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ローカル5Gの無線局免許申請に役立つ「地理院地図」 ~とある技術者から友人A君への手紙~

目次

拝啓
A君、その後、お元気ですか? 手紙(ローカル5GとWiFiの使い分け、その考え方案[1])を読んでくれて「頭の中が整理できて、助かったよー」とのこと、良かったです。一方、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、とうとう第5波が到来している状況で超悩ましいですね。この後、円滑に広くワクチン接種が進んで、人間がCOVID-19に勝てる日が早く来てほしいです。

こちらの近況ですが、前回の手紙の後、とうとう弊社もローカル5Gの実用局(4.8GHz帯)の無線局開設の申請を総務省関東総合通信局へ実施してね、先日、無線局免許状が無事に交付されたところです[2]。企業等が自営で利活用する無線通信システムの1つとして、ローカル5Gの使い勝手が本当のところどうなのか? ローカル5Gに適した伝送コンテンツや免許あり無線局の運用方法を、選任された弊社の無線従事者免許証を持った仲間といっしょに地道に追求して行きます。

今日は、ローカル5Gの無線局免許申請のときに役だった、「地理院地図(国土交通省 国土地理院が運用するウェブ地図)」について、この手紙でお伝えします。

免許申請の対応は、無線設備の製造業者に委託

今般のローカル5Gの無線局免許申請の対応は、導入する無線設備(基地局、無線端末(陸上移動局))の製造業者に委託しました。これ大正解でしたよ。免許申請には、導入する無線設備を基本とした様々な情報や対応が必要になるので、弊社だけの知見では、とても無理でした。

免許申請の対応を委託した無線設備の製造業者からは、申請に必要となる様々な事項について情報提供を求められるので、その都度、提供対応しました。その中の1つにローカル5Gの無線局の空中線、つまり、アンテナの位置を「緯度と経度」で提示すること、また、アンテナの「海抜高」を提示することがありました。この提示した情報は、免許申請において工事設計書の空中線系の項目に記入されることになるそうです[3]

そうすると、信頼できる「緯度と経度」と「海抜高」を、どうやって知るか?ですが、すごい時代になりましたよ。インターネットに接続した自分のパソコンのウェブブラウザで、地理院地図(国土交通省 国土地理院が運用するウェブ地図)を閲覧すれば、簡単に、その信頼できる情報を知ることが可能でした。

アンテナ(空中線)が建物の屋内に設置されると仮定した場合

ここで、アンテナ(空中線)が建物の屋内に設置されると仮定してみます。そうすると、次に示す4つの情報が必要になりますよね。

  • アンテナの位置(緯度と経度)
    (情報1)地理院地図で表示された地点の緯度と経度
  • アンテナの海抜高
    (情報2)地理院地図で表示された「アンテナが設置される建物の地点の地表面の標高」+(情報3)地表面からアンテナが設置される建物階の床面までの高さ+(情報4)床面からアンテナの最高部[4]までの高さ

ここで、各情報の入手先は、次のようになりましょう。

  • 情報1と2
    =地理院地図からわかる
  • 情報3
    =建物の所有者や管理者から教えてもらう(例:まずは、自社の総務部門等に相談してみるとか)
  • 情報4
    =現場で、自分で測定してみる等

地理院地図の操作方法:ある地点の「緯度と経度」とその地表面の「標高」を知る

地理院地図の操作方法は、国土地理院のウェブサイトに、わかりやすく説明されていて、助かります。ある地点の「緯度と経度」とその地表面の「標高」を知るためには、例えば、次に示すStepの順番に従って各Stepの「国土地理院ウェブサイト」の情報を参照して、とにかく地理院地図を操作してみると良いでしょう。論よりRUN!ですねー。

以下、(Step1)から(Step6)では、具体的な操作方法を理解できます。そして、(Step7)で地理院地図を表示できますので、その後は、(Step1)から(Step6)を復習しながら、任意の地点の「緯度と経度」とその地表面の「標高」を知ることができますよ。

(Step1) 地理院地図の使い方
<https://maps.gsi.go.jp/help/intro/>

(Step2) 誰でも役に立つ地理院地図の使い方を紹介します
<https://maps.gsi.go.jp/help/intro/general/index.html>

(Step3) 自分の家を見る
<https://maps.gsi.go.jp/help/intro/general/myhome.html>

(Step4) 地図を表示する
<https://maps.gsi.go.jp/help/intro/general/myhome.html#link01>

(Step5) 自宅周辺の地図を見る
<https://maps.gsi.go.jp/help/intro/general/myhome.html#link02>

