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Nutanix Objects 5.2 で始めるオブジェクトストレージ基盤の構築と活用

Nutanix Objects™ による、S3互換オブジェクトストレージの構築および管理についてご紹介いたします。

ライター:榎本 真弓
Broadcom 及びNutanix の仮想化製品の導入を推進しております。各製品の技術Updateや使い方など、有益な情報をお届けできればと思っています。
・VMware vExpert 2020-2026、Broadcom Knight
・Nutanix Partner Elite Member

目次

Nutanix Objects によるAI・データ活用を支えるオブジェクトストレージ基盤

生成 AI や AI エージェントの活用が進む中、AI モデルだけでなく、学習・検索・推論に利用するデータを安全かつ効率的に蓄積・活用できる基盤が重要になっています。
企業が扱うデータは、業務ファイルやバックアップに加え、ログ、画像・動画、IoT データ、AI 学習用データ、RAG で利用する文書など、多様化・大容量化しています。こうした大量の非構造化データの保管先として有効なのが、オブジェクトストレージです。

一方で、導入には専用ストレージやサーバー、ネットワーク、管理基盤の設計が必要になる場合があります。また、AI で利用する元データやバックアップデータを保護するため、改ざんや削除を防止する仕組みも求められます。

こうした要件に対応するのが、Nutanix Cloud Platform™ 上で動作する Amazon S3 互換オブジェクトストレージ Nutanix Objects™ です。

Nutanix Objects を利用することで、既存の Nutanix クラスタ上にオブジェクトストレージを展開し、AI・分析用データ、ログ、バックアップなどを一元的に保管できます。また、Amazon S3 API に対応しているため、S3 互換のアプリケーションや AI・分析ツールからデータへアクセスできます。

本記事では、Nutanix Objects 5.2 の検証結果をもとに、概要と構成、オブジェクトストアとバケットの作成、WORM の設定、データへのアクセス方法をご紹介します。

Nutanix Objects とは

Nutanix Objects は、Nutanix クラスタ上で動作する Amazon S3 互換のオブジェクトストレージです。

一般的なファイルストレージでは、ディレクトリとファイルによる階層構造でデータを管理します。ブロックストレージでは、仮想マシンやデータベースなどから利用する一定サイズのブロック単位でデータを管理します。これに対して、オブジェクトストレージでは、データ本体にメタデータと識別子を組み合わせた「オブジェクト」としてデータを管理します。階層構造に依存せず、大量の非構造化データを保存・管理しやすいことが特徴です。

Nutanix Objects の主な特徴は、以下の通りです。

  • Amazon S3 API に対応
  • Nutanix クラスタ上に展開可能
  • Prism Central による一元管理
  • 専用ストレージ装置なしで導入可能
  • 容量・性能に応じたスケールアウト
  • WORM による変更・削除の防止
  • バージョン管理、ライフサイクルポリシーに対応
  • Web ブラウザや S3 互換ツールからアクセス可能

Nutanix Objects は、バックアップやアーカイブの保管先、大量のログや分析データを保存するデータレイク、クラウドネイティブアプリケーションのデータ保管先など、さまざまな用途で利用できます。

WORM によるデータの保護

Nutanix Objects では、バケット単位で WORM(Write Once, Read Many)を設定できます。

WORM は、一度保存したオブジェクトを、設定した保持期間中は変更または削除できない状態にする機能です。書き込み後に内容を変更できない CD-ROM や DVD-R に近い考え方で、データの不変性を確保します。

WORM を利用することで、管理者権限を持つユーザーによる操作を含め、保持期間中のオブジェクトの上書きや削除を防止できます。そのため、次のような用途に活用できます。

  • ランサムウェア対策
  • バックアップデータの改ざん防止
  • 監査データの長期保管
  • 金融、医療、公共分野などにおける法令・規制対応

WORM を有効化した直後には、設定内容を変更できる 24 時間のクールオフ期間が設けられます。クールオフ期間の終了後は設定が確定し、保持期間中は対象オブジェクトの変更や削除が制限されます。

WORM は強力なデータ保護機能である一方、設定確定後の変更が制限されるため、保持期間や対象データを事前に十分検討したうえで設定することが重要です。

Nutanix Objects のアーキテクチャ

Nutanix Objects は、主に Worker Node と Load Balancer で構成されます。

Worker Node は、Nutanix Objects の主要なサービスが動作する専用 VM です。Worker Node 内では、オブジェクトデータの読み書きやメタデータの管理を行う Objects Controller などのサービスが動作します。複数の Worker Node で読み書き処理とメタデータ処理を分散することで、特定のノードへの負荷集中を抑制します。また、Worker Node を追加することで、オブジェクトストア全体の性能を拡張できます。

Load Balancer は、S3 クライアントやアプリケーションからのアクセス先として動作します。受信した HTTP/HTTPS リクエストを複数の Worker Node へ振り分け、アクセス負荷を分散します。

一般的な本番構成では、可用性とパフォーマンスを考慮し、複数の Worker Node と Load Balancer を配置します。本検証では、検証環境のリソースと I/O 負荷を考慮し、Worker Node を 1 台とした最小構成で動作確認を実施しました。

Nutanix Objects の利用に必要なライセンス

Nutanix Objects は、NCI Starter、NCI Pro または NCI Ultimate のライセンス環境において、1 TiB まで無償で利用できます。(参照 URL)

1 TiB を超える本番環境での利用には、Nutanix Unified Storage™(NUS)ライセンスが必要です。NUS には、仮想マシンなどのワークロードと Nutanix Objects を同一クラスタで利用する混合モードと、オブジェクトストレージ専用クラスタとして利用する専用モードがあります。

