ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文へ (c)

ここから本文です。

週3日出社で何が変わったのか-Databricks Genie Spacesを使ってセンサーデータを読み解く

ネットワンでは、コロナ禍をきっかけにフルリモート勤務へ移行しましたが、4月から週3日の出社に切り替わりました。イノベーションセンター(通称netone valleyに張り巡らされたセンサーのデータは、Confluentを経由してDatabricksに蓄積されています。今回は、Databricks Genie SpacesのAgentモードを使って、このデータを分析してみたいと思います。

データドリブンな働き方:活用センサーご紹介 | ネットワンシステムズ

ライター:荒牧 大樹
2007年ネットワンシステムズ入社し、コラボレーション・クラウド製品の担当を経て現在はAI・データ分析製品と技術の推進に従事。最近では次世代の計算環境であるGPU・FPGA・量子コンピュータに注目している。

目次

分析するセンサーデータ

今回利用するのは、設置されているCisco Merakiのカメラセンサー、空気品質センサー、そしてSEIKOのCO2センサーのデータです。

  • カメラセンサー:カメラの前に立っている人数を検出
  • 空気品質センサー:騒音、気温、湿度、PM2.5を計測
  • CO2センサー:室内のCO2濃度を計測

これらのデータは、DatabricksのUnity Catalogに保存されています。以下は各データの取得間隔です。

データ エリア種別 取得間隔
人数 カメラエリア(7エリア) 200ミリ秒
PM2.5 オープンスペース(10エリア) 5分
PM2.5 会議室等(8エリア) 1秒
騒音 オープンスペース(10エリア) 5分
騒音 会議室等(8エリア) 5秒
温度 オープンスペース(10エリア) 2分
温度 会議室等(8エリア) 30秒
湿度 全エリア(18エリア) 2分
CO2 全部屋(22部屋) 1分

分析対象データ量

今回の分析では、2026年3月1日〜4月27日に取得されたデータのうち、テーブルごとに52日分、合計約7,300万レコードを対象としました。

データ

レコード数

日数

エリア/部屋数

人数

3,091万件

52日

7エリア

PM2.5

3,144万件

52日

18エリア

騒音

629万件

52日

18エリア

CO2

189万件

52日

22部屋

温度

144万件

52日

18エリア

湿度

144万件

52日

18エリア

合計

7,341万件

Databricks Genie Spacesについて

Genie Spacesは、データとチャット形式で対話しながら分析を進められる機能です。これまでは、データと対話しながら分析を進めるスタイルが中心でしたが、新しいAgentモードでは、簡単な指示を出すだけで自動的に分析を行い、レポートまで作成してくれます。

今回のデータ量でも、分析はおよそ1分程度で完了しました。Genie Spacesでは、Unity Catalogに保存されたセンサーデータを参照先として設定しています。

センサーデータの分析

3月と4月の傾向を分析してもらう

まず、3月までと4月以降の違いを、Genie SpacesのAgentモードに分析してもらいます。使用したプロンプトは以下の通りです。

「4/1から週3日出社となりました。4/1の最初の週と、それ以前との違いを分析してください」

このプロンプトを入力すると、以下のように自動的に分析が進んでいきます。

第1週目が終わった時点での分析結果は以下の通りでした。興味深いポイントを抜粋します。

  • 4月最初の週は、3月比で人数が約92%増加
  • その後も高水準を維持
  • 週3日出社の開始により、平日1日あたりの平均カウント数は、3月の約105万から4月最初の週に約202万へとほぼ倍増
  • 4月第2週以降も約197万と高い水準が定着

期間

平日1日
平均
カウント

平均温度
(℃)

平均湿度
(%)

平均騒音
(dB)

平均CO2
(ppm)

3月(変更前)

1,047,102

25.8

45.2

45.1

477

4月最初の週

2,015,950

26.2

50.5

44.1

488

4月2週目以降

1,972,307

27.0

44.5

44.6

469

ここでいうカウントとは、定期的に取得される「カメラ前の人数」の合計値を指します。

時間帯別の変化

4月最初の週は、特に午前8〜10時と午後13〜16時のコアタイムで大きく増加していました。3月は17時台まで比較的フラットだったのに対し、4月は午前中にピークが来る傾向へと変化しています。

時間帯

3月平均

4月最初の週

増加率

8時

1.39

2.34

+68%

10時

1.68

2.95

+76%

15時

1.88

2.95

+57%

4月第1週と、それ以降の比較

次に、4月第1週と第2週以降で何が変化したのかを分析してもらいました。使用したプロンプトは以下の通りです。

「4月の第1週と第2週以降で、トレンドに変化はありましたか?」

時間帯パターンの変化

各週での時間帯のパターンを分析すると以下の結果となりました。

  • 第1週(赤線):10時と15時に明確なダブルピーク(約2.95)。制度開始直後の「朝一で出社する」傾向を反映
  • 第2週(青線):全体的にフラットになり、ピークが12〜14時のランチ前後へ移動。午前中への集中が緩和
  • 第3週(黄線):9時にピーク(2.66)が戻り、16時にも高い値(2.73)。午前と夕方に山がある二峰性のパターン
  • 第4週(緑線):午後シフトが顕著で、14〜15時にピーク(2.80〜2.88)。午前中は比較的低い

4月の第1週と、それ以降の比較のまとめ

4月の第1週と、それ以降を比較すると以下になります。

観点

第1週の特徴

第2週以降の変化

総量

初動集中(特に4/1

2週で一旦低下後、第3週以降に安定

曜日

水曜に極端に集中

火・水・木に分散化

時間帯

午前10時にピーク

午後シフト(14-15時ピーク)へ移行

騒音観点での分析

続いて、騒音の観点から変化を見てもらいました。

「騒音の観点で何か変化はありましたか?」

分析結果のポイントは以下の通りです。

  • 午前7〜8時:+1.2〜1.9dB上昇。早朝出社の増加を反映
  • 12時(昼休み):3月47.2dB → 4月50.9dB(+3.7dB)。ランチタイムの混雑が顕著
  • 11時:3月49.7dB → 4月46.9dB(-2.8dB)。逆に静かになっている(昼前の集中作業時間化?)
  • 19〜21時:3月45.4dB → 4月41.8dB(-3.6dB)。夜間の残業が減少

全体として、コアタイム(12〜15時)に騒音が集中し、朝晩は静かになるという、メリハリのあるパターンへ変化していることが分かりました。

騒音観点での分析のまとめ

1. 会議室利用の偏り
CONFERENCE-12とCONFERENCE-06で騒音が増加しており、出社人数の増加に伴って会議室利用が集中していることが示唆されます。一方で、CONFERENCE-09やCONFERENCE-11では減少しており、利用が特定の部屋に偏っている可能性があります。

2. NOV7F-EASTの混雑
NOV7F-EASTでは+2.7dBの上昇が見られました。もともと最も騒がしいエリア(60dB超)でしたが、さらに上昇しており、7階共用スペースの混雑悪化がうかがえます。

3. 夜間の静音化
19時以降の騒音が3〜4dB低下しており、週3日出社により「出社日は集中して働き、定時で帰る」という行動パターンが定着しつつある兆候と考えられます。

4. 昼休みの騒音増加
12時台の+3.7dBは、人数増加の直接的な影響と考えられます。ランチスペースの混雑対策が今後の課題になりそうです。

施設担当者への助言

最後に、4月以降の状況を踏まえて、設備担当者向けの助言も出してもらいました。

「最後に、4月からの状況を踏まえて、設備担当者への助言はありますか?」

対応優先度まとめ

以下の対応優先度をまとめてくれました。

優先度

対象

課題

推奨対応

CONFERENCE-05/06/07

温度30℃

空調設定見直し・冷房能力増強

MEETING-23, RECEPTION-02

CO2 1,000ppm超過

換気量増加・利用人数制限

5F全体(12-15時)

ピーク時温度上昇

時間帯別空調スケジュール

NOV7F-EAST

騒音60dB+温度上昇

吸音対策・ゾーニング

CONFERENCE-12

騒音+3.2dB・温度+1.4℃

利用状況モニタリング

まとめ

以前からセンサーを設置してデータを取得していましたが、十分に活用できているとは言えない状況でした。しかし、Databricks Genie Spacesを活用することで、社員の働き方の傾向を把握したり、今後の空調や設備改善の計画に役立てたりできることが分かりました。また、Databricks Genie SpacesのAgentモードを使うことで、これまで時間のかかっていたデータ分析や傾向把握を短時間で実施できることも確認できました。簡単なプロンプトを入力するだけで、一見すると漫然と蓄積されているようなデータからでも、さまざまな洞察を引き出せるのは大きな価値だといえそうです。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

RECOMMEND