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TI-LFAを使ってネットワークを高速に切り替える
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はじめに
ネットワークの高速切り替えの手法にLFA技術があります。IS-ISやOSPF等のIGPでは障害を検知してから、RIBの再計算が行われてからバックアップパスを作成しますので、パスが切り替わるまで数秒程、経路の切り替わりに時間が発生します。そこで、LFA(loop Free Alternate)技術を用いて高速切り替えを実現します。これはあらかじめ迂回経路を準備しておき、障害が発生するとバックアップパスに即座に切り替わる手法です。
本コラムではLFA、そこから派生するRemote-LFA・TI-LFAの概念、実機を用いた動作確認について説明します。
LFAの動作概要
LFA(Loop Free Alternate)はDynamic Routing Protocolを使用した高速切替技術です。
機能として下記の3種類があります。
■LFA(IP-FRR)
ループが発生しないバックアップ経路を計算して事前に準備しておく方式。
ループが発生しない隣接ルータが存在しないトポロジではバックアップ経路を用意することができない。
■remote LFA
ループが発生しない隣接ルータが存在しない場合、ループが発生しないノードまでT-LDPトンネルを張ってバックアップ経路を構築する方式。
トポロジによってはT-LDPトンネルを張る対象となるノードが存在しないため、バックアップ経路を100%用意できるとは限らない。
■TI-LFA(Topology Independent LFA)
あらゆるトポロジに対して100%バックアップ経路を用意することが出来る方式。
Segment Routingにて実現。
使用機器
Juniper : vMX
JUNOS : 20.4R3.8
LFA(IP-LFA)
- LFA動作概要



- LFAが効かない場合
下記の様な構成の場合、R1ではループが発生してしまうためバックアップ経路を持つことができません。

remote LFA
- remote LFA動作概要
LFAではバックアップ経路を持てない(IP-FRRが効かない)場合、remote LFA使用する必要があります。
■IP FRRが効かない場合に対する対策案
Loop Free Alternate となるノードまでトンネルを張る。
■トンネルの宛先選定
計算ノードにて宛先毎にP-space と Q-space を選定し、両方のspaceに所属するノード(PQノード)をトンネルの宛先とする
●P-space
計算ノードから見て、最短経路に障害リンク(保護対象リンク)が含まれないノードの集合
->ECMPを含む
●Q-space
対向ノードへの最短経路に障害リンク(保護対象リンク)を含まないノードの集合
->ECMPを含まない
■転送方法
ルーティングループが発生する状況を、ループが発生しないノード(PQノード)までトンネルを張り、パケットをトンネルの宛先まで転送します。

■PQノードが存在しない場合
計算の結果PQノードが存在しない(P-spaceとQ-spaceが交わらない)場合はトンネルの宛先となるノードが存在しない。そのため、バックアップ経路を用意することが出来ない。

TI-LFA
- TI-LFA動作概要
■PQノードが存在しない構成に対する対策案
Pノード/Qノードを選定し、P-Q間はAdj-SIDラベルを使用して転送を行う。
PQノードが無くても、Backup経路を作成することを確認。
- 障害試験

R5とR4の先にテスターを接続し、R5とR4間で障害を発生させ切り替わり時間を確認。
1000ppsを流し、パケットロスの数で断時間を計測。以下の結果よりTI-LFA有りの場合TI-LFA無しと比べて
大幅に断時間が短くなる(15ms)ことが計測できました。

まとめ
SR-MPLS環境における TI-LFA を用いた障害時の高速迂回手法及び設定方法について紹介しました。
また、TI-LFAを用いた断時間計測では50ms以下で復旧できることが確認できました。
TI-LFAを導入・検討する際の参考になれば幸いです。
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