MVNOによるサービス展開② ~具体的なサービス展開~

ビジネス推進本部 応用技術部
コアネットワークチーム
山口 智史

MVNOは携帯電話等の無線通信インフラを自社では持たず、他社から借り受けて、自社ブランドでサービスを提供する事業者を指します。自社ブランドでサービスを検討出来るため、お客様のニーズに沿った柔軟なサービスの提供が可能となります。
本コラムではMVNOを使用した具体的なサービス展開について解説致します。

連載インデックス

MVNOによる具体的なサービス展開

MVNO事業者はMVNOネットワークモデルを自社網として構築することで、柔軟なサービス展開が可能となります。さらにDPI製品を導入することで、提供するサービスの質と幅を広げることが可能です。DPIの詳細については、コラムDPI (Deep Packet Inspection)入門を参照してください。

では、具体的なMVNOサービス展開例について見ていきましょう。

①ゼロレーティングサービス
多くのMNO/MVNO事業者のサービスプランにはパケット量の上限が設定されており、上限を超えてしまうと、帯域制限や追加料金が発生してしまうことがあります。

これに対しゼロレーティングとは、特定のアプリケーションや特定のサイトへの通信に対して、課金処理を行わないサービスを提供します。自社のホームページや開発のゲームソフト、また大量のパケットを消費するOSのUpdate等、特定の通信のパケットに関してユーザーはパケット量を気にせずモバイルアクセスを利用することができます。ゼロレーティングサービスを実現するためにDPIを使用することでパケットを識別し、柔軟な識別・カウントが可能となります(図1参照)。

ゼロレーティングサービス導入により、自社に関連するサービスやアプリケーションへの誘導による収益向上や、顧客満足度の向上が図れます。

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図1. ゼロレーティング

②広告挿入サービス
広告挿入サービスでは、ユーザーがブラウザでアクセスした際や特定の場所に行った際、その地域に限定したサービスやクーポンなどを自動配信させます(図2参照)。例えば、ユーザーがWi-Fiスポットにアクセスしてきた際、最初のログイン画面で自社広告をブラウザ上に出すことが可能です。

またはあるゲームイベント会場の近くのユーザーに対しては、そのゲームに関する広告を入れることで、ターゲットを絞った広告の挿入が可能となりますし、お店であればその場で使えるクーポンを配布することが可能となります。このようにユーザーの用途、場所に応じたスポット広告を入れることで、ターゲットを絞った効率的なマーケティングが可能となります。

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図2. 広告挿入

③ペアレンタルコントロールサービス
ペアレンタルコントロールとは、子供による情報通信機器の利用を、親が監視して制限するシステムとなります。ファミリープランとして家族でMVNOを契約し、複数SIMがあった場合でも、それぞれのSIMでアクセス制限を分けることが可能となります。

これはモバイル端末のユーザー認証時にSPR(Subscriber Profile Repository)から貸与SIMの情報をDPI装置が識別し、アクセスしてきたトラフィックが親の機器からなのか子供の機器からなのかを判別することで実現しています。例えば、ブラウジングを行う際、親のSIMからのアクセスは無制限、子供のSIMからのアクセスは掲示板や暴力サイト等を閲覧不可とすることが可能となります(図3参照)。

また、ペアレンタルコントロールシステムを応用すると、青少年への犯罪抑止サービスも提供可能です。仕組みとしては、子供が親にWEBサービス等の閲覧許可を求めてきた場合、親はシステム上で許可を行うことで子供のアクセス状況を把握することができ、利用注意等を促すことに繋げます。

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図3. ペアレンタルコントロール

④ビルショック(Bill Shock)対策サービス
ビルショックとは、ユーザーが大容量のアプリケーションを知らずにダウンロードしていたり、海外旅行での国際ローミングが自動で適用されていたり、本人が従量制課金に課されていたことに気付かないまま、請求書(Bill)を見たときに初めて金額を見てショック(Shock)を受けることを言います。

ユーザーにこれを回避してもらうためは、DPI装置でユーザーのパケット総量を都度計算し、月単位で一定の使用量を超えた際に通知を出すことで対策が可能となります。
(月の残量10%以下、使い切り時、10%オーバー時等、任意に設定可能)
ユーザー側は通知により、事前に自分の通信料を知ることが出来るため、想定しない高額請求を防ぐことが可能となります(図4参照)。

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図4. ビルショック

⑤ビッグデータの利活用
MVNOを流れるTrafficには様々なデータが含まれています。「ユーザーがどのOS、どのブラウザ、どのアプリケーションを使用しているか」、「どのサイトにアクセスしているか」、「パケット転送量は?」、「各サイトの接続時間は?」、「ヘビーユーザーの帯域は?」等々。

これらの情報はDPI製品を使用することで、詳細に分類することが可能です。情報はデータベースに蓄積され、ビッグデータとして任意の情報を取得することが可能です(図5参照)。取得した情報は、新たなマーケティングおよびサービスに利活用が可能です。

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図5. ビッグデータ

まとめ

MVNOサービス基盤にDPI機能を搭載することで、これまで紹介した通り様々なサービス展開が可能となり、他社との差別化を図ることが出来ます。今回ご紹介したMVNOサービス例はごく一部ではありますが、MVNOサービスをご検討のお客様は是非弊社担当営業までご相談頂けますと幸いです。

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・Sandvine製品へのリンク
https://www.netone.co.jp/biz/product/sandvine.html

・コラム MVNOによるサービス展開① ~ネットワークモデルとサービスモデル~
https://www.netone.co.jp/report/column/20150819b.html

・コラム DPI (Deep Packet Inspection)入門
https://www.netone.co.jp/report/column/20150805a.html

執筆者プロフィール

山口 智史
ネットワンシステムズ株式会社 ビジネス推進本部 応用技術部 コアネットワークチーム所属。

ソフトウェア開発会社に新卒入社し、Router/Switchの開発に従事。その後、ソフトウェア開発会社の経営悪化により、ネットワンシステムズに入社。ネットワンシステムズでは、DPIプロダクト担当として評価・検証および様々な案件サポートに従事し、今に至る。なお、前職のソフトウェア開発会社は、リーマンショックの経営悪化に加え、社長の脱税が発覚し倒産した。

・情報処理「ネットワークスペシャリスト」
・情報処理「情報セキュリティスペシャリスト」
・情報処理「応用情報技術者」
・モバイル技術検定1級
・ORACLE MASTER Gold Database 11g

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