デスクトップ仮想化とストレージの関係

ネットワンシステムズ株式会社
ソリューションマーケティング部
三木 亮弘

概要

デスクトップの仮想化は、統合型インフラの上で複数のユーザを動作させるため性能のサイジングを間違えると多くのユーザの操作性能が劣化してしまいます。 デスクトップ仮想化でサイジングが難しいとされるストレージ設計について事例をまじえてご紹介します。(本記事は2011年11月30日時点での情報を基 に作成されたものとなります。)

デスクトップ仮想化でのストレージ構成

デスクトップ仮想化が普及してきている背景や構成の特徴は、第2回「デスクトップ仮想化の特性とコンポーネント]の回で述べさせて頂きました。今回はデスクトップ仮想化の周辺コンポーネントとして、ストレージ(ファイルサーバを含む)を取り上げます。

先ず、デスクトップを仮想化する上で、ストレージ構成がどのようになるか見ていきます。ハイパーバイザが動作するサーバからストレージへの接続は、FC(ファイバチャネル)、iSCSI、FCoE、SAS、NFSといった数種類のプロトコル対応ストレージから選択が可能です。近年では、このプロトコルによるハイパーバイザ側の機能差、サポート機能の差は無くなってきています。したがって選定のポイントは規模や運用者保有スキル(端的に言うと担当者の好き嫌い)、既存機器の有効活用度、そして安定性によって決めていくことが多くなってきています。弊社内でVMware vSphere4.1とユニファイドストレージでデータストア接続プロトコルオーバーヘッドのテスト結果を実施しましたが、同一条件下の性能比較によるとおよそ25%程度FCプロトコルのプロセス対性能比が良い結果になっています。

デスクトップ仮想化でのストレージ構成図
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上記の理由からデスクトップ仮想化においても1台の物理サーバならびにストレージシステムに収容可能なデスクトップの数が最も高密度にできる構成はFC構成になるため、特に大規模構成を想定する場合、FC構成が推奨となります。FCoEはプロトコルオーバーヘッドを抑えつつ10Gb Ethernetを使える点でスイッチコスト・管理コストを抑制する技術として今後より実装が普及し安定性も増してくることが期待されます。

次に構成されたストレージの内側を見てみましょう。ストレージの領域はシステム領域の持ち方によって変わってきます。まず利用者であるエンドユーザごとにアプリケーションのインストールを許可するか、許可しないかによって、デスクトップ個別の領域を用意するかどうか決まります。アプリケーションソフトをシステム管理者のみがインストール/メンテナンスしたい場合、単一イメージを複数人で共有することができます。一方個別にアプリケーションのインストールを許可したい場合は、クライアントOS部分をシングルインスタンスでコピーする機能(VMwareViewの場合LinkedClone)などを使い効率化をはかることができます。この場合、ストレージの重複除外機能と連携するとより効率的に容量削減できるメリットがあります。どちらの場合もWindowsクライアントのDocuments and settingsなどのユーザ固有情報に関しては移動ユーザープロファイルやフォルダリダイレクト機能を使って、ファイルサーバに格納することが可能です。これは従来物理PCで行われていた手法でシンクライアントでも踏襲することができます。

アクセス負荷を軽減する方法

クライアントOSを単一イメージとして複数人で共有する場合の構成では、ストレージの特定領域にアクセス負荷が集中し(俗に言うホットスポット)、レスポンス劣化が懸念されます。

特定のホットスポットを軽減するためのアプローチは、VDIソフト側からも提供されつつありますが(Citrix Provisoning Services、VMware View Acceleratorなど)、構成が万能ではないため、ストレージ側の機能を利用すると便利です。ここ2~3年前からストレージ業界ではフラッシュ技術が充実してきているため、SSDやPCI型カードを利用することで性能向上が図れます。SSDは、FC/SASディスクの10倍以上のIOPS性能があるため、システム構成が格段に高密度になります。例えばEMCのVNXで構成する場合には、同一ボリュームであるにもかかわらず、アクセス頻度の高いホットスポットのデータのみをSSDに置くような構成が可能です。

仮想デスクトップ構成とストレージ性能の関係

ストレージの性能をサイジングする場合、先ずストレージキャパシティとしてどのくらいのIOPS(1秒当たりのI/Oトランザクション)を用意すべきかを決定する必要があります。一般的な仮想化の場合は、既存の環境からをCapacityPlanner等のツールでデータ取得を行う方法や、各OSのコマンドで性能情報を取得し、基礎データにする方法があります。しかし、デスクトップPCの場合は、再起動されてしまったり、持ち出されてしまったりで十分な値が採りにくいという問題があるため、小規模な試験運用環境を作り、サイジングしていくことが多くなっています。実際のアプリケーション動作などを含めたトータルな動作確認を行うことで、1台辺りの必要性能から乗算してサイジングしていく方式や、およそのユーザレベル(ヘビーユーザ何人、ノーマルユーザ何人)を想定し、一般的なサイジング値をあてはめて設計していく方式があります。

