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NEWS

【7/18開催ネットワンセミナー】福井県済生会病院様 事例講演レポート

Report:仮想化ソリューションセミナー
福井県済生会病院における仮想化への取り組みと運用状況

イベント

近年、病院における仮想化ソリューション導入が加速している。各部門のニーズにこたえるために、電子カルテシステムと連携する周辺システムが増え、仮想化ソリューションの導入と共にシステムの全体像を見直そうという動きも多い。2019年7月18日に開催されたネットワンシステムズ主催「仮想化ソリューションセミナー」に登壇した社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部 福井県済生会病院 医療情報課 上阪 友基氏の講演から、そのメリットを探っていこう。

社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部
福井県済生会病院 医療情報課 上阪 友基氏

部門システムの乱立で保守工数が増加

福井県済生会病院は、病床数460、診療科目24。外来患者数は1日平均1100人を超える総合病院だ。急性期病院としての役割も担い、「使命感・前向き・チームワーク・やさしさ」を4つのバリューとして内外に示している。

上阪氏は、「4つのバリューの中でも特に『使命感』は医療現場の支えであり、私たち医療情報課にとっては進取・変革の精神を表現しています」と話す。そうした土壌もあってITへの取り組みには積極的で、北陸初、福井県初のシステム導入に果敢に取り組んできた実績がある。1993年のオーダリングシステム導入、2002年の電子カルテ運用開始は福井県初の事例。2013年には病棟患者向けWi-Fiサービスを開始するなど、テクノロジーを患者の満足度向上にも役立てている。

一方、進取の精神に基づいてテクノロジーを各部門が次々と導入することで、部門サーバが増加。それに伴い、運用業務を担当する医療情報課の業務負担は増してきた。2014年6月、それを解決するために部門システムの仮想化基盤への統合を検討し始めることになったが、以前の状況を講演で明らかにしてくれた。大きな課題は以下の3つに集約される。

1.断続的に発生するシステム更新

各部門は共通の電子カルテシステムを利用するが、部門独自に必要になる情報を管理するために、それぞれが独自の周辺システムを導入。電子カルテシステムと連携させて運用している。導入時期はそれぞれに異なり、保守期限にもずれがある。周辺システムは数十に及び、毎年のように更新に伴う作業が発生していた。

2.余剰のシステムリソース

部門独自のニーズを充たすシステムが増えたわけで、当然ながら周辺システム同士の横の連携は存在しない。それぞれは電子カルテシステムと連携するが、スタンドアローンで稼働し、独自のハードウェアを利用している。システムリソースの余剰を共有することはできず、高スペックなハードウェアを持て余しているシステムや、リソースの限界が近づいているシステムが散見された。

3.サイロ化したハードウェア

システムごとに別の物理サーバを運用していたため、それぞれに別のUPSを設置する必要があった。リモート保守のための回線も個別に敷設する必要がある。バックアップの方法はバラバラで、バックアップ時間も異なる。すべてに個別対応が必要で業務負担は大きく、新人教育に時間がかかるなどの課題にもつながってきた。

上阪氏は、「電子カルテシステムと、そのカスタマイズだけであれば、運用を続ける支障はそれほどなかったかもしれません。部門システムが増えたことで、内部工数を計算に入れなくても、目に見える外注分の保守コストが予算を圧迫していたのです」と明かす。

コストダウンという方向性は、経営者の理解を得やすく、現場にも納得してもらいやすい。一方、それに伴い利便性が失われれば、現場からの支持を失う。上阪氏は、現場の使い勝手をそのままに、運用コストと内部工数を抑える仕組みとして、まずは部門システムを仮想基盤に統合するという絵を描いた。

「仮想基盤への統合であれば、現場の使い勝手は変わりません。統合と同時に契約を結び直せば部門システムの更新時期を統一できますし、システムリソースも余剰分を融通し合えます。UPSやリモート接続など、部門サーバごとに対応が必要だった設備も一括して運用できるようになることが期待できます」(上阪氏)