混合モードでは、NUS ライセンスに加えて NCI または NCP バンドルライセンスが必要です。専用モードでは、NUS ライセンスを利用して、クラスタをオブジェクトストレージ専用として構成します。

必要なライセンスのエディションや容量は、バックアップ用途、ハイブリッド構成、高スループット要件、All-Flash 構成など、利用目的やシステム要件に応じて選択します。

Nutanix Objects の構成要件

Nutanix Objects を展開する前に、Nutanix Marketplace から「Objects」を取得の上有効化します。有効化をすると、下記の画面で「Download Creation Checklist」を選択することで、前提条件を確認できます。

主な前提条件は以下の通りです。

  • Prism Element および Prism Central への DNS 設定
  • Prism Element および Prism Central への NTP 設定
  • Prism Element の Virtual IP および Data Services IP
  • Worker Node などを配置するための CPU、メモリ、ストレージ容量
  • Storage Network および Public Network の IP アドレス
  • AHV IPAM と DHCP プールの設定

Nutanix Objects では、Storage Network と Public Network の 2 種類のネットワークを使用します。

Storage Network は、Objects の内部コンポーネント間の通信やデータ転送に利用されるネットワークです。CVM と同一のネットワークセグメントを利用する構成が推奨されます。
Public Network は、S3 クライアントやアプリケーションが Nutanix Objects へアクセスするためのネットワークです。オブジェクトストアの Public Endpoint が配置されます。

小規模環境や検証環境では、Storage Network と Public Network を同一サブネットに配置することも可能です。一方、本番環境では、内部通信とクライアントからのアクセスを分離するため、別々のネットワークとして設計することが推奨されます。

オブジェクトストアの作成

Nutanix Objects のオブジェクトストアは、以下の画面から作成します。
Prism Central > Objects > 「Welcome to Objects」

オブジェクトストア名と対象のクラスタを指定します。

今回は検証環境のため、Worker=1 で作成します。

Storage Network、Public Network 用に IPAM NW と IP アドレスを指定の上、「Validate」を選択します。

Validation は検証環境では 4 分程度で終了しました。続いて「Create Object Store」より作成します。

検証環境では 30 分程度で作成が完成しました。オブジェクトストア名を選択する事で、詳細情報の確認が可能です。

オブジェクトストアの状態確認

作成したオブジェクトストアの詳細は、Prism Central から確認できます。
Prism Central > Objects > 「Object Stores」> 該当のオブジェクトストアを選択。
Summary 画面では、容量、Worker Node 数、クラスタ情報など、オブジェクトストア全体の状態を確認できます。また、「Scale Out」から Worker Node を追加し、性能や処理能力を拡張できます。

その他、容量の確認やアラート等の確認も可能です。

バケットの作成と WORM の設定

オブジェクトストレージでは、データを「バケット」と呼ばれる論理的な領域に保存します。
バケットは、以下の画面から作成します。

Prism Central > Objects > Object Store > Buckets > Create Bucket

バケットの作成時には、バケット名に加えて、必要に応じてバージョン管理とライフサイクルポリシーを設定します。バージョン管理は、オブジェクトの更新前のデータを、過去のバージョンとして保持する機能です。ライフサイクルポリシーでは、保存期間を設定し、期限を迎えたデータを自動的に管理できます。

バケット作成後は、対象バケットのメニューから「Configure WORM」を選択し、WORM を有効化できます。今回の検証では、設定例として WORM の保持期間を 7 年間に指定し、有効化できることを確認しました。

オブジェクトブラウザによるデータアクセス

Nutanix Objects Browser は、Web ブラウザから Nutanix Objects 内のバケットやオブジェクトを操作するための GUI で、下記よりアクセスします。

Prism Central > Objects > Object Store > Buckets > 「Launch Objects Browser」

Objects Browser では、こちらの手順にて IAM ユーザーを作成した上で、アクセスキーとシークレットキーを使用して Objects Browser にログインし、許可されたバケットへアクセスします。

今回の検証では、Objects Browser へのログイン、バケットの作成、データのアップロードおよびアップロードしたデータの参照が可能であることを確認しました。

バケット画面へのアクセス

「Upload Objects」により、データをアップロード可能です。

まとめ

今回は、Nutanix Cloud Platform 上で利用できるオブジェクトストレージ Nutanix Objects についてご紹介しました。

Nutanix Objects を利用することで、既存の Nutanix クラスタ上にオブジェクトストレージを展開し、オブジェクトストアやバケット、容量、性能、アラートなどを Prism Central から一元的に管理できます。また、WORM、バージョン管理、ライフサイクルポリシーを活用することで、データの長期保管や改ざん防止、ランサムウェア対策、法令・監査対応にも利用できます。データレイクや AI・分析用データ、バックアップ、ログの保管先として、またクラウドネイティブアプリケーション向けの S3 互換ストレージとして、有効な選択肢となります。

一方、本番環境への導入にあたっては、利用容量や性能要件だけでなく、Worker Node 数、ネットワーク分離、IP アドレス数、可用性、ライセンス、WORM の保持期間などを考慮した設計が重要です。

ネットワンシステムズでは、今後も Nutanix Cloud Platform をはじめとした、最適な仮想化・データ基盤の構築・運用をご支援いたします。

Nutanix、Nutanixのロゴ、および本文書に記載されているNutanixの製品名は、米国およびその他の国におけるNutanix, Inc.の登録商標または商標です。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。
組織・製品等の名称は執筆時点のものです。

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