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AI Networking Summit in NY 2025で語ったITインフラ運用におけるAIと人間の協業の未来像

前編ではAI Networking Summit in NY 2025の全体像を紹介しました。後編ではネットワンシステムズが「Japan’s Autonomous Network Vision: Enterprise Demands in Focus」と題して本イベントで講演した内容をもとに、時間の都合で語れなかった内容を追加してご紹介します。

ライター:片野 祐
ネットワンシステムズに新卒入社し、PF, NW, SW, AIといった様々な製品、技術の担当として技術検証、提案導入支援、データ分析等を行ってきた。その後、よりお客様に近い立場でSW開発支援や自動化技術を中心とした案件推進活動を実施。現在は運用高度化を目指し自動化技術の製品担当やソリューション開発に従事。

目次

日本における IT 運用の課題

 昨今、ITインフラの運用を自動化/自律化して品質を上げる、工数を削減するという話がよくされていると思います。この自動化/自律化は目的ではなく手段であり、より注力すべき業務に割く時間を作るために、現在の業務を効率化することが多くの企業で検討されています。業務の効率化は実施できると嬉しいものの現在は手作業でも業務が実施できていることや、そもそも効率化に割く時間が取れないことで優先度が下がっていたという話を伺うこともあります。しかし、現在の日本においては業務効率化については「取り組まなければならないこと」に変化しているのも事実です。その理由の一つに「労働人口減少とIT人材不足」が挙げられます。

※弊社講演資料より抜粋。https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/001341810.pdfhttps://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdfから引用。

日本における労働人口は毎年320万人ずつ減少しており、2030年にはIT人材が45万人不足すると言われています。この労働人口減少については数年前からよくグラフをもとに語られてきましたが、一つの目安とされていた2030年もそう遠くない未来になってきています。またグラフに示されるように2030年以降も労働人口は減少する予測となっており、これまでは続けられていた「人手頼み」のIT運用がついに限界を迎えることが予想されます。

※弊社講演資料より抜粋。https://www.buffalo.jp/press/detail/20240918-03.htmlから引用。

この労働人口減少やIT人材不足は以下の二つの課題と組み合わさり、さらにリスクを高めていきます。

  • 属人化:業務が特定の人に依存していることで、その人が不在になると業務が止まってしまう。
  • 複雑性の増加:以前に比べハイブリッドクラウド、マルチクラウドの利用が増えることで、ITインフラの管理、運用の難易度が急増する。


また、日本の経営者の43%がネットワーク運用の人材不足をすでに認識しているとも言われています。

※弊社講演資料より抜粋。https://futureofwork.saltlab.stanford.edu/から引用。

ここ数年ではこれらの課題の解決策の一つとしてAIの活用が検討されていると思います。世界的に見るとAIや自動化/自律化はこれまで人間の仕事を奪っていくという見方もされていましたが、近年これらは「脅威」ではなく「解放」と捉えられるようになっています。スタンフォード大学の調査によると、労働者の46%が「繰り返し作業をAIに任せたい」と答え、70%近くが「自身はより価値の高い創造的な仕事に時間を割きたい」と考えています。つまり、人間とAIや自動化/自律化がバランスよく協働していく未来を描いているのです。

AIと自動化を組み合わせたこれからの運用のアプローチ

 上記の課題や考え方の共有に続き、ネットワンシステムズの講演では運用のワークフローにAIを組み込むとどのように運用者の役割が変わっていくのかをデモを交えてご覧いただきました。デモは以前のブログ( Red Hat Ansible Automation Platformを使ったAIOps -ITインフラの運用自動化/自律化プロトタイプの作成- | ネットワンシステムズ )でご紹介したアーキテクチャをベースに、いくつかアップデートをした内容を行いました。(ワークフロー全体については上記のブログの内容をご覧ください。)

ワークフロー開始のトリガーをログではなく、ユーザーからの問い合わせに変更

以前のデモ環境ではhttpdのサービスが停止したログを起因に、修正のワークフローを開始していました。今回は監視対象としているwebサーバを利用しているユーザーから「いつもアクセスできていたサイトにアクセスできなくなった」という問い合わせをもらったことを起因として、それを運用者がServiceNowを使いチケット起票することでワークフローを開始しています。このようにすることで、デモではITインフラの障害対応をシナリオとしていましたが、広く「問い合わせ対応」という業務に応用できないかと考えています。

障害の原因特定の際、ITインフラの何を調べればよいのかをLLMが検討する

今回のフローではユーザーからの問い合わせ内容を自然言語でチケットに書き込み、LLMがその内容を使って管理しているITインフラの何を調べれば原因を特定できるのか、調べるために必要なアクションは何であるかを自動で検討します。さらにその
アクションをLLMがAnsible Playbook化し実行することで、原因特定に必要な情報を集めます。得られた情報をもとに、障害解決に必要な対処をさらにAnsible Playbook化し、障害解決のフローが進んでいきます。以前はITインフラで何を調べるかについては人間が定義していましたが、より汎用的に調査が行えるように、LLMに調査内容を作成することを任せられるようになりました。

 今回のアーキテクチャと、このシステム導入前後でのトラブルシューティング時の人間の関わり方の変化を示した図が以下となります。

※弊社講演資料より抜粋。

今回のフローにおいても、障害を復旧するためのアクションの実行を最終的に決めることは人間が行っています。私がイベントの中で参加したセッションにおいても、このような「Human in the loop」の考え方に基づいた自動化/自律化の実装を最初のステップとして行っている印象が強かったです。AIでできることが急激に増えていく中で、運用やワークフローの在り方も既存の延長線上にあってよいのか、AIを中心に据えて運用を抜本的に変える必要があるのか、それは現実的なのかをあらためて考えるきっかけにもなりました。

まとめと展望

 本記事ではAI Networking Summit in NY 2025でネットワンシステムズが講演した内容を紹介しました。当日の講演の様子は以下でご覧いただけます。

管理、運用をする環境によって他の要素の必要性や、目的によって実装していくレベル感や人間の関わり方も変わると考えています。より現実的に使っていけるよう、引き続き本デモの内容をアップデートしていく予定です。また、弊社には上記講演の内容を含め、先端技術を体感するための場として「Innovation Showcase」があります。ご興味のある方は是非弊社の担当営業までご相談ください。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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