第1回 働き方改革に繰り返し挑戦してきた企業が、テレワークで表彰されるに至った方法

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第1回 働き方改革に繰り返し挑戦してきた企業が、テレワークで表彰されるに至った方法(本記事)
第2回 Office 365を「全社4000ライセンス」導入したときの「本当の話」
第3回 「Office 365」がネットワーク帯域75%を占有した仰天の理由
第4回 Office 365活用の最終形態「BYOC」はこうして実現する


ネットワンシステムズは、2017年に総務省の「テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」に選出された。これは、先進ICT技術を常に取り入れ、PoC(Proof of Concept)を行い、働き方改革をアグレッシブに進めてきた結果ともいえる。しかし、同社の働き方改革にはまだ先がある。成長戦略に沿った働き方、コラボレーションの加速、そして究極的には“BYOC”(Bring Your Own Cloud)だ。同社 経営企画本部 理事 兼 情報システム部長の比嘉偉明氏に、同社の情報システム部門がこれまでの改革で果たした役割と、これから果たしていく役割を聞いた。

ネットワンシステムズ 経営企画本部 理事 兼 情報システム部長 比嘉偉明氏

いつでも、どこでも働ける環境を提供

ネットワンシステムズは、これまでアグレッシブに働き方改革を推進してきた。比嘉氏はその理由について「我々は、お客さまにICTを提供する企業です。お客さまのご要望にあった商品・サービスを提供するには、まず我々自身が先進のICTツールを組み合わせて使いこなし、継続的に改革を進めていかなければなりません。そこで、会社にいなくても効率よく自分の仕事をこなすことができ、自宅や外出先などで柔軟に働けるテレワーク環境を制度とともに整えてきました」と語る。

まず第1フェーズとして、VDI(仮想デスクトップ)やビデオ・Web会議といった先進的なICTツールを導入し、いつでも、どこでも、業務に必要なものにアクセスでき、オフィスにいるときと同じように働ける環境を構築してきた。

現在は第2フェーズに入り、あらゆる企業リソースをスマートフォンから利用できる「モビリティ環境」を実現すべく、改革に取り組み続けている。

比嘉氏によると、働き方改革のポイントは、個人の働き方に適したツール導入だという。

ネットワンシステムズが目指す働き方改革の姿

「ビジネスが要請しているスピード感に社員1人ひとりが応えられるよう、情報システム部としては環境を最適化して整えることが重要となります。これまで、当社のその時々のステージに合わせて最適なツールの提供を行ってきました。現在では、いつでもどこでもセキュアに情報を共有でき、誰とでもコラボレーションができる環境のレベルアップを目指し、Office 365やBoxといったクラウドサービスを全社に導入し改革を加速しています」

ではネットワンシステムズは、具体的にどのような方法で働き方改革を進めてきたのだろうか。また、これらのクラウドサービスをセキュアに活用するために具体的にどのような対策を打っているのだろうか?

働き方改革には反復的なトライアルが必須

同社では、ネットワークとICTツールの組み合わせにより、パイロット的にPoCを実施することで、1つずつ課題を洗い出しながら、効果を測定し、将来的な課題も発見してきた。

同社では過去にサテライトオフィスを導入したことがある。しかし、利用率が上がらず、浸透しなかった。しかし、時間とともに社員の感覚も変わってきた。導入したときには「会社に来ないと仕事をした気がしない」という考えを持っていた社員も、今なら「喫茶店の方が集中できる」と考えるかもしれない。過去に検証してだめだったものも、今必要かもしれない。そうして「繰り返しトライアルを続けることが大切だった」と比嘉氏は語る。

ネットワンシステムズは、時間や環境とともに変化するニーズを踏まえつつ、反復的にプロセスを試しながら、生産性を上げる新しい方法の導入に取り組んできた。

「3年前の第1フェーズまでは、メールやビデオ・Web会議システムなどを中心に整備してきました。現在は個がもつ知見を集合知としてシェアし、生産レベルを向上する取り組みに力を入れています。そのためにクラウドを活用し、社員のコラボレーションと緩やかな疎結合のコミュニティ形成を促進しています」(比嘉氏)

働き方改革 現在のとりくみ

Office 365のセキュリティ強化でどのソリューションを組み合わせた?