当時、病院での仮想化ソリューション導入事例は少なかった。しかし、外注する保守コストやハードウェアのコストなど、目に見える部分を中心に、「現状を維持するより仮想化ソリューションを導入した方が長期的な視点では有利になる」と説明し、経営陣の了解を得ることができた。

サーバルームの室温が2度下がった

同年12月、複数社から提案を受け、提案内容、価格面、保守面から総合的に判断した結果、ネットワンシステムズの提案した「VSPEX」を採用。VMware、Cisco、およびEMCの製品を組み合わせた豊富な導入実績を誇る事前検証済みの仮想基盤パッケージに、セキュリティ対策ソリューションとしてTrend Micro Deep Securityを加えたトータルな提案だった。

2015年7月、第1フェーズとして優先順位を決め、部門システムの新共通仮想基盤への移行を開始。段階的に移行を進め、11月より第2フェーズに回した残りの部門システムを移行。2017年にはナースコールシステムおよび経理システム、2018年に生理検査システムの移行を完了した。

結果は期待どおりのものになった。42ラックを構えていたサーバルームの空きラック数は9から16に。統合UPSのために4ラック分を増設したが、それでも空きラックは増えた。物理的なサーバ数は153から77と、ほぼ半減。サーバ数の削減分は消費電力の削減につながり、サーバルーム内の平均室温は2度下がったという。

保守費用の減額にも寄与した。部門システムベンダーとの契約をソフトウェアのサポートのみに見直したことで、ハードウェア部分のサポートコストを削減。ハードウェア更新時にソフトウェアをテストするコストは不要になる。「更新回数そのものを減らす効果も期待できます。更新を2回に1回スキップするだけで、大幅なコスト削減になります」(上阪氏)。これまでは機能的に必要性を感じなくても、ハードウェア更新と同時にソフトウェアを更新することもあった。今後は、必要性を見極めて更新の要否を判断できるようになる。

今回は更新時期の関係で電子カルテシステム本体を共通仮想基盤に移行できていないが、次回に迎える保守契約更新の際に本格的な移行を検討する計画だ。また、2020年2月に健診システムを移行することが予定されている。将来は、サーバそのものをクラウドに移す構想もある。スムーズにクラウドに切り替えるにあたって、統合された仮想化環境を用意しておくことは大きなアドバンテージになりそうだ。

サーバの立ち上げが楽になる

今回のセミナーは病院関係者向けのものであり、全国から上阪氏と同じような課題を抱えている多くの参加者が集まった。そのため、上阪氏は「仮想化ソリューションを導入することによる医療情報課にとってのメリット」についても時間を割いて語ってくれた。

たとえば、正常性レポートはそのひとつ。仮想マシンにかかっている負荷の程度や、CPUおよびメモリ割当量が適正かどうかを自動的に報告する機能で、当該業務における医療情報課の業務負担を極小化してくれる。

仮想ネットワークソフト「VMware NSX」が備える「マイクロセグメンテーション」と呼ばれる技術も大きな役割を果たす。この技術を使用すれば、簡単なポリシー設定だけで、仮想基盤の中で仮想的なネットワーク内を論理的に分割することが可能だ。さらに、Deep Securityを組み合わせることで、万一サーバがウイルスに感染しても、影響範囲を限定して被害を最小限に食い止めることができる。「セキュリティ面でサーバ統合に不安を感じてらっしゃる方も多いかもしれません。しかし、仮想化ソリューションはこれらのリスクにも気を配れるものです」(上阪氏)。

そして、医療情報課にとって何よりも大きなメリットは、仮想環境の中でサーバを容易に立ち上げられるようになることだ。

上阪氏は、「仮想化ソリューションを導入すれば、システム運用・保守に割く工数に余裕ができます。私たちの本来の仕事は、システムをより良くして、現場や患者さんにとって役に立つ仕組みをどんどん創り上げていくこと。システム開発やテストにあたって、柔軟にサーバを立ち上げられるようになったことで、本来の業務をよりスピーディに推進できるようになりました」と話している。

サーバ仮想化 システム概要