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VMware NSX® Data Center for vSphere®のVMware NSX-T™ Data Centerへの移行に関する状況(2021年3月)

ライター:新林 辰則
2007年にネットワンシステムズに入社
ロードバランサー製品の製品技術担当を経て、現在はSDN・仮想化の製品・技術領域を担当し製品や技術の評価検証、お客様への提案の技術支援等を行っている。
最近はプログラマブルネットワークにも注目し、情報収集活動、セミナーでの発表などを実施。

目次

2021年3月現在、VMware NSX® Data Center for vSphere®(以下「NSX-V」)は、テクニカル ガイダンスの終了が2023 年 1 月 16 日予定となっており、新機能の拡張等が行われるVMware NSX-T™ Data Center(以下「NSX-T」)への移行が推奨されています。今回の記事では、NSX-VからNSX-Tへの移行について今現在の状況をお伝えいたします。

移行の方法

移行の方法には大きく分けると2つあります。1つは、NSX-TのユーティリティであるMigration Coordinatorというツールを使用し、NSX-V環境の設定をNSX-Tのものに変換・移行させる方法です。もう1つは、NSX-Tへの移行用ホストを用意し、既存仮想マシンの移行や、ある程度NSX-V環境との共存期間を経て順次メンテナンスウィンドウで移行を実施していくといった方法になります。

※2種類の移行の方法

Migration Coordinatorを使用した移行は、追加のハードウェアリソースが不要かつ、自動的にNSX-V環境の設定の抽出とNSX-T環境への移行を進めてくれるので便利ではあります。しかし、ツール上で移行がサポートされていない機能やトポロジも存在するため、実際の利用の際には各コンポーネントのコンパチビリティと共に公式ドキュメント等で確認していく必要があります。代表的なものとして、Edge Service Gatewayや分散論理ルータでルーティングプロトコルとしてOSPFを使用している環境は、今現在のMigration Coordinatorのバージョンでは対応していない環境となります。NSX-T移行用のリソースを用意したリフト&シフトの方法では、移行のためのリソースが必要かつ、設定の移行も手動もしくは、スクリプト等を作成して対応する必要がありますが、柔軟に移行の計画やスケジュール、トポロジを組み立てて、対応することができます。

NSX-TのOSPF対応

NSX-Tの現在の最新バージョンである3.1.1からOSPFv2がT0ルータでサポートされるようになりました。これによってNSX-V環境のEdge Service Gateway(ESG)でOSPFを使用している場合にも設定を大きく変えることなくNSX-T環境に移行することが可能になります。ただし、前述のとおり、Migration Coordinatorを使用した移行方法にOSPFはまだ対応していないため、注意が必要です。

※よりNSX-V環境の設定を踏襲した移行が可能になった

いままでのNSX-Tのバージョンの機能として、NSX-Vでも使用されていたベーシックなネットワーク機能は実装されており、大部分の要件はNSX-T側で実現することができていましたが、OSPFを使用したルート交換を物理ルータとの間で実行されている環境については、移行に懸念が残る状況が続いていました。今回の3.1.1のリリースでそれが払拭され、さらに多くの環境がNSX-Tに移行できる準備が整ったといえるかと思います。また、VMware vSphere® 7.0のvDS7とNSX-T3.0以降の組み合わせでは、vDS上にNSX-Tの機能をインストールし、N-VDSと統合して利用できるため、vDSと併用する場合にN-VDSのための物理NICを別途用意する必要もなくなっています。

まとめ

今回の記事では主にNSX-VからNSX-Tへの移行について、今現在の状況をお伝えいたしました。もちろんNSX-Tは新機能の開発が積極的に行われており、前回記事でご紹介しました分散IDS/IPSといったセキュリティ機能や、本記事下部の関連ページでご紹介しているNSX-Vには無かった新機能も続々追加されています。今後の新バージョンのリリースに伴って、今回ご紹介しました移行に関しての状況も変化していくことが予想されるため、その際にはまた本ブログ上にて情報発信いたします。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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