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【端末利用者の視点】無線LANのトラブルシューティングを考える(2)

ライター:力石 靖
2001年にネットワンシステムズに新卒入社。

入社時より、日本国内の無線LAN市場とともに歩む。
無線LAN製品担当、社内技術支援対応、および保守部門と渡り歩き、
プリセールスの技術支援からポストセールスまでの知識と経験を有する。

2021年現在は無線LANやクラウド技術を利用したサービスの開発、提案に従事。

目次

ネットワンシステムズ 力石(ちからいし)です。
無線LANのトラブルシューティングについて、第2回です。

前回の記事はこちらです。
初めてこの記事をご覧になられた方は、合わせてご覧ください。

前回のおさらいと今回お伝えすること

前回記事では、以下の内容をお伝えしました。
今回は「端末利用者の視点から見たトラブル」について、深掘りをします。

図1:トラブルシューティングの視点と観点

端末利用者の視点から見た、トラブルシューティングの勘所

無線LANのトラブルはどこで一番多く発生するのか?皆様も気になるところかと思います。

私の経験談ではありますが、端末側に起因したトラブルが比較的多い と感じています。
そのことから、端末側で得られる情報が多いほどトラブルシューティングに役立つと考えています。

下図に、トラブルシューティング対応の大きな流れを示します。

図2:トラブルシューティングの流れ

 

今回は「状況の把握」について深掘りし「原因の特定」「対処の実施」につなげる、という流れで、トラブルシューティングをすすめます。

端末利用者からの聞き取り(基本的な内容)

この項目では、申告のあった端末利用者よりトラブル発生時の状況を聞き取り、把握するための情報をお伝えします

下図に、端末利用者に対し必ず聞き取りいただきたいと考える事項を紹介します。
図中左側の「観点」は前回整理をした内容となります。

図3:無線LAN端末利用者への聞き取り事項(基本的な内容)

 

さらに、トラブルの原因追及まで行う際は「発生する頻度・再現性の有無」の把握が最も重要です。

理由として、トラブルが1回だけ発生してその後の再現がない場合※1、多くの場合メーカー側でも原因追及が困難である というのがあるためです。

※1:検証環境があり、トラブルを再現させることができる場合は原因の追究にとても有用となります

端末利用者からの聞き取り(端末の詳細内容)

端末側に起因したトラブルについて、調査の結果 端末のOSや無線LANアダプタのドライバーが持つ不具合が原因 となって発生した、ということがあります。

その切り分けについては、下記の端末の詳細内容について聞き取りができるとより効果的に対応を進めることが可能です。

下図に、端末利用者に追加で聞き取る事項を紹介します。
図中左側の「観点」は前回整理をした内容となります。

図4:無線LAN端末利用者への聞き取り事項

無線LANシステム上で得られる情報を活用する

無線LANシステム側※にて、端末の詳細な情報を取得できる場合があります。
以下、Webブラウザ等で見られる管理者画面で得られる情報の例をご紹介します。

※無線LANシステムの定義については、前回記事をご覧ください


図5:無線LANシステムで得られる情報の活用

 

実際に得られる情報について、Cisco Catalyst9800 Wireless Controllerの管理者画面を例に下図に示します。

端末が接続しているアクセスポイントの特定といった、端末利用者への聞き取りのみでは把握ができない、もしくは把握しづらい内容について情報が得られます。

図6:コントローラのアクセスポイント情報(Cisco Catalyst9800 Wireless Controllerの場合)

 

図7:コントローラから見た、接続している端末の情報(Cisco Catalyst9800 Wireless Controllerの場合)

 

またメーカーにより、トラブルシューティングにおける情報収集に関し、案内をされている場合があります。
参照いただくことで、発生しているトラブルのさらなる把握に役立ちます。

以下、Cisco社における例をご紹介します。

(外部サイト)無線端末が接続できないときに取得する基本ログと対応指針

トラブルの特定と対処(端末利用者の視点)

これまでに集めた各種の情報から、トラブル発生状況の特定および対処を実施します。

端末側にトラブルの原因がありそうだという判断ができた場合、またトラブルの原因が絞り込めずに切り分けを実施という際は下図通り対応を行います。

図8:端末側のトラブル発生時対処

 

上記対応の結果発生していたトラブルが解決したら、端末側に原因があった可能性が高まります。
数日間様子を見て、トラブルが再発しなければ解決、ということになります。

しかしながら日を置かずトラブルが再発してしまった、または端末側で複数回対処を実施しても状況に変化がない場合、どのようにすべきでしょうか?

このあたり、次回の内容としたいと考えています。

まとめ

今回は無線LANのトラブルについて、端末利用者の立場における情報の深掘りと対処の考え方についてお伝えしました。
無線LANのトラブルは端末側が原因になっていることが多い、という点と、どのように情報を収集し、対処につなげていくか?という点を押さえられたかと思います。

あらためて、本シリーズの核心であるトラブルの視点と観点の図を確認しましょう。

図9:トラブルの視点と観点

 

次回は、無線LANシステム側から見たトラブルシューティングにおける、深掘りの考え方をお伝えします。
両輪となる情報が揃うことで、トラブルの発生原因により近づくとともに、効果的な対処の実施につながります。

引き続きお付き合いいただけますと幸いです。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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