(Step6) 自宅の標高や緯度経度を調べる
<https://maps.gsi.go.jp/help/intro/general/myhome.html#link03>

(Step7) 地理院地図で見てみよう
<https://maps.gsi.go.jp/#17/36.104964/140.085055/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f2>

なお、アンテナの位置の「緯度と経度」は、世界測地系に基づく値であることが総務省から示されていますが([5]のNo.34)、大丈夫です、地理院地図が表示するある地点の「緯度と経度」は、世界測地系に基づく値です[6]

地理院地図を使ってみた結果の一例

私が地理院地図を使ってみた結果の一例をご紹介しますね。写真1は、私が撮影した富士山の写真です。撮影地点は、関東の富士見百景として選定されている中の1つである「No.54 富士の見える橋((世田谷区)(東京都))」の「成城の不動橋」です[7]

写真1 「成城の不動橋」から見た富士山
撮影者:私、撮影日:2019年11月30日

その撮影地点の「成城の不動橋」の「緯度と経度」と「標高」を地理院地図で表示してみた結果が、図1です。図1の中央部分の「+」マークの地点が「成城の不動橋」です。その地点の「緯度と経度」と「標高」が、図1の中の下側部分に明確に表示されていますね!

図1 「成城の不動橋」の「緯度と経度」と「標高」
出典:国土地理院ウェブサイトの地理院地図


あっ、富士山と言えば、新田次郎の小説「富士山頂」を思い出します[8], [9]。実話が元になっている富士山頂に気象レーダーを建設する悪戦苦闘のお話。無線大好き人間の私としては、一気に読み終えた記憶があります。気象レーダーという無線局の開設に向けた無線局検査の件や、電波監理を担当する当時の郵政省との対応の件も、確か興味深く書かれていた記憶があります。久しぶりにまた読んでみようかな。。

それでは、お体を大切にされてください、またね!

敬具

追伸)参考資料です。

[1]松戸孝,"ローカル5GとWiFiの使い分け、その考え方案 ~とある技術者から友人A君への手紙~",
https://www.netone.co.jp/media/detail/20201218-1/, Net One BLOG, ネットワンシステムズ,2020年12月18日 ,参照 Aug.12,2021.

[2]"ネットワンシステムズの取り組み", https://www.netone.co.jp/service/local5g/,
ローカル5G~モバイルネットワークが提供する、柔軟で、強力なプライベートネットワーク~", ネットワンシステムズ,参照 Aug.12,2021.

[3]第5世代モバイル推進フォーラム 地域利用推進委員会,“ローカル5G免許申請支援マニュアル 2.02版,”第5世代モバイル推進フォーラム,p.43, https://5gmf.jp/wp/wp-content/uploads/2021/04/local-5g-manual2_02.pdf, 2021年5月10日, https://5gmf.jp/case/4484/, 参照 Aug.12, 2021.

[4]総務省,"無線局免許手続様式 >2.無線局事項書及び工事設計書 >区分2 別表第二号の二第2 工事設計書 記載要領 注12(2)", https://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/download/proc/216-3.pdf, https://www.tele.soumu.go.jp/j/download/proc/index.htm, 参照 Aug.12,2021.

[5]総務省,“別紙1:提出された意見及びそれに対する総務省の考え方, 34 個人,”ローカル5G導入に関するガイドライン案に係る意見募集の結果及び策定したガイドラインの公表 -ローカル5G等導入のための制度整備-, https://www.soumu.go.jp/main_content/000659869.pdf, https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban14_02000001_00002.html, 2019年12月17日, 参照 Aug.12, 2021.

[6]国土交通省 国土地理院, "地理院地図で得られる値等について", https://maps.gsi.go.jp/help/howtouse.html,参照 Aug.12, 2021.

[7]国土交通省 関東地方整備局,"関東の富士見百景>【54】富士の見える橋(世田谷区)(東京都)>成城の不動橋", https://www.ktr.mlit.go.jp/chiiki/fujimi0054.html, 参照 Aug.12, 2021.

[8]新田次郎, "富士山頂", 文春文庫, https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167112417, 参照 Aug.12, 2021.

[9]「文藝春秋」写真資料部, "富士山レーダー建設を担った新田次郎", 文春写真館, https://books.bunshun.jp/articles/-/2694, 2012年5月14日, 参照 Aug.12, 2021.

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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