on VDIが求められている背景を中心に、ワークスタイル変革の重要性と導入効果を述べた。次回、CAD on VDIに必要な技術成要素と、導入に至るまでのステップ、システム設計における勘所を紹介する。

執筆者プロフィール

川原 尚人
ネットワンシステムズ株式会社 ビジネス推進本部 応用技術部 EUC・SDI開発チーム所属

NetApp社ストレージの技術担当、Cisco Systems社のコラボレーション製品の技術担当を歴任し、現在はVDIの技術担当として案件支援や評価検証に従事。

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