単独での価値創出から企業横断の価値創造へ
---今回のプロジェクトは、どのような経緯でスタートしたのでしょうか。
西 あかね(以下、西):きっかけは、弊社からエクシオグループ様へ提示した2025年度〜27年度にかけての中期アクションプランです。この中でご提案していたアクションプランの一つが、今回のプロジェクトでした。
私たちは通常、プロダクトアウトの目線でお客様に支援内容を提案することが多いです。今回はより広い視野で新規事業を立ち上げようという提案をさせていただき、共創プロジェクトとして進める形となりました。弊社としても、今回のような枠組みでのプロジェクトは初の試みでした。エクシオグループ様が前向きに受け止めてくださったおかげで、タッグを組むことができました。
井出 正敏氏(以下、井出氏):私たちデジタルコンサルティング本部は、社内でセキュリティやネットワークに関する案件創出や提案支援を担っています。その活動の中で、社内では強い課題感が芽生えていました。
大手のプラットフォーマーの存在感が日に日に増す中、私たちのようなSIerが単独で価値を発揮し続けることが難しくなってきていると感じていたのです。より新たな価値をお客様に提供できなければ、これからの時代を生き残れない。そんな危機感を抱えていた中、ネットワンパートナーズから今回のプロジェクトを提案されました。
渡邊 浩平氏(以下、渡邊氏):西さん・毛利さんからの提案は、私たちにとって絶好のタイミングでした。実はプロジェクト開始以前にも、別の案件でご一緒していまして。そこで大きな成果が出ていたことから、「同社との共創なら、新しい価値を見出せるかもしれない」という期待感があったのです。
---今回、「製造業DX」の領域に焦点を当てたのはなぜですか。
渡邊氏:テーマを設定するにあたり、自然と行き着いたのが製造業でした。当社はもともと通信インフラの構築など、社会基盤を作ることを得意としており、お客様の中でも製造業の引き合いが特に多かったので。
日本の製造業は人手不足やグローバル競争、サプライチェーンの問題など、多くの課題を抱えています。この領域のDXを支援することは、お客様の課題解決に直結するだけでなく、日本の産業を支えるという大きな価値にもつながる。そう考え、このテーマを決めました。
---本格的にプロジェクトを進めるにあたり、どのような議論が交わされたのでしょうか。
渡邊氏:前提として、「3年後のネットワンパートナーズとエクシオグループはどうありたいか」というビジョンから話し合いました。そこで掲げたのが、「唯一無二の共創パートナーになる」という目標です。単に案件ごとに協力するのではなく、お互いに伴走しながら事業を成長させていくという共通認識を最初に固めたのです。
その上で、初年度(2025年度)を「立ち上げ期」、次年度(2026年度)を「展開期」、そして最終年度(2027年度)を「進化期」と位置づけました。この3年間で、新しいビジネスを完全に確立させようというロードマップを描きました。
議論を加速させた「仕組み」と「場」の力
---プロジェクトの推進にあたり、ネットワンシステムズの共創プログラム「netone Co-Creation」を活用した意図をお聞かせください。
西:エクシオグループ様とプロジェクトを立ち上げたのは良いものの、具体的にどう進めれば良いかわからず手探りの状態でした。そんな時、ネットワンシステムズから提案・紹介されたのが「netone Co-Creation」だったのです。
---「netone Co-Creation」を通じて、ネットワンシステムズがファシリテーターとして加わったわけですが、ワークショップの進行などはいかがでしたか。
井出氏:従来のワークショップとはいくつも違いがありました。最も大きな違いは、議論の進め方です。ファシリテーターがいることで、話すべきポイントやゴールが常に明確になり、議論が脇道に逸れることなく、筋道を立てて進めることができました。
フレームワークの活用も印象に残っています。例えば事業企画の進め方については、各ステップでどのフレームワークを使って何をアウトプットするかが体系的に整理されていて、非常に驚きました。
これまでは感覚的に話しがちだった部分も、フレームワークに当てはめて考えることで議論に根拠が生まれ、メンバー間の合意形成が非常にスムーズになったと思います。全員が納得感を持って、次の段階に進む。そんな感覚を得ながらプロジェクトを進行できました。
渡邊氏:オンサイトでのワークショップは、分単位の細かいスケジュールが組まれていました。社内の会議だと、ついダラダラと長引いてしまうこともありますが、「この時間までにこれを決める」という明確な目標があるので、良い意味での緊張感が生まれます。限られた時間でアウトプットを出すためには、こうした管理は非常にありがたかったです。
スケジュール通りに進まない部分もありましたが、ネットワンシステムズが臨機応変に計画を修正してくれたので、ストレスなく進めることができました。
---今回は議論を深めるため、netone valleyのプロジェクトルームも利用したそうですね。
毛利 堯(以下、毛利):普段とは違う雰囲気の空間で、自然と集中力が高まりました。議論に没頭するには最適な環境だったと思います。
井出氏:ワークショップを通じてお互いの信頼関係が構築されたタイミングでプロジェクトルームを利用できたのが大きかったと思います。物理的に距離感が近いことで、自然と議論が盛り上がりました。
---今回、netone valleyの「INNOVATION SHOWCASE」などもご覧になったそうですが、どのような感想を持たれましたか。
井出氏:「INNOVATION SHOWCASE」のように、最新のテクノロジーを自分の目で見て、触れることができる施設は非常に貴重だと思います。新規サービスを立ち上げる時も、INNOVATION SHOWCASEを通じて、「体験」という要素を一つ加えるだけで、お客様の理解度や納得感は全く違うでしょう。将来的に花開く「種」を植えるという意味で、こうした体験の場は非常に効果的だと感じました。
3社の化学反応で描いた未来の姿
---プロジェクトを通じて、ネットワンパートナーズの関わり方にどのような感想をお持ちでしたか。
渡邊氏:私たちもこれまで多くのディストリビュータ様やメーカー様とお付き合いしてきました。多くの場合、その関係性は製品やライセンスを卸してもらうところに留まります。しかし、ネットワンパートナーズは事業の根幹にまで、高い熱量を持って深く踏み込んでくれました。
技術的なバックアップが非常に手厚く、その強みを活かして、私たちに価値を提供しようと常に歩み寄ってくれました。同社が掲げる「伴走パートナー」という言葉通りの姿を体現していると思います。
西:エクシオグループ様は、私たちの提案に対して必ず「もっとこうしたい」という前向きな意見を返してくださいます。それに対して、私たちもさらに良い提案をしたいと気合が入りました。このキャッチボールの関係性を築けたことで、共創がより良い形になったと感じています。
毛利:私たちがどんなボールを投げても、必ずポジティブな形で打ち返してくれるからこそ、様々なアイデアをぶつけることができました。
---両社の関係性がよく分かるお話です。プロジェクトでは数々の議論がなされたと思いますが、印象に残っているエピソードはありますか。
井出氏:私が最も強く覚えているのは、「そもそも、私たちは何者なのか?」という問いについて議論したときのことです。当初、「私たちはSIerでありディストリビュータである」という前提で市場分析やファイブフォース分析などを行っていました。
しかし、議論を深める中で「今考えているサービスは、本当にSIerの領域から提供するものなのだろうか?」という疑問が生まれたのです。
事業の土俵が違えば、私たちが提供できる価値は一変します。だからこそ、「自分たちは何者なのか」という根源的な問いについて、時間をかけて徹底的に議論しました。SIerというアイデンティティを取り払って考える機会があったからこそ、新しい発想を得られたのだと思います。
毛利:実は、私たちも同じような壁にぶつかっていました。お客様の課題を解決しようとする場合、弊社はどうしても「モノ」、つまり特定のプロダクトで解決するという思考に陥りがちだったのです。
しかし、今回目指しているのは「コト」の提供です。「私たちは何者か」を問い直さなければ、最終的な提供価値が従来どおり「モノ」の提供という形になってしまう。これでは本質的な共創にはなりません。この点は非常に頭を悩ませました。
渡邊氏:正直に言うと、私たち2社だけではアイデアが発散するだけで収拾がつかなかったかもしれません。そこを軌道修正し、着地点へと導いてくれたのがネットワンシステムズのファシリテーションでした。
議論が発散して着地点が見えなくなるたび、要所でネットワンシステムズが介入してくれたおかげで、私たちは思考の迷子にならずに済みました。
プロジェクトをきっかけに、関係性をより深めていきたい
---さまざまな議論を経て、今年度のゴールである「事業計画書初版の策定」が完了しました。現在の心境と今後の展望をお聞かせください。
井出氏:事業計画書はあくまで「初版」であり、現時点ではまだ仮説の要素が大きいと認識しています。今後はこの仮説の精度を高めていくフェーズに入ります。
お客様へのアプローチを強化し、より多くの生の声を集める。得られたフィードバックをもとに、コンセプト案やサービス案をブラッシュアップしていく。この「仮説、検証、事業化」というサイクルを、いかに高速で回していけるかが勝負だと考えています。
その上で、サービスの立ち上げに「GOサイン」を出すのか、あるいはピボットするのかを適切に判断していきたいです。
西:今回のプロジェクトは、私たちにとって本当に多くの新しい気づきを与えてくれました。この半年間で得た経験や関係性を絶やさず、継続していきたいと思います。
---最後に、皆様のように、共創によって課題解決を目指そうとしている方々に向けて、メッセージをお願いします。
毛利:今回の共創を始める上で、初期段階に「このプロジェクトをどのような形にするか」という目線合わせの場を設けたことが、非常に良かったと感じています。あの最初のステップがあったからこそ、スムーズにプロジェクトを進めることができたのだと思います。
井出氏:共創というと、一つのプロジェクトを成功させること自体がゴールだと捉えられがちです。しかし、今回の共創では今後の両社の付き合い方や、関係性そのものも深化させることができました。
プロジェクトは一つのきっかけに過ぎません。お互いをより深く知り、高め合えるリレーションを構築できる点にこそ、共創の真の価値があるのではないでしょうか。
渡邊氏:今回のプロジェクトでは、異なる立場、異なる視点を持つメンバーが集まったからこそ、数多くのアイデアが生まれました。
私は、共創とは単なる企業同士の「足し算」ではなく、より大きな価値を生み出す「かけ算」でなければならないと考えています。そして、かけ算の共創にするためには「自社単独ではたどり着けないサービスを提供する」というゴールを、最初にしっかり描くことが重要です。ぜひその点を念頭に置きつつ、企業の壁を越えて新しい価値を生み出すために挑戦していただければと思います。

