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Beyond 400Gに向けたOpticalトレンド

匠コラム
プロダクト
ソリューション
データセンター

ビジネス開発本部 第1応用技術部
第1チーム
関原 慎二

 2012年に100ギガ光コヒーレント技術が登場し、コアネットワークを中心にWDM伝送による100Gbps商用サービスが開始され、高速大容量通信が可能になりました。光コヒーレント技術は当初、長距離伝送が主な用途でしたが、低コスト化や低消費電力化、小型化が進み中短距離のメトロネットワークやデータセンタ間接続(DCI)にも適用が開始されています。そして、今後はデータセンタ内の通信にも使用されていく予定です。

 現在、400Gやそれを超える通信を可能にする光コヒーレント・トランシーバや光トランスポンダーの開発が行われています。前者は低消費電力、低コストを実現したプラグイン実装タイプの光トランシーバでマルチベンダー接続を前提としたCost-Optimizedソリューションを提供します。また、後者は光ファイバーの使用効率を最大限に高め、短距離から長距離まで距離に応じて最適な通信を可能にするPerformance-Optimizedソリューションを提供します。今回はBeyond 400G時代に向けたこれらのトレンドについてお話したいと思います。

Cost-Optimizedソリューションを実現する光コヒーレント・トランシーバ

 現在、約100km圏内のリージョナルエリアにおいて複数のデータセンタを接続する100ギガDCIの需要が増えています。そして今後はデータセンタで使用されるデータの高速化がより進むと予測され、2021年頃には400ギガDCIの導入も予定されています。

このDCIで使用される光コヒーレント・トランシーバは、スイッチやルータのネットワークポートに実装するプラグインタイプが主流となり、低消費電力が要求されています。更にマルチベンダー間の接続が前提となる為に、低コストかつコモディティ化が必須となります。

そこで今後の400ギガDCIにおいては、光コヒーレント・トランシーバの標準化が極めて重要になります。

(1)OIF 400ZR 実装規定

 OIF(*1)ではベンダー間の相互接続に向けて400ギガ・イーサネットによる120kmまでのDCIに対応する光コヒーレント・トランシーバの実装規格となる400ZRを策定しています。従来の光コヒーレント・トランシーバはCFPCFP2といった長距離伝送用のプラグを使用していました。しかし、400ZR光トランシーバでは400Gスイッチのクライアントポートに実装するQSFP-DDOSFPと同じタイプのフォームファクタを使用することで小型化、相互接続を実現します。(注:OIF 400ZRでは使用するフォームファクタの規定はしていません)

400ZR光コヒーレント・トランシーバは多数の部品で構成されており、スイッチポートに実装するにはその熱対策が必須となります。その為に消費電力を15W以下に抑えることが必要です。そこで約60Gbpsのボーレートによる16QAMの符号化方式を採用し、誤り訂正においてはハードウェアFECとソフトウェアFECを結合したCFEC(*2)により低消費電力化を実現しています。

400ZR光コヒーレント・トランシーバは今年から来年のタイムスケジュールで市場に出ていく予定です。

(2)OpenZR+ 実装規定

 OIF 400ZRと同じQSFP-DDOSFPフォームファクタを使用して120kmを越えるDCIを可能にする実装規定です。400ZRの機能に加え、キャリア・アプリケーション向けにOpenROADM(*3)標準化で規定される機能を取り入れ、キャリアグレードに対応可能な堅牢かつ高いパフォーマンスの提供が可能になります。

このOIF 400ZROpenROADMの2つの業界標準を取り入れた実装規定がOpenZR+であり、

  • 高い誤り訂正が可能なOpenFECの採用
  • 100GbE~400GbEマルチレート・イーサネットの収容
  • 100G~400G伝送レートの採用

等の機能を実現します。

クラウド・データセンタ事業者やネットワークオペレータはスイッチポートに実装しているQSFP-DDOSFPフォームファクタの光トランシーバをOIF 400ZRからOpenZR+対応のものに置き換える運用で、スムーズに120kmを超える距離にストレスなく対応することが可能になります。

尚、OpenZR+はまだ正式な業界標準化にはなっていませんが、アカシアやNTTエレクトロニクスなど複数のベンダーでは相互接続に向けた取り組みが行われています。 <https://www.ntt-electronics.com/en/news/2019/9/interoperability-between-openzr-coherent-dsps.html>

Performance-Optimizedソリューションを実現する光トランスポンダー

 400ZRやOpenZR+の光トランシーバはスイッチやルータのポートに実装され、リージョナルエリアにおけるDCIなどIPoWDMアプリケーションに適しています。しかし、キャリアネットワークやグローバルネットワークでは光ファイバーの伝送キャパシティを最大限に活用することが重要になります。そこで使用される光トランスポンダーには伝送距離に応じて最適な光変調フォーマットにチューニングする機能が要望されています。

これを実現するテクノロジーとして、PCS(Probabilistic Constellation Shaping)があり、光ファイバーで伝送可能なキャパシティを理論値(シャノン限界値と言う)近くまで引き上げることが可能になります。

例えば、長距離伝送で使用するDP-QPSK変調方式では1つの光偏波でボーレートあたり2ビットのデータを転送しますが、DP-64QAM変調方式の場合は1つの光偏波で6ビットのデータ転送となり、光ファイバーで伝送可能なキャパシティを高めることができます。しかしその反面、DP-64QAMはノイズの影響(OSNR)により伝送できる距離が制限され短くなるというデメリットがあります。このように伝送可能な距離と伝送可能なキャパシティは相反関係になります。

Fig.4に示す64QAM方式の場合、伝送距離が長くなるにつれ中心から遠いコンスタレーション・ポイントほど雑音の影響を受けやすくなり、受信側でエラーが発生する確率が高くなります。そこでPSCでは影響を受けやすい中心から遠い外側に位置するコンスタレーションをデータの符号化に使用する頻度を下げ、中心に近い内側のコンスタレーションの使用頻度を上げるといった処理を行います。

このPCSテクノロジーを採用することにより1台の光トランスポンダーでDCIからロングホールまで伝送距離に応じて最適な光変調方式(64QAMQPSKなど)を採用することが可能になり光ファイバーの伝送キャパシティを最大限に有効活用できます。

そしてアプリケーションのユースケースの1つとしてマルチホール・コヒーレントソリューションがあります。これは光トランスポンダーがコヒーレント伝送状態をモニタリングし最適な変調方式を決定することで、DCIエッジなどの短距離伝送から大陸間などの長距離伝送までワンストップでの対応が可能となり、オペレータ運用コストの削減など課題解決を実現します。

例えば、DCI EdgeにおいてはDP-64QAMによる1.2Tビット伝送、リージョナルエリアにおいてはDP-16QAMによる800Gビット伝送、そしてロングホールではDP-QPSKによる400Gビット伝送といったフレキシブルな対応が、光トランスポンダーを変更することなくスムーズに実施可能になります。

まとめ

光コヒーレント技術の進歩とデータセンタから始まったディスアグリゲーション、オープン化の流れのなか伝統的な光トランスポート装置の構成は、トランスポンダー機能とそれ以外のラインシステム機能に分離するスタイルへ大きく変化しています。今後も光トランシーバと光トランスポンダーの二極化は進み、それぞれコモディティ化や高機能化が加速していくことになります。

※1 OIF:Optical Internetworking Forumの略

2 CFEC:Concatenated FECの略

3 OpenROADM2015年に世界各国のベンダーやキャリアを中心に設立された団体、ROADMを中心にトランスポンダを含めたオプティカル伝送の相互運用仕様を定義、マルチベンダ環境における相互接続を実現します。

執筆者プロフィール

関原 慎二
ネットワンシステムズ株式会社 ビジネス開発本部 第1応用技術部 第1チーム所属
通信機メーカ入社後、キャリア向け伝送装置のハードウェア開発、LSI設計等に従事。

ネットワンシステムズではオプティカル製品(FTTH、WDM)の評価、検証及び案件技術支援を担当
・ADVA Certified Expert #083193
・工事担任者デジタル1種

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