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ワイヤレスバックホール機能 CURWB とはなにか?

Cisco Wi-Fi7 アクセスポイントで対応が始まったワイヤレスバックホール機能"CURWB"を、当社ラボの検証機で動作させました。ワイヤレスバックホールの基礎、CURWBの特徴と動作確認結果を紹介します。

ライター:丸田 竜一
2011年 ネットワンシステムズ入社
入社後はCisco Systemsの無線LAN製品を中心に、Enterprise Network製品を担当。
日々の技術調査や製品検証評価で習得したナレッジをもとに、提案・導入を支援している。
趣味は海外旅行。行く先々でそこにある無線LANが気になってしまう。

目次

こんにちは、ネットワンシステムズ 応用技術部の丸田です。
今回はCisco Wi-Fi7アクセスポイントでの対応が始まった、ワイヤレスバックホール機能"CURWB"について紹介します。

ワイヤレスバックホールとはなにか?

まず、ワイヤレスバックホールとは、無線を使った中継回線のことです。
通常の無線LANであれば、アクセスポイントに対してエンドポイントであるクライアントが1対多に接続します。ワイヤレスバックホールは無線LANと異なり、有線LANの中継を目的とする機能です。一般的には中継に対応した専用の機器を使います。エンドポイントが直接無線に接続するのではなく、中継されたネットワーク回線にエンドポイントが接続します。これによるメリットは、離れた場所でも有線LANネットワークを利用できることです。また、無線LANに対応していない機器をネットワークに接続する場合にも、ワイヤレスバックホールが使われます。
実際には有線回線の敷設に手間がかかる場所に使われることが多く、例えばビルとビルの間や、山間地域の山麓と山頂を接続する用途などで使われます。それ以外に、無線LANに対応していない産業用機器などを制御するために、ワイヤレスバックホールを使用する例もあります。
以前よりこのような機能を持った無線LAN製品は存在していて、「無線LANブリッジ」「無線LANメッシュ」などと呼ばれています。Cisco Systems社(以下 Cisco)は今までに、Enterprise Wireless Mesh機能、Workgroup Bridge(WGB)機能などをリリースしていました。(メーカーによって名称や機能は異なります。)

2025年にリリースされたIOS XE バージョン17.18から、屋内用アクセスポイントのCWシリーズでワイヤレスバックホールの新機能"CURWB"が使えるようになりました。新しい機能の理解のために、検証環境にセットアップして、CURWBの挙動を確認しました。今回はワイヤレスバックホール機能"CURWB"をとりあげます。

"CURWB"とはなにか?

CURWBとは、Cisco Ultra-Reliable Wireless Backhaulの略称で、日本語に訳すとシスコ超高信頼無線バックホールと言います。Ciscoが2020年に買収したFluidmesh社の技術をベースに、ワイヤレスバックホールを構成します。CURWBは無線LANと同じ周波数を使用し、無線LANの技術を応用していますが、CURWBは厳密には802.11無線LANではなく、独自規格を使用しています。
固定設置された離れた場所へ有線LANの通信環境を提供することに加え、車両など移動する相手にも通信を提供し続けられることがCURWBの特徴です。CURWBでは、固定設置の形態をFixed、移動体設置の形態をMobilityと呼びます。固定設置の環境でワイヤレスバックホールを構成できる製品はよく見聞きしますが、移動体への通信を特徴としている製品はそう多くありません。
CURWBはCiscoの無線LANアクセスポイントである、CWシリーズとIWシリーズで動作します。対応が始まって間もないことから、現時点では対応機種や組み合わせに制限があります。注意して製品を選定します。
CWシリーズの無線LANアクセスポイントで動作することから、ワイヤレスバックホールのCURWBの役割と、無線LANアクセスポイントの役割を同時にこなせることも、CiscoがリリースするCURWBの特徴です。つまり、CURWBとWi-Fiが同時に使えます。

図はCisco資料より引用

ラボでCURWBを動作させてみる

当社の検証環境でCURWBを動作させてみました。
WLC C9800-LとAP CW9178を用意し、固定を想定したFixed Roleと、移動体を想定したMobility Roleの動作を確認します。
Fixed Roleの検証では、設定手順の確認と、障害を想定した通信断時間を確認します。


この図のように、上位の有線LANに接続されるAPを2台として、冗長を想定した構成としました。
PCが通信中に片側のAPのUTPケーブルを抜いて通信を停止したところ、瞬時に通信経路が切り替わり、ほとんど通信断なくPCの通信が継続できました。100msec間隔でping疎通を確認していたところ、1回程度の通信断は確認できましたが、無線LAN通信と比べて遜色なく、問題ない品質と考えています。

Mobility Roleの検証では、通信しながらラボ設備の中を移動し、ローミングのスムーズさや通信断時間を確認します。


この図のように、ラボエリア内に3台の基地局となるAPを設置し、移動体となるAPを台車に乗せて移動しました。台車を押しながら移動してローミングが発生したとき、同様にping 1回程度の通信断が確認できましたが、すぐに通信が復旧しました。これなら実用に耐えられるように思います。Ciscoがアピールするような高速移動時の動作を確認する環境は用意できませんでしたが、少なくとも歩く速度での移動は問題なさそうです。
電波が届かない場所へ移動してしまうと、当然ながら通信は途切れてしまいます。動作確認中に一度通信が途切れてしまうと、復旧するのに時間がかかることがわかりました。そのため、基地局となるAPの設置や送信パワーレベルの設定など、カバレッジを確保し維持する設計が重要です。

CURWBの動作確認を終えて

リリース当初は参考となる資料や公開情報が少なく、見知らぬ単語や設定項目が多かったことから、検証環境の構築に苦労したことを思い出します。現在はCisco.comの解説ページが増え、Cisco Liveの講演資料も参考にしながら環境を構築できます。
CURWBの動作を初めて確認して、想像以上に安定していることに驚きました。何年も前に動作確認したCisco Enterprise Wireless Mesh機能は、通信中に遅延や損失が増大したり、移動体への通信やローミングが苦手だったと記憶しており、通信状態を安定させるのに苦労したことを思い出します。今回の動作確認を通じて、以前あった不安定さをほとんど感じず、むしろ感動を覚えるほどでした。

現時点では対応機種が少なく、事例も多くないようです。しかし、CURWBが活用できる場面は多くあるように思います。将来6GHz帯がより使いやすくなれば、さらに選ばれ、使われる機能になるはずです。
当社や私自身のナレッジや実績はまだ十分とは言えませんが、これからも発展するCiscoワイヤレスの機能のひとつとして注目しています。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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