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第1回 無線LANを介してVDIを利用するときに意識する特徴と課題

匠コラム
ネットワーク
仮想化

ビジネス推進本部 第1応用技術部
スイッチワイヤレスチーム
丸田 竜一

今回はワークスタイル変革を支える無線LANとVDIを利用するためのポイントについて説明する。
どちらも先進的なテクノロジを活用した便利なツールではあるが、組み合わせて利用するには課題も存在する。今回、紹介するポイントは“ネットワーク遅延”である。

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連載インデックス

ここ10年、無線LANは802.11b/gから11n、11acと通信規格を強化してきた。それに伴い、企業や一般家庭、公衆での利用も増えてきている。一般的にはWi-Fiと認知され、PCやスマートデバイスを使用する多くの人が利用している通信規格である。オフィスに高度に設計された無線LANが導入することも増加傾向にある。

加えて、サーバ上に構築したデスクトップ環境をリモートで操作するVDIという仕組みが企業を中心に利用されてきている。VDIとは、データセンターなどに置かれたサーバ上でWindowsなどのOSを動作させ、ユーザーの端末へはインターネットを介して画面を転送する仕組みである。ユーザーはあたかも手元の端末でPCを操作しているように使うことが出来る。インターネットへの接続環境があれば、どこからでも、どんな端末からも、自分のデスクトップ環境を利用出来る。このことから、ワークスタイル変革の実現やセキュリティ対策の面から導入する企業が増えてきている。

どちらも先進的なテクノロジを活用した便利なツールである。さらに、VDIと無線LANを組み合わせることで、フリーアドレスやテレワークなど、ワークスタイル変革を推進することが出来る。しかし、この組み合わせには課題も存在する。今回、紹介する課題点は“ネットワーク遅延”である。

無線LANは知っての通り、空間を飛び交う電波使って通信を行う。電波を使って通信を行うことでケーブルを使わずに通信できることから、この面ではとても便利である。しかし、電波を使う無線通信であるゆえに、有線通信よりも遅延が大きく、パケットロスが増え、ネットワーク帯域も狭まる傾向がある。特に遅延は、無線LANに実装されるCSMA/CAの仕組みなどが原因である。

CSMA/CAは通信を開始しようとする電波空間に別の信号が流れていないかを確認するために一定時間送信を待機し、電波空間の通信状況を確認したのちに送信を開始するようになっている。待機中に別の通信が確認された場合は、さらに送信を待ち、別の通信がやんでから自らの送信を行う。無線LANは有線LANと違い半二重通信であるため、この仕組みが実装されている。半二重通信であるということは、通信の量や接続端末数が多ければ多いほど、通信タイミングがバッティングしやすくなり、さらに遅延が増大していくのである。このように、無線LANは“遅延”が発生しやすい通信媒体と言える。

対してVDIは経路上のネットワークからの影響を受けやすい。特にネットワーク遅延に対して敏感なアプリケーションであるという特徴があり、VMwareが採用するPCoIPでの検証からも確認できている。これは、VDIはデータセンターにあるデスクトップ環境を、離れた場所から利用するためである。

一般的なPCではキーボードやマウスを操作したとき、その情報はすぐに手元のPCに伝わり、即座に画面に表示される。例えば、文字入力をしたときには、すぐに入力した文字が画面に表示されるし、マウスをクリックするとそれに応じて画面が変化する。手元のPCであれば当たり前な動作だが、VDIでは考慮が必要なポイントである。

一般的なPCと違い、VDIの異なる点は、画面転送を使用しているという点である。ユーザーが操作するデスクトップ環境は、実際にはデータセンターのサーバ機器上で動作している。しかし、ユーザーが見るディスプレイや、操作するキーボードやマウスはデータセンターから離れたユーザーのすぐ手元にある。ユーザーが文字を入力したり、マウスをクリックしたりする動作は、インターネットを介してサーバ機器上で動作するデスクトップ環境に伝わる。それに応じて画面の変化がユーザーの端末に配信される。

この仕組みから、ネットワーク遅延の影響を考えてみる。例えば端末からサーバ機器まで500msecの伝送時間がかかったとすると、往復の伝送時間は1000msec、すなわち1秒になる。この環境ではユーザーがキーボードやマウスを操作してから、画面表示に反映されるまで1秒の時間がかかってしまうということである。

入力に即座に反応しないことをユーザーが認識すると、「PCが重い」と感じ、ユーザーはストレスがたまってゆく。このことから、VDIはネットワーク遅延にとても敏感なアプリケーションであるといえ、ネットワーク遅延は限りなく少なくしたい。しかし、ネットワークを介すVDIはこのネットワーク遅延をゼロにすることが出来ない。サーバ機器とVDI端末の間のネットワーク遅延をいかに少なくできるかが、VDIを利用する上でのポイントのひとつと言える。

特に遅延が発生しやすい無線LANと、ネットワーク遅延に敏感なVDI。一般企業では導入が進んでいるツールには、特徴と課題が組み合わさる。この組み合わせをどのように使いこなすか、次回のコラムではこの問題の解決策を紹介する。

執筆者プロフィール

丸田 竜一
ネットワンシステムズ株式会社 ビジネス推進本部 第1応用技術部 スイッチワイヤレスチーム
所属
無線LANの製品担当SEとして製品や技術の調査、検証評価、及び、提案や導入を支援する業務に従事

  • 第二級陸上特殊無線技士
  • 第1回 シスコ テクノロジー論文コンテスト 最優秀賞

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