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「自律化ネットワーク」という新時代で求められる事業者のあり方を提示「ITvalue+ 2025」開催

2025年9月17日、弊社の新事業拠点である「イノベーションセンター(通称:netone valley)」にてオフラインイベント「ITvalue+ 2025」を開催いたしました。

ITvalue+ は、最新技術の最前線で活躍する方をお招きし、技術やビジネスにおける共創をテーマに様々な交流を目的として弊社が取り組む新しい試みです。

第3回目となる今回のテーマは、「IT運用の未来を拓く、次の一手~10年後の自律化ネットワークから逆算する、今すべきこと~」。IT運用の未来に挑む企業の先進技術や弊社事例の紹介、パネルディスカッションを通じて、10年後を見据えた次世代ネットワークのリアルに迫りました。イベント後は、登壇者と参加者によるネットワーキングを開催。その様子をレポートにて報告いたします。

ネットワーク運用の自動化という未来でできることは何か

プログラム冒頭では、弊社 ビジネス開発本部 イノベーション推進部 部長の門脇広平が登壇し、開会の挨拶とキーノートを行いました。IT人材は2030年に79万人不足すると予測されており、複雑化するネットワークを限られた人材で支えることは今後ますます困難になることが考えられます。この課題解決の鍵として、現在注目されているのが「自律化ネットワーク」です。

自律化ネットワークはネットワーク自身がアプリケーションの状況を判断し、最適な設定変更やリソース配分を自律的に行うようになる、というコンセプトに基づいています。この仕組みにより、専門知識を持つプロフェッショナルが担当していたログ解析から設定変更などのプロセスが大幅に簡略化され、人間は最終的な「判断」に集中できるようになります。

このような自律化ネットワークの実現により、属人化の排除や運用業務の高度化が実現され、企業競争力の強化にもつながります。一方で、この未来のコンセプトは一社単独では実現困難であり、業界全体での協力が不可欠です。このイベントを通じて、関係各社の協力=共創を生み出していきたいと門脇は語り、キーノートを締めくくりました。

プログラムでは、Selector AIのCheif Solution Architectである大西宏之氏が登壇。「米国事例から考えるインフラ運用の近未来像と今後求められる人物像について」と題し、AIOpsによるIT運用変革の最前線を解説していただきました。

近年の生成AIの基盤であるディープラーニングは、結果に至るプロセスが不明瞭な「ブラックボックス」になりがちで、インフラ運用ではこの特性が致命的な問題を生む危険性があります。そこでSelector AIは、より信頼性が高く長らく研究が進められてきた「機械学習」をもとにしたAIOpsを採用。その結果、顧客のアラート対応件数を約5,000件から約70件と98%削減することに成功しました。

講演にて、大西氏はAIが進化して定型的な作業が自動化される時代において、人間に求められるのは関係者を巻き込み課題解決を推進する「コミュニケーション能力」だと力説。個人の能力を最大限に活かすためには、イノベーションを意図的に起こせるような組織文化の醸成が不可欠であると語りました。

弊社カスタマーサービス本部 第2エキスパートオペレーション部 基盤運用チーム マネージャーの浅倉甲介からは、「IT運用の未来を拓く、次の一手」と題して、弊社のネットワークサポートの現場における生成AIボット「XOBOT(エックス・オー・ボット)」の導入事例を発表させていただきました。

弊社のコンタクトセンターは、取扱製品の増加や技術の進化に伴い、専門技術者でも情報収集や原因究明に時間がかかるという課題を抱えていました。「XOBOT」は運用保守に特化したデータ基盤・生成AIボットとして開発され、日々報告されるインシデントや顧客とのコミュニケーション履歴を逐次学習します。そして常に最新のナレッジを蓄積し、トラブルシューティングの時間の大幅短縮に貢献しています。

浅倉は、生成AIを現場で活用するには開発と運用が一体となってAIを育て、継続的にアップデートすることが重要だと語りました。この教訓を活かしつつ、今後弊社はAIを業務の標準プロセスに組み込み、将来的にはAIによる自動解析も目指していきます。

Nile Global, Inc.のChief Revenue OfficerであるStephen Patak氏からは、「Campus NaaSは、レガシーネットワークを再定義する~ AI Networking による自律化ネットワークの未来が今ここにある ~」をテーマに講演していただきました。

Patak氏はビデオにて参加し、顧客に寄り添ったUXの提供には「シンプル、セキュア、予測可能」なネットワークの構築が重要だと提唱。この信念のもと、多くの日本の関係者とパートナーシップを結んでいきたいという想いを語りました。

その後、Nile社のパートナーである弊社 ビジネス開発本部 プロダクトマネジメント部 エキスパートの吉田繁晴から、Nile社が提供するNaaS(Network as a Service)の特徴について発表させていただきました。Nile社は「管理しなくていいネットワーク」を目指し、ゼロタッチ導入、常時モニタリング、潜在的な問題の自動解決、パッチやバージョンアップの自動化などを可能にするネットワーク環境を提供します。こうしたNaaSのサービスが業界標準になりつつあり、ネットワーク運用の自動化という自律化ネットワークの未来が、現実になりつつあることを紹介しました。

