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最新のテクノロジーを使いこなし、俊敏性やスケーラビリティが高いとされるデジタルエンタープライズ。本Net One BLOGでも何度か紹介されてきたデジタルエンタープライズ実現に貢献するITインフラをどのように検討すべきか?の観点で開発したITインフラ成熟度レベルマップを紹介します。
ITインフラをとりまく現状
正常に動いているのが当たり前とされるインフラ。電気、水道、ガス、道路、通信といった公共施設としてのインフラだけでなく、ITインフラにも同様のことを求められているかもしれません。そして、動いてさえいればよいということで、ITインフラの更改に関しては、製品ベンダーによるサポート終了(EOL)を気にするくらいというケースもあるかもしれません。
しかし、テクノロジーの進化や環境の変化に伴い、ITインフラは様々な面で進化を続けています。例えば、企業向けネットワークにおいて大きな変革をもたらしたSoftware Defined Network(SDN)が出現したのは、もう10年も前のことです。その後も、Software Defined Storageや、Software Defined WAN(SD-WAN)と、新たなSoftware Defined Xが登場し続けていますし、DevOps、Infrastructure as Code(IaC)、AIOps、Site Reliability Engineering(SRE)、Observability、Secure Access Service Edge(SASE)、Zero Trust、Security Service Edge(SSE)、FinOpsなど新たなテクノロジーや概念が続々と広まっています。
では、これらの最新のテクノロジーを取り入れて使いこなす組織のITインフラはどのように検討すべきでしょうか。現状では何か課題があって新たなテクノロジーの導入を検討するケースが多いと思います。しかし、そのようなアップデートでは、なかなか最先端のテクノロジーまで至りません。そして、その結果、最新のテクノロジーを知ることもなく現状に満足してしまうかもしれません。
ITインフラ成熟度レベルマップ
そこで、当社では、最新のテクノロジーを使いこなす組織になるためには、必要となるITインフラ進化のイメージを先ず持つことが有益と考え、ITインフラ成熟度レベルマップを開発しました。
昨今、ITインフラに関しても様々な成熟度モデル(Maturity Model )が存在していますが、その多くが DevSecOps、Zero Trust Securityなどの特定のテクノロジーにフォーカスしたものです。このITインフラ成熟度レベルマップは、自動化(Automation)、可観測性(Observability)、コンプライアンス・セキュリティ(Compliance・Security)、弾力性(Elasticity)、投資・管理(Investment・Management)の5本の柱を設定し、それぞれの柱ごとに5段階のレベルで表現しています。そして、特定のテクノロジーにフォーカスすることなく、更に費用対効果も含めた、現在既に広く普及しているものから最先端のものまでを網羅しており、これらの網羅性が従来の成熟度モデルとの違いとなります。

このITインフラ成熟度レベルマップにより、先ず組織のITインフラの現在の状況を把握し、そして、最先端のテクノロジーや概念に触れていただくことができます。更に、バリュードライバー(ITインフラの進化により組織にもたらされる価値)の洗い出しを実施し、このバリュードライバーと組織のビジネス戦略をリンクさせることで、組織のビジネス戦略に貢献するITインフラのイメージを描くことも目指しています。

まとめ
最新のテクノロジーを使いこなすデジタルエンタープライズにふさわしいITインフラの検討において、現状を把握した上で、ビジネス戦略に貢献する進化したITインフラのイメージを持つことは有益です。最初にビジネス戦略にリンクする全体をイメージすることで、最先端のテクノロジーや概念にスムーズに到達し、そこからステップを踏んだロードマップ策定へ進むことも容易になります。今回紹介したITインフラ成熟度レベルマップは、今後、2020年6月16日に発表した「ネットワンブリーフィングセンター(nBC)」などの、お客様と一緒に次世代のITインフラをワークショップ形式で検討する場での活用から始める予定です。
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。