昨年末から OpenClaw をはじめとする Personal Agent が話題になりました。これらの Personal Agent の考え方を参考に、社内向けに NetOne Claw を開発しました。
- ライター:荒牧 大樹
- 2007年ネットワンシステムズ入社し、コラボレーション・クラウド製品の担当を経て現在はAI・データ分析製品と技術の推進に従事。最近では次世代の計算環境であるGPU・FPGA・量子コンピュータに注目している。
目次
Personal Agent について
OpenClaw に限らず、生成 AI を活用したさまざまな Personal Agent が登場しています。各 Personal Agent に共通して実装されている機能は主に以下の通りです。
- 各システムへの接続
・API を使った接続
・公開 API がない場合でもブラウザ操作など複数の手法で接続
- 問題解決
・コード生成と実行やソフトウェアのインストールなど、多様な手段での問題解決
・ファイル識別などでは条件式による地道な処理も事前に実装
- 定期実行
・Heartbeat による 30 分ごとの定期実行(データ抽出など)
・毎週・毎日実行のスケジュール(朝のルーチンなど)
- メモリ・自己改善
・実行した作業から重要情報を抽出し、必要に応じて注入する
・手動・自動の組み合わせでスキルを作成・改善する
各社の対応
各社は、OpenClaw を安全に運用するための環境を提供している場合と、機能を参考にして独自に作り直している場合とがあります。Microsoft Scout や NVIDIA Nemo Claw は OpenClaw を安全に接続できる環境を整えています。
今回はPersonal Agent の機能を参考にしつつ、ネットワンシステムズ社内で使いやすい形に整備して NetOne Claw を開発しました。
NetOne Claw の機能
ネットワンシステムズ社内で標準的に利用されているメール、予定表、チャット、Web 会議、クラウドストレージ、社内ポータルに対応しています。各種システムを連携させることで、以下のような機能を実現しています。
- 周知の要約
・社内ポータルの周知のうち、興味がありそうな内容を週に 1 回配信します。
・メール・チャットなどから興味を示すワードを形態素解析で抽出します。
- 作業計画と予定の追加
作業計画を立てて期限付きタスクとして登録します。タスクの所要時間を想定して、空いている時間帯に作業予定を自動で登録します。ヒアリングも行って計画を立ててくれます。
- メモリ・マイスキル
・予定や関係性などの業務情報は定期的に自動抽出し、グラフ構造で保存・活用します。
・スキルは自動提案と手動での追加が可能で、定期実行の設定もできます。
・重要な単語や知識はメモリとして保存されます。
1カ月のテスト運用結果
利用状況
NetOne Clawを1カ月テスト運用した結果、メール検索、Box検索、WebExメッセージ検索、人物検索、スケジュール確認、社内ポータル検索、会議室空き確認、ファイル読み取り、空き時間確認、他者スケジュール確認の順で使われています。
検索系(メール・Box・WebEx・社内ポータル・ファイル) が全ツールコールの約56%を占め、「横断検索」が最も多いユースケースとなりました。
LLMコスト削減の取り組みの結果
Personal Agent のコストで大きな割合を占めるのは LLM の利用料です。これを削減するために以下の工夫を行っています。
- /コマンドや形態素解析を用い、LLM を経由せずにタスクを完了させる(約 8% 削減)
- タスクの場面に応じて安価なモデルを使い分ける(約 57% 削減)
- LLM の応答キャッシュを積極的に活用する(約 14% 削減)
合計で約 79% の削減効果が確認できています。
まとめ
ネットワンシステムズ社内での Personal Agent に関する取り組みを紹介しました。
今後、接続先システムの変更・追加・削除などは発生すると考えられますが、コア機能は継続して利用可能です。また、作業タスクの分解、期限設定、予定の自動登録といった機能は特に有用と考えて実装しましたが、予定を入れても予定どおりに人が作業しない事もわかってきており、さらなる対応が必要と考えています。
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。
組織・製品等の名称は執筆時点のものです。



