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データセンタ間接続(DCI)で活躍が期待される400ZR

匠コラム
プロダクト
ソリューション
データセンター

ビジネス開発本部 第3応用技術部
第4チーム
関原 慎二

 

 COVID-19パンデミックにより我々のライフスタイルが大きく変わろうとしています。現在、テレワークやビデオストリーミングなど個人が扱うデータが爆発的に増えており、データセンタネットワークではトラヒックの増加に伴い100GbEへの移行が加速しています。特にハイパースケール、クラウドデータセンタにおいては、増え続ける帯域への要求から2021年以降は400GbEの展開も予定されています。また、データセンタ間接続(DCI)においても100G光トランシーバ需要が急増しており、今後の400GbEシフトに向けてデータセンタスイッチのポートに実装してDCIを行う400G光トランシーバが期待されています。今回はDCI向けに注目されている400ZR光トランシーバについてお話したいと思います。

リージョナル データセンタへのシフト

 近年、巨大化が進むデータセンタ(DC)はそのスペースや消費電力からの制約、さらに災害対策の視点から一か所に集中するのではなく複数の拠点に分散して配置するリージョンエリア型のDC構成へと移行しています。その為、エンドユーザ向けトラヒック(North-South traffic)に比べDC相互のトラヒック(East-West traffic)は増加を続けています。そして5G,IoTやストリーミングなどのアプリケーションに対応するためには、これらのDC間を大容量で接続することが要求されます。さらにその性能を担保するには低遅延での接続が必須となり、光ファイバーの物理的な遅延を考慮するとDC間の距離はおおよそ100km以内とされています。

通常、拠点間で光伝送を行う場合はWDMなど専用の伝送装置を介して接続を行いますが、このような構成をDC間接続に用いるとスイッチと接続するクライアント用のトランシーバや伝送装置が必要になりコストアップとなります。そこで400GbE時代を見据え、光トランシーバの相互接続を推進するOIFを中心に400GbEによりDC間接続 を可能にする400ZR光トランシーバが開発されています。

400ZR 光トランシーバ

 Beyond100G時代の光伝送にはコヒーレント伝送技術が広く使用されています。かつては長距離の伝送用途に開発されたこの技術はリージョナル、アクセスエリアなど短距離の光ネットワークにも適用され始めています。リージョナルDCIやアクセス用途においては長距離光ネットワーク向けと異なり、低消費電力、低コストでコンパクトであることが要求されます。またマルチベンダによる相互接続(インオペ)も非常に重要になります。

そこでコンポーネントメーカや光技術を推進する業界団体のOIFを中心に400ZR光トランシーバの開発が行われました。

主な特徴は以下の通りです

・コヒーレントDP-16QAM変調技術を採用

・クライアントインタフェースを400GbEに限定

Switch/Routerポートに実装可能なプラガブルトランシーバ(MSAフォームファクタの採用)

・シリコンフォトニクス技術により低コスト、低消費電力を実現

・マルチベンダによる相互接続(OIFによる実装合意規定)

(1)OIF 400ZR実装合意

2020年4月にOIF400ZRに関する実装合意規定(400ZR-IA1.0)を公開しました。この実装合意規定(IA)はシングルキャリアのコヒーレント16QAM変調や低電力DSPをベースに、相互接続が可能でコスト効率のよい400Gbpsの実装を目的としています。OIF 400ZRでは以下の2つのユースケース(アプリケーション)に対応します。

a) Amplified, point-to-point DWDM links with reaches of 120 km or less

b) Unamplified, single wavelength links with a loss budget of 11dB

ネットワークオペレータもメトロエリアにおける400ZRのデプロイに興味を寄せており、OIFは実装規定がデータセンタとネットワークオペレータの両方にメリットをもたらすようにしています。

OIF実装合意規定ではトランシーバの形状となるフォームファクタ(QSFP-DD, OSFP, CFP2など)には制限を与えていませんが、400ZRではQSFP-DDやOSFPフォームファクタが中心となっています。尚、QSFP-DDは100G QSFP28ポートへの下位互換がありますが、OSFPはアダプタを必要とします。また、OSFPはヒートシンクを持っており約20Wの消費電力に対応可能です。

(2)小型化への取り組み

400ZRは第4世代のコヒーレント技術に分類され、Switch/Routerポートに収容することが前提となり光トランシーバの低消費電力、小型化が必須になります。そこで業界最先端となる7nm微細化プロセスによるDSP開発とシリコンフォトニクス(SiPho)技術による電子・光コンポーネントの統合により小型化を実現し、QSFP-DDやOSFPフォームファクタへの実装を可能にしました。通常、コヒーレント変調器など光コンポーネントは材料にInP(リン化インジウム)やLiNbO3(ニオブ酸リチウム)化合物を用いることで高いパフォーマンスを実現します。しかし、電子・光統合による大規模な集積化や大量生産には向いていません。そこでシリコンフォトニクス技術を採用することで、電子コンポーネントやコヒーレント変調器、コヒーレントレシーバをCMOSシリコンチップに組みこみ、シリコンウエハプロセスを活用して高い歩留まりでの高品質生産を可能にすることで低コスト化を実現しています。さらにシリコンフォトニクスでの製造に課題の多かったチューナブルレーザの出現が小型化に大きく寄与することになります。尚、400ZR400GbEに機能を限定し小型化を実現しましたが、同様にシリコンフォトニクス技術を活用してキャリア向け400Gアプリケーション機能を追加、少し大きめのCFP2フォームファクタに実装する光トランシーバも開発されています。

前述したように、400ZRではメーカ相互のインオペが非常に重要になります。その為、各メーカでは相互接続デモなどが開始されています。

まとめ

 100G光コヒーレント技術が開発されてから約10年が経ち、低消費電力化と大容量化が劇的に進展しています。特にシリコンフォトニクス技術により、プラガブル光トランシーバはコンパクトでエコなシステムへと発展を遂げています。今後、さらにインタフェースの高速化が進むとスイッチチップと光トランシーバを直結するオンボードオプティックスへと進化していきます。

※1 OIF:Optical Internetworking Forumの略

2 DCI:Data Center Interconnect の略

3 QAM:Quadrature Amplitude Modulation の略

 振幅と位相情報を利用して1シンボルあたりの情報量を増やした符号化方式 例)16QAMは一度に16(4ビット)を送る符号化

※4 シリコンフォトニクス(Silicon Photonics):シリコン基板上に光変調器などオプティカル回路や電子回路を集積する半導体技術

執筆者プロフィール

関原 慎二
ネットワンシステムズ株式会社 ビジネス開発本部 第3応用技術部 第4チーム所属
通信機メーカ入社後、キャリア向け伝送装置のハードウェア開発、LSI設計等に従事。

ネットワンシステムズではオプティカル製品(FTTH、WDM)の評価、検証及び案件技術支援を担当
・ADVA Certified Expert #083193
・工事担任者デジタル1種

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