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企業をGXへと駆り立てる法規制:省エネ

こんにちは。テクノロジーにあまり関係ない記事を連投している謎のエンジニア、根本です。実はロボティクスも担当しております。弊社にはnetone valleyという新しい拠点ができたのですが、省エネを大事にする私は、netone valleyに置いてあるロボットを活用して「テレポート」するかの如く、ロボ出社するのがニューノーマルになってきました。そんな私の今回のブログですが、ロボットとは全く関係なく(!)、省エネのほうにフォーカスを当てて記事を書いていきます。

目次

はじめに

前回は企業がGXを進めるモチベーションのひとつ「規制」のうち、カーボンプライシングにフォーカスを当てて記事を投稿しました。今回は数多くある規制のなかから「省エネ」にスポットライトを当てていこうと思います。

さて、わりと日常的に耳にする省エネですが、省エネ法や建築物省エネ法という法律を根拠に、様々な制度が国内に存在しています。省エネ法の正式名称は「エネルギーの使⽤の合理化及び⾮化⽯エネルギーへの転換等に関する法律」といい、令和4年に改正されています。この法律を根拠とする主要な制度を以下で列挙していきます。

トップランナー制度

主に民生部門の省エネを進めるため、市場にある製品の中で最も省エネな製品の性能が基準として設定されています。基準に達しない場合は、勧告、公表、命令、罰則(100万円以下)の措置がとられます。ちなみに、国際的な認証制度としてはエナジースタープログラムがあります。

トップランナー制度については経済産業省の資源エネルギー庁が対象機器と内容を公開しています。試しにスイッチについて見てみましょう。

スイッチング機器

対象範囲:インターネット専用で、二以上の経路の中から特定の経路を選択して電気通信信号を送信する機能を持つ機器

対象外:無線付きL2スイッチ、イーサネットフレームを伝送交換しない機器、インターネットプロトコルのパケットを伝送交換する機器、シャーシ型の機器など

基準の考え方:消費電力を最大実効伝送速度で割ったエネルギー消費効率値を区分ごとに出荷台数により加重平均した値が、区分ごとの目標基準値を上回らないようにする必要がある

ベンチマーク制度(産業トップランナー制度)

この制度は先ほどの個別製品を対象とするトップランナー制度とは異なり、特定の業種全体を対象としています。対象事業者はエネルギー使用量、ベンチマーク制度の指標の値などを報告する必要があります。なお、2022年に追加されたデータセンター業の最初の報告は、2023年7月提出分となります。

データセンター業を例に、もう少し詳しくベンチマーク制度について見てみましょう。

  • ベンチマーク指標:PUE
  • 目標水準:PUE 1.4以下

PUEとはデータセンターにおけるエネルギー使用量を、施設内で稼働しているIT機器のエネルギー使用量で割った値のことです。1に近いほど良い数字と言えます。

さて、このPUE 1.4以下という目標、一体どのくらいの水準なのでしょう。制度としては、業種ごとに上位1~2割の事業者が達成している水準を基準とするようです。

実際に日本データセンター協会の2021年の公開データを見てみると、平均値が1.7、最小値が1.2、最大値が2.6となっています。調査対象の98件のDCのうち、1.4以下のDCは15件(全体の約15%)ですので制度が定める水準の範囲内と言えそうです。

経済産業省が出しているGX実現に向けた基本方針にもある通り、グリーンDCの数は今後増えていくと予想されます。世界的にみてもグリーンDC市場は成長が見込まれています(CAGR 23.4%)。

オフィス利用者への規制(規範)

さきほどはデータセンターを例に見てみましたが、一般的なオフィスに対する規制はあるのでしょうか。

調べてみると、関連する法律としては、省エネ法、建築物省エネ法、グリーンビルディング推進法などが考えられそうです。また、本稿のテーマである「規制」というより、規範・行動方針ではありますが、環境省が公開しているリーディングテナント行動方針というものもあります。

この行動方針に関連してビルの評価方法のひとつに、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)というツールがあります。これは、環境負荷低減への配慮、室内の快適性、生物多様性、景観への配慮等の環境品質も含めた建物の環境性能を総合的に評価するものです。

CASBEEの高評価を受けたビルオーナーは評価を維持するために、テナントと協力して省エネ行動を促進していく可能性が考えられます。一例として、エネルギー管理システム(BEMS)を活用した省エネ行動のフィードバックやエコチューニングなどです。グリーンリースも関連するトピックですが、次回の記事で書いていこうと思います。

まとめ

今回はここまでとなります。

機器やサービスの利用者の観点から、より環境に良い行動を示す道しるべとして、様々な規制・規範があることが分かりました。省エネ社会の実現に貢献するためにも「ロボ出社」は継続していきたいと思います。次回は、グリーン調達について投稿したいと思います。

写真:ロボ出社する筆者(社内アイディアソン参加中)

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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