プログラム後半で行われたパネルディスカッションでは、弊社 ビジネス開発本部 イノベーション推進部 ビジネス開発チーム マネージャーの井上勝晴がモデレーターを務め、大西氏と浅倉、吉田がAIやNaaSがネットワーク運用の未来をどう変えるかについて意見を交わしました。質疑応答なども交えつつ、ネットワーク運用の変革が求められる理由、AI導入におけるリスク、これからの運用者に求められる役割などについての議論が行われました。

関係者と協力しながら自分たちのできる一歩を踏み出したい〜登壇者様・参加者様より〜

ご登壇者様よりコメントを頂戴しました。

大西様:

今回のイベントは募集後すぐに定員に達したと伺い、ネットワークの自律化やAI活用に対する関心の高さを改めて感じました。光回線が普及する日本は世界有数のネットワーク先進国ですが、その一方で、次なる課題としてAIを活用した自律的な運用が求められています。

AIは万能ではなく、特定領域に特化したパートナーと捉えるべきだと私は考えています。画像生成AIのように、ネットワーク運用に特化したAIがしばらくは主流となり、徐々に他領域へ応用されていくでしょう。また、データを外部に出せない環境では、クローズドな形でAIを特化させる必要も出てきます。

本イベントのテーマである「共創」は、何かと何かをつなぎ、新しい価値やイノベーションを生み出すネットワークの本質を表す言葉です。私たちも皆様との共創を通じて、新しいネットワークの姿を共に創り上げていきたいと考えています。

他の参加者様からもさまざまなコメントを頂戴しました。

株式会社NTTデータ ソリューション事業本部 ビジネスプロセスサービス事業部 ITアウトソーシング統括部 統括部長 小針 隆幸様(写真 左):

今回発表された内容は、私たちが考えているIT運用の未来像と方向性が全くずれておらず、心強く感じました。講演で発表された事例は、その方向性の「一つの解」でした。一方で、先進的な取り組みを知ることで自律化ネットワーク実現の壁も改めて認識しました。今回の学びを自社での実装に活かすとともに、皆様と一緒に「解」を見つけていければと強く思いました。

株式会社NTTデータ ソリューション事業本部 ビジネスプロセスサービス事業部 ITアウトソーシング統括部 部長 津田 宗宣様(写真 右):

AIを活用したネットワーク運用の自動化というテーマは、インフラ全般をお客様に提供する立場として深く共感しました。一方で、AIはあくまでコスト削減などの手段に過ぎず、自律化ネットワークがお客様に提供する「ユーザーエクスペリエンス」のあり方については社内でも議論が続けられています。このイベントを機に、同じ課題意識を持つ方々と、お客様に何が提供できるのかを深く議論していきたいです。

KDDI株式会社 コア技術統括本部 次世代基盤開発本部 オペレーション技術開発部 ネットワークG グループリーダー 外山雅樹様:

自律化ネットワークについては社内でも議論されており、講演で紹介された事例を興味深く聞かせていただきました。弊社は固定系、モバイル系をはじめとしたさまざまなサービスを提供するネットワークを構築・運用しておりますが、全体最適となるネットワークのあるべき姿とは何なのか、それを実現する上で紹介された事例はどの部分で活用できそうなのか、弊社ならではの道を模索していきたいと考えております。

IT運用の未来を共創する場を提供しつづけたい〜ネットワンシステムズ株式会社 ビジネス開発本部 イノベーション推進部 部長 門脇 広平より〜

最後に、ITvalue+ の責任者の門脇からのコメントをご紹介いたします。

私たちは、2023年に共創拠点「netone valley」を開設して以来、毎年「ITvalue+」を開催しています。本イベントは、多様な人や企業が対等に議論し、新たな価値を共創することをミッションとしています。

3年目となる「ITvalue+ 2025」では、「IT運用の未来」をテーマに掲げ、10年後の自律化ネットワークを見据え、今取り組むべき課題について参加者と共に考える場を提供しました。企画段階から社内で何度も議論を重ね、AIOpsやNaaSなど、現場の運用課題に直結するテーマに取り組む専門家による講演やパネルディスカッションを実施。想定を大きく上回るお申し込みを頂いて迎えた当日は、登壇者によるリアルな事例紹介を通じて、実践的な気づきが得られる内容となりました。

会場には多くの部門長や課長クラスの意思決定者が集まり、真剣な対話と笑顔が交錯する中で活発なネットワーキングが行われました。その中には具体的な検討や導入につながる有益な出会いも多数生まれ、主催者としても大変意義深い場となったことを嬉しく思います。

今回テーマにもなったAIが人間の仕事を代替する時代が訪れても、理想や未来を語り合い、熱量をぶつけ合いながら新しい価値を描く営みは人間にしかできないと私たちは信じています。今後も「ITvalue+」では、様々な先端技術を軸にお客様のニーズに応じた企画を展開し、2030年、そしてその先の未来に向けた議論と共創を支援してまいります。