新しい脅威にも対応可能な、柔軟な危機管理システムの構築。神戸市の描いた理想に応えたのはネットワンシステムズ。

重要度、難易度が最も高い共通基盤システム構築を担い、プロジェクト成功に大きく貢献。

自治体名 神戸市様
所在地:神戸市中央区加納町6-5-1
導入事例 SOAによる仮想化共通基盤
課題 従来利用されていたWebベースのシステムは、過去に発生した既知の災害などを想定して作られていたため柔軟性に欠けており、新型インフルエンザなどシステム対応を想定していない新しい脅威が発生したときにはうまく活用することができなかった。
選択理由 共通基盤システム構築にあたり、ネットワンシステムズが最も高い価格競争力を発揮して受注。加えて、プロジェクトへの熱意ある取り組み、神戸市での開発実績、豊かな仮想化環境構築経験、高いレベルでのサービス指向アーキテクチャ理解、マルチベンダー対応力も評価された。
効果 表計算シートを介して情報流通する柔軟な危機管理システムが完成。共通基盤システムの採用により、上位システム単位の調達が実現、コスト削減に大きく寄与するとともに、ベンダーロックインの回避が可能に。将来的には自治体クラウドにも発展可能と期待されている。

危機管理センター建設と同時並行で進められたITシステム刷新

 神戸市は、日本でも非常に危機管理体制の進んだ地方自治体です。1995年に発生した阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた経験から、行政区域内の公共施設耐震化や災害に強い上下水道の整備など、積極的に取り組みを行ってきました。また2002年には、市行政各部の非常時対応を統括する部門として危機管理室を創設、市民サービスの充実を図ってきました。それを文字通り形にしたのが、2012年4月に完成した新庁舎神戸市役所4号館(神戸市危機管理センター)です。これは、風水害や震災を含めたあらゆる危機に俊敏に、また市が一体的な危機対応を行う中枢拠点として、初動体制の強化、危機情報の共有体制の強化、地域防災力の強化を基本方針として建設されました。1階には、市民の防災研修や防災学習のためのコーナーも設けられています。

 このセンターの設立と同時並行で推進されたのが、危機情報の共有体制の強化のための危機管理システム刷新プロジェクトでした。

新しい脅威に対応できなかった従来の危機管理システム

 それまでも、市役所内で危機状況を把握、共有するためのWebシステムが存在していました。しかし、それは過去に発生した災害などを想定して作られていたため柔軟性に欠け、平成21年5月に新型インフルエンザへの対応という新しい危機が起こったときにはうまく活用できませんでした。また、システムに手を加えようにも、ITの専門知識が無い市職員だけでは、発災当日のシステム改修は不可能でした。

 そこで、職員が主体となって、危機の種類には関係なく、迅速な情報流通が行えることをめざして、5つのシステムを構築することにしました。その5つとは、どんな情報を誰に送信するかを制御する初動判断システム、宛先が決定した情報を市役所内PCに伝達する緊急連絡システム、宛先が決定した情報を職員の携帯電話に伝達する職員参集システム、表計算シートで職員が作成する情報をまとめる自動集計システム、表計算シート上の情報を補助的に地図上に展開する地図表示システムです。

 当初、これらは個別開発で進める予定でした。それぞれの技術に強いシステムインテグレータを競争の中で選ぶことで、ベンダーの都合でアップグレードを要求されたり、開発コストが高止まりするベンダーロックインを避けるためです。しかし、このままではインフラがシステムの数だけ必要になります。そこで、インフラ部分は共用とし、仮想化技術を導入することにしました。また、各システム間のデータ連携やデータ変換は各システム間で直接行うのではなく、インフラに共通データベースや変換機能を置き、これを介してやりとりさせることにしました。つまり、インフラ部分を共通基盤として大きな重みを持たせたのです。まさに、5システム稼動の生死を握る、最も難易度が高く最も重要なシステムでした。

 神戸市危機管理室では、計6システムについて、市が実現を望む機能を詳細に記述、厚さ20cmもの仕様書にまとめあげ、競争入札を行いました。この危機管理システムに関心を示し、仕様書を入手したシステムインテグレータは40社は下らなかったといいます。しかし、求められる技術力あるいは価格競争力への懸念か、実際に応札したシステムインテグレータはそれほど多くありませんでした。

 神戸市職員認証基盤システムを構築するなど、すでに神戸市において実績を積んでいたネットワンシステムズは、ネットワークやインフラ構築技術に長けた自社の強みを最も生かせるとして共通基盤システム構築を選択、システムの担う特性からサービス指向アーキテクチャ(Service Oriented Architecture、以下SOA)が最適であると判断してこれを全面採用したシステム提案を行いました。

難易度高く重要な共通基盤開発を獲得したのはネットワンシステムズ


神戸市危機管理室
システム整備担当係長
亀井 浩司 氏

 選定されたのはネットワンシステムズでした。競合他社もそれぞれ戦略的な価格を提示しましたが、ネットワンシステムズの競争力はそこをさらに一回り上回っていたのです。神戸市危機管理室 システム整備担当係長 亀井浩司氏は、ネットワンシステムズ選定を次のように語ります。

「共通基盤システムは、他のシステムに比べると構造が複雑で、他のシステムについての理解、その結果としてかなりのマルチベンダー対応が求められる難しいシステムだったと思いますが、ネットワンシステムズはよくやってくれました。仕様書の読みこみも熱心で、“書かれている要件さえ満たせば”という姿勢ではなく、要件の本質は何かを追求して、質問の数も非常に多かったように思います。今回のプロジェクトは、これまで世の中になかったものを作るということでリスクも高かったので、どのシステムの開発も一定の水準以上の企業でないと難しいと考えていました。そうした中、ネットワンシステムズに決まったのは大きな安心材料でした」

 亀井氏の発言には、ネットワンシステムズでの神戸市での開発実績、豊かな仮想化環境構築経験、高いレベルでのSOA理解への評価が反映されていました。

 ネットワンシステムズが提案し、採用された共通基盤システムは、具体的に以下のような構成になっています。ハードウェアにIAサーバーを採用、仮想化ホストOSにはVMwareを選択しました。共通基盤システムは他の5システムに対し、共通データへアクセスするための共通インタフェースを用意し、さらに5システム間の共通データ連携手段を提供することで、5システムそれぞれの密接な連携を実現します。

 亀井氏は、共通基盤システム構築過程でのネットワンシステムズの活動を以下のように述懐します。

「担当チーム内でプロジェクトに関する技術情報がよく共有されていたようで、来所するSEは誰もがスムーズに業務を進めました。誰かでないとわからない、行えないといった属人性がネットワンシステムズにはなかったですね。同社の仕事ぶりには大変満足しています」 

職員で“ふだん使い”できる柔軟性の高い危機管理システムが完成


神戸市危機管理室
危機対応担当課長
川中 徹 氏

 2012年1月17日、この日は17年前に阪神・淡路大震災が発生した日ですが、神戸市役所ではテスト段階のシステム評価を含めて全市防災訓練が行われました。しかし、残念なことにこの段階では満足のいくシステム性能を得ることができませんでした。ネットワンシステムズは、危機管理室の指示を得て、5つの上位システム構築を担当するシステムインテグレータとともに原因究明と対応を協議。ある上位システム側のパラメータ設定と、共通基盤システム側の認識のズレが原因であることを突き止め、問題解決に寄与しました。その後、共通基盤システムを含め6システムとも無事に性能要件も満たし、当初の予定どおり2ヵ月半後の4月1日に本稼動、運用を開始しました。

 これによって、職員が自在に扱える表計算シートを情報流通の媒介手段とした、柔軟な危機管理システムが完成しました。また、SOAによる共通基盤システムを採用したことにより、上位システム単位の調達が実現、コスト削減に大きく寄与するとともにベンダーロックインの回避が可能になりました。仮想化技術の導入は、ハードウェアやOSの更新周期にしばられないシステム運用管理も現実のものにしています。

 神戸市危機管理室 危機対応担当課長 川中徹氏は、新しい危機管理システムへの期待を次のように語ります。

「このシステムは、情報を収集して告知するというところに重きを置いて開発しており、アイデア次第でさまざまな場面に活用が可能です。何も危機発生のときしか使えないというものではないのです。われわれが最終的にめざしているのは市民サービスのさらなる充実で、今後は市役所内での普及を進めながら、どんどん“普段使い”していきたいと考えています」

 共通基盤システムに関しても構想が広がっています。現在は危機管理5システムのベースとして機能していますが、将来的には神戸市が運用管理するさまざまなシステムを受容するプライベートクラウド基盤“自治体クラウド”に発展する可能性も秘めているとのこと。その意味で、ネットワンシステムズには、共通基盤上で稼動するシステムを担うシステムインテグレータと密接なコミュニケーションを図りながら、存分にリーダーシップを発揮することが望まれています。

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