【2025国際ロボット展(iREX2025)】では、AI技術の進化による自律型ロボットの普及や「フィジカルAI」の最新動向、そしてネットワーク連携・セキュリティの重要性が浮き彫りとなりました。これらの潮流と共創による今後の展望について考察します。
目次
はじめに
2025年12月、東京ビッグサイトにて世界最大規模のロボット専門展「2025国際ロボット展(iREX2025)」が開催されました。
今回の展示会で会場を席巻していたキーワードは、間違いなく「フィジカルAI」です。 これまでのロボットは「決められた動作を正確に繰り返す」ことが主眼でしたが、AI技術のブレイクスルーにより、「ロボット自身が状況を見て、考え、判断して動く」という自律型への進化が、産業用・サービス用を問わず爆発的に加速しています。また、海外勢、特に中国企業の展示ブースが大幅に増え、その技術レベルの高さが際立っていたことも今年の大きな特徴でした。
AIを搭載し自律的に動くロボットは、もはや単なる機械ではなく、「ネットワークにつながる高度なエッジデバイス」です。それらが安全に、かつ遅延なく連携して稼働するためには、強固なネットワークインフラとセキュリティが不可欠です。
本ブログでは、ロボットが「つながる」ことで広がる未来と、その最前線を走る共創パートナーの現在地についてレポートします。
参加レポート:展示会場で見えた「ロボットの進化」
産業用ロボットの進化~「正確さ」から「賢さ」へ~
これまでの産業用ロボットといえば、事前にプログラムされた座標通りに、ミクロン単位の正確さで動き続ける「忠実な作業者」でした。しかし、会場で目撃したのは、「教えられていないことを、自分で考えて処理するロボット」の群れです。
「ティーチングレス」
従来、ロボット導入の最大の壁は、熟練技術者が時間をかけて行う「ティーチング(動作指導)」でした。しかし、今回は生成AIや高度なビジョンセンサーを組み合わせ、大まかな指示だけでロボットが自ら最適な動きを生成するデモが至る所で見られました。
「不定形物」への対応
これまでは苦手だった、形の定まらない食品や、乱雑に積まれた部品のピッキングも、AIが瞬時に形状を認識し、掴み方を判断しています。「自動化」ではなく「自律化」へ。ロボットは単なる機械から、知能を持ったパートナーへと進化を遂げています。
また、特筆すべきは海外勢、特に中国企業の躍進です。 かつては「安かろう悪かろう」というイメージもありましたが、今やハードウェアの品質だけでなく、これら「AIによる知能化」の領域においては、日本企業を凌駕するほどのスピード感と実装力を見せつけていました。
サービス・協働ロボットの台頭 ~人と共存するインフラへ~
産業用ロボットのエリアと対照的に、こちらのエリアで際立っていたのは「人との共存」と「モビリティ(移動)」です。
「協働ロボット」の標準化
人の隣で安全に作業できる「協働ロボット」は、もはや目新しい技術ではなく、当たり前の選択肢として定着していました。これまでは単純作業の補助がメインでしたが、AIによる画像認識と組み合わせることで、配膳・清掃・警備といった複雑なタスクをこなす事例が急増しています。
「足」を持ったロボットたち
特に目を引いたのが、4足歩行ロボットや、ヒューマノイドロボットの展示数の多さです。これまでは「未来の技術デモ」の側面が強かったこれらのロボットが、人間の日常的な作業を代替したり、段差を乗り越えたりと、「実用フェーズ」を強く意識した展示へと変化していました。
ここでもやはり、ハードウェアの進化スピードには目を見張るものがあります。 しかし、これらサービスロボットがオフィスや街中を自由に動き回るためには、ロボット単体の性能だけでは不十分です。「エレベーターとどう連携するか」「入退室管理システムとどう認証するか」といった、既存のファシリティやネットワークとの接続が不可避の課題として感じられました。
「動くロボット」が増えれば増えるほど、それを支える無線ネットワークの品質とセキュリティが重要になる──。インフラを担う私たちにとっても、非常に示唆に富む光景でした。
共創パートナー「クフウシヤ社」ブース訪問記
画像出典:株式会社クフウシヤ 撮影
ブース内で絶えず熱心な技術的な議論が交わされていたのが、当社の共創パートナーの一社である「株式会社クフウシヤ」の展示です。
同社は、自律移動ロボットの試作・受託開発や、協働ロボットのシステムインテグレーションを手掛ける、ロボティクス領域の技術者集団です。隔年で開催されるJapan Robot Weekと合わせて、実質6年連続出展を続けている同社ですが、担当者は「今年は明らかに潮目が変わった」と語っていました。
その変化の中心にあるのが、今回のトレンドである「フィジカルAI」です。 ブースを訪れる来場者の多くが、単なる技術見学ではなく、VLA(Vision-Language-Action)モデルやヒューマノイド活用を見据えた、具体的な共同研究・PoCパートナーを探していたといいます。
特に