デスクトップにおいて、ストレージ性能へのインパクトが大きい要素として、メールデータの保存位置があります。OutlookとExchangeのようにサーバ側にプロファイルをもつ構成やGmailなどのWebメールは、デスクトップのストレージに負荷はかかりません。一方ユーザが自分のデスクトップにメールデータを置く場合、ストレージに負荷がかかります。ローカルプロファイルで且つ個別ユーザに仮想ディスクを割り当てている構成では、仮想デスクトップ用のデータストア用ストレージに負荷がかかります。フォルダリダイレクトとして構成している場合は、ファイルサーバに負荷がかかります。

構成パターンによって何処のストレージ領域にどれだけの性能を確保しなければならないかが異なってくるため注意が必要です。

仮想デスクトップ構成とストレージ性能の関係図
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ストレージ性能サイジング

どのストレージにどれだけのIOPSを用意しなければならないかを決定することができたら、ストレージを選定するためのおおまかなサイジングを行います。ストレージシステムをサイジングするには大きく2つの部分に着目します。「ストレージシステムコントローラ性能」と「ディスクのIO性能」です。ストレージシステムコントローラ性能は、SPECやSPCなどのベンチマーク結果から最大性能を参照したり、自社で独自にベンチマークを行い指標を持ちます。外郭団体のベンチマーク結果を参照する場合は、あくまでその結果はベストケースの最大値であり、設計値としてそのまま採用してはいけないことに注意しなければなりません。

例えば、比較的積極的にベンチマーク結果を公開しているNetAppのFASストレージでのサイジング例ですが、FC構成で組む場合SPC-1/E(http://www.storageperformance.org/)の結果が参考となります。FAS3170AのFC構成では60,515IOPSが最大コントローラ性能として期待できることが判ります。設計ではコントローラがアクティブ・アクティブなクラスタ構成になっているため縮退時の性能担保を考慮して、40~50%を設計上の採用値とします。ここでは約40%の24,000IOPSとします。次に24,000IOPSのコントローラ性能に対して、ディスクのIO性能を計算します。ディスクのIO性能はディスクタイプと本数で決まります。ディスクタイプと1本辺りのIOPSは一般的に表1のようになっています。SAS 15,000回転のディスクの場合、有効ディスク(パリティを除く)として167本以上が必要です。SSDの場合、10本以上で構成されていれば条件を満たします。1台のデスクトップ要件が30IOPSだとするとこのストレージシステムでは800台が動作可能となります。

NetAppのFASストレージでのサイジング例

事例ストレージ性能サイジング

例えば弊社内のシンクライアントは、クライアントOSイメージを複数人で共有し、移動ユーザープロファイルとフォルダリダイレクト機能を利用した構成パターンとなっています。この構成パターンは先の説明の通り、ストレージサイジングは、フォルダリダイレクト先のファイルサーバ性能に注意を払わなくてはならない構成となります。

 図4が構成概要となっております。デスクトップのシステム領域は単一イメージで管理されており、個別ユーザの書き込みWriteキャッシュとしてVMwareのVMFSデータストアを利用します。移動ユーザープロファイルやメール・ドキュメントは個人用ディレクトリとしてファイルサーバに格納されています。

ファイルサーバは高いアクセス負荷を最適なサービスレベルで構成できるようにストレージ階層化機能を搭載したEMC VNXで構成しています。FASTと呼ばれるストレージ階層機能では、1GB単位のブロックレベルでアクセス頻度の高いデータはSSDやSASディスクへ自動的に配置し、アクセス頻度の低いデータは安価なNL-SASドライブ上に配置し、性能とコストパフォーマンスを両立しています。

シンクライアント構成図
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約400台の仮想デスクトップのシステム用データストアストレージと、約400台の仮想デスクトップと約1600台のデスクトップがアクセスするファイルサーバ環境の性能をご紹介します。

ファイルサーバ環境の性能

業務開始となる9:00前後がピーク時間帯となり、20,000 CIFSオペレーション/秒となっています。このピーク時間帯のCIFSセッション情報を確認すると同時ユーザセッションは600前後となっているため30 CIFS ops相当がファイルサーバ側の負荷としてかかっているのがわかります。一方、クライアントOS用システム領域は、ユーザ辺りおよそ25IOPSとなっております。仮想デスクトップのある1日のストレージIOは、Read/Write 比率がおよそ4:6となっていました。当社の環境ではクライアントOSのシステム領域に対する読み出しはProvisioning Services によるReadキャッシュサーバが処理できるため、ユーザ辺り25 IOPS のうちRead IOである10 IOPS相当はProvisioning ServicesサーバのIO負荷となります。15 IOPS相当のWriteがVMwareデータストアストレージにかかる負荷となります。

弊社の構成では、仮想デスクトップ用ハイパーバイザであるESXが利用するデータストア領域とファイルサーバは別のストレージシステムで構成(調達時期の関係)していますが、最近ではFC/FCoE/NFS/CIFSといったマルチプロトコルを1台のストレージで構成可能なユニファイドストレージが主流になってきているため、用途に応じたストレージ領域を1台のストレージシステムで構成することもお勧めです。

本コラムのデータはサマリになっております。さらに詳細が知りたい方は弊社までお気軽にお問合せください。

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