クラウドは出来合いの優れたサービスを組み合わせ、気軽に安く使え、運用管理の負担が少ない点がメリットだ。一方で自由度が高い分、データの選別やセキュリティ対策は万全に準備しなければならない。

「当社ではOffice 365を導入しました。導入するにあたっては、セキュリティ対策がキーポイントになります。モバイルデバイス管理(MDM)やモバイルアプリケーション管理(MAM)を上手に組み合わることで、セキュアなサービスを提供することを常に心がけています」(比嘉氏)

ネットワンシステムズは、Office 365を含めたクラウドサービスのセキュリティを強化するために、いくつかの具体的なソリューションを組み合わせている。

スマートデバイス利活用の遷移

まずOffice 365と統合エンドポイント管理用の「VMware AirWatch」を組み合わせ、エンタープライズ・モビリティの管理を実現。万が一デバイスを紛失しても、MDMやMAMによって、データやアプリケーションを遠隔で制御し、情報漏えいのリスクを下げる仕組みを採用している。

「VMware AirWatchは、世界中で広く使われているソリューションです。仮想環境での親和性が高く、使いやすくて、管理がしやすいというメリットがあります。セキュリティ対策には必須のものです」(比嘉氏)

また同社はOffice 365のほか、セキュアなオンラインストレージ共有サービス「Box」を組み合わせ、そこに利用データを一元的に集約している。

Microsoftのサービスだけで完結させるのではなく、他サービスを組み合わせることで、互いの良いところを取って、リスクを分散させているのだ。

「Boxは細やかなセキュリティ設定を重視しています。利便性とセキュリティのバランスを考えながら、組み合わせて使っているのです。たとえば、誰が、いつ、何を、誰に、送ったか、アクセスログを記録して、不審な動きがあれば、管理者側にアラートを飛ばしたりすることも可能です」(比嘉氏)

さらに同社はOffice 365導入にあたり、自社の通信サービス「クラウドHUB」を活用した。これは、パブリック・クラウドへのダイレクトな閉域網の接続により、安全かつ安定した高速通信を実現するものだ。

「Office 365などのクラウドで、サービスレベルを担保するために、データバックアップ用にAWSも導入しています。その接続にクラウドHUBを利用しています。同様にメールについても、Gmailをバックアップとして用意していますが、そこもクラウドHUBによってセキュアに接続しています」(比嘉氏)

最終的には”BYOC”(Bring Your Own Cloud)の時代がやってくる

このように、ネットワンシステムズは働き方改革を実現する環境をユーザーに提供するために、セキュリティを整えながら自社改革を進めている。

「我々は生産性の改善を軸に、社員のコラボレーションや情報共有環境を整備しています。モバイル活用であったり、クラウド利用を促進することで、これからも強い経営基盤と成長戦略を押し進めます」(比嘉氏)

このほかにも「RPA」(Robotic Process Automation)や、AIチャットボットによる業務の自動化を進める方針だ。また社内ポータルを刷新し、コラボレーションツールと有機的に合体させることで、新たなワークスタイルを確立していく構えだ。

「最終的にOffice 365というツールに限らず、周辺ソリューションも絡めて、社内外をシームレスに結びつける情報共有基盤を提供できるように、今後のロードマップを計画しています。特にツール面では、クラウドの足掛かりとしてOffice 365とBoxを組み合わせ、最も利用するメールやチャット、プロジェクト管理を中心に活用を進めています。さらに動画配信とコラボレーションなど、複数ツールの合わせ技を磨いていきます」(比嘉氏)

同社では現在、社内でOffice 365の提供を開始しているが、モバイルでのOffice 365については一部のツールのみ提供している。Outlookに関しては、AirWatchベースのパイロット版を社内の限定ユーザーがトライアル中で、この4月から全社にセキュアなOutlookを展開する予定だ。さらに来期はCisco Spark とCisco WebExを組み合わせ、モバイルアプリからのビデオコミュニケーションやミーティングを充実させていくという。

「2020年のオリンピックまでにWindows 10の端末に刷新し、アプリケーションのセルフサービスも実現するつもりです。ヘルプデスクが介在せずに、社員が自分で問題を解決できるようにハンドリングしたいと考えています。その先には、自分の端末で自分自身が使い慣れた好きなクラウドアプリケーションをセキュアに使って仕事を行う“BYOC”(Bring Your Own Cloud)の時代が到来するでしょう。我々は、到来するであろうモビリティの未来を見据えているのです」(比嘉氏)

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