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Metro DCIをシンプルに
Performance Optimized DCIソリューション
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ビジネス開発本部 第3応用技術部
第3チーム
松井 裕二
はじめに
100G Opticsは2010年頃より市場に入り始め、今やDC内はもとよりDC間でも広く普及するに至っています。このDC間の接続(Data Center Interconnect)手法として、多値変調方式(PAM4)のOpticsを使用した”Cost Optimized Metro DCI”について以前のコラムで紹介し、お客様からも多くのお問い合わせも頂きました。その後、弊社では自社の施設間にDCIを試み、実際に導入に至りました。
今回は、そのナレッジを含めたソリューションをご紹介します。
自社DCIの導入要件と課題
- 要件:
(1)施設間の直線距離 約10km
(2)帯域増加に柔軟に対応可能なシステム
(3)OPEXの低減
筆者を含むプロジェクトメンバーは、自社のDCIにCost Optimized DCIのソリューションを適用する方針で検討を進めていましたが、以下の課題が浮上し、当初の計画を見直して進める事となりました。
- 課題:
(1)L2/L3スイッチの選択肢が少ない
(2)ダークファイバの品質
1つめ、100G PAM4 OpticsをサポートするL2/L3スイッチ製品が少ない
2016年、マイクロソフト社では自社のDCにPAM4 Opticsを積極的に利用している記事もあり、本コラムでもOLS(Open Line System)の記事を書かせて頂き、広く普及していくと考えていました。しかし、国内においては100G PAM4 Opticsをサポートする製品のリリースがあまり無く、機器の選択肢が限られ、将来的な拡張の道筋も立てられない状況にありました。
2つめ、ダークファイバの品質について
ダークファイバは、回線事業者から借り受けます。今回、DCI接続する施設は直線距離で10kmですが、施設を繋ぐファイバは回線事業者の幾つかの拠点を介して提供されます。下記は、筆者によるOTDR測定結果です。
この測定から分かることは、
・施設間のファイバ長は約17km、損失は約12dB
・施設間に3か所ほど中継箇所あり
・中継箇所にて相応の反射減衰(戻り光)がある
ダークファイバの調達に際して区間損失は保証されますが、反射に関しては担保されません。(事業者の基準による。)
反射に関するイメージ図と光ファイバ接続端面毎の反射減衰量(指標)を示します。
コネクタA側より入ってきた信号光(赤矢印)全てがコネクタB側のファイバへ伝送されることが理想ですが、コネクタの状態やファイバ端面の状態などの影響で、コネクタの接続面で微弱な信号光がもとの来た道に戻ってしまうことがあります。(反射減衰量)中継箇所の反射減衰量が大きいと、戻り光が光同士の干渉を起こし、通信エラーの発生を招くことにもなりかねません。利用する光ファイバは、反射減衰量の指標を満たしてはいますが、最良とは言えないこともあり、今回のDCIには、PAM4 Opticsより光特性的にも耐力があるDigital Coherent Opticsを使用した”Performance Optimized DCI”にて実現することにしました。
初期構成として、L2スイッチに200G伝送可能とするArista 7280、波長多重部(WDMフィルタ)には、40波長収容可能とするADVA製品を採用し、DCIを最大8Tbpsまで拡張可能な構成としました。
このDCIは弊社の重要なインフラとして稼働していきます。
以下にPerformance Optimized DCIについて紹介します。
Metro DCI(Performance Optimized DCI)ソリューション
メトロエリアでDC間(DCI)の接続を行う場合、50kmを超える距離も想定されており、その実現には以下のような課題があります。
(1)10km以上の構成でイーサネットトランシーバが直接に接続できない
※40kmまでのトランシーバもあるが少ない
(2)その為にDC間のL2/L3スイッチを接続する場合にWDMのような伝送装置が必要となる
(3)WDMを使用した場合、クライアントサービス増設時にWDM側にトランスポンダが追加になる(CAPEXの増加)
(4)DC両拠点で同じベンダーのWDM装置が必要になる
(5)WDMに対する運用が別途、必要になる(OPEXの増加)
この課題解決の1つとして、WDMトラポン機能を伝送装置からスイッチに移行するアイディアがあります。これはスイッチにWDM波長毎のトランシーバを実装し、伝送装置にて波長多重と光増幅のみ行うというものです。
今回は、Performance Optimized DCI検証として、Digital Coherent Optics(DCO)トランシーバを搭載可能なAristaスイッチにて幾つかの確認を行いました。
Performance Optimized DCI検証

データセンタ内でAristaスイッチに集約されたデータをダークファイバに見立てたドラムファイバ(50Km)と接続し、対向するAristaスイッチと接続します。AristaスイッチのDCOトランシーバは、200G伝送を可能とする変調方式(DP-16QAM/8QAM)に対応しており、検証では変調方式別のリンクBudget性能、及び運用性に対する確認を行いました。
その一部について掲載します。
参考まで、今回使用したArista CFP2 200G-DCOのメーカースペックは以下の通りです。DCOを使用した場合、Metro領域のDCIにおいては、分散を意識する必要はありません。
Tx power: +2 dBm
Rx power: 0 to -23dBm
Link Budge :25dB
分散耐力(距離):2,500km(100Gbps,QPSK)
1,000km(200Gbps,8QAM)
500km(200Gbps,16QAM)

結果、
1.Link Budget
可変アッテネータを使ってダークファイバ区間相当の損失を増減。
検証構成において、Tx Powerと最小受光Powerを測定し、差分をLink Budgetとして算出。結果、速度、変調方式の違いにより以下の値を確認。

Link Budget 25dBは、仮に損失0.5dB/kmのダークファイバを利用した場合、50kmの区間でもLink upが可能となります。また、外付けで光アンプを使用すれば、さらにBudgetを確保出来ることになります。(※)
※結果についてはお問い合わせ下さい。
2.運用性
DCIの運用に於いて伝送区間の品質モニタは重要です。 Aristaの7280スイッチでは、DCI運用に必要な光レイヤのパラメータもパフォーマンス値としてモニタ出来ており、Link Budgetが許容する区間においては、伝送機器を介さず、スイッチのみでのネットワーク運用も可能です。(OPEXの削減)
下記はArista PMモニタの一例です。(Opticsの光学特性(OSNR、分散値、光レベル..など)の状態やFECエラーコレクションの設定値が確認可能)


まとめ
今回紹介した、Performance Optimized DCI は、シンプルにDCI接続を実現するひとつの選択肢です。現在、より高速な400G Opticsも出始めてはいますが、400G DCIが手軽に導入出来るまでの現実解として、200G/100GをサポートするDigital Coherent Optics(DCO)の検討を促したい。また、今後の高速化を見据えたDCIでは、回線事業者より提供を受ける光ファイバ品質も重要になってくることを認識頂ければ幸いです。
Metro DCIは複数メーカによるシステム構成で日々、その技術は進化を続けています。自社のリファレンスを活用して、成長を続けるクラウド、IoT市場を視野に戦略的な提案を進めていきます。
参考文献
- Road to 100G - 100G の現状
- Road to 100G - 100Gインフラを導入するメリット
- Road to 100G -100G 高信頼性の実現、冗長技術について
- Beyond 100G をめざすオプティカル技術
- Beyond 100G 光通信を支えるオプティカル技術
- WDM光伝送装置の新しいコンセプト Open Optical Line System(OOLS)とは?
- ファイバからの盗聴を防止する光トランスポート暗号化技術
- クラウドネットワーキングのインフラとして、改めて注目を浴びるIP over WDM
- Metro DCIの新しいスタイル
執筆者プロフィール
松井 裕二
ネットワンシステムズ株式会社 ビジネス開発本部
第3応用技術部 第3チーム所属
通信機メーカにて、NTT向け、官民需向け伝送ビジネスのシステム設計業務に従事
ネットワンシステムズ入社後、オプティカル製品(SONET/SDH、RPR、WDMなど)の評価、検証及び案件技術支援を担当
・ADVA Certified Expert
・監理技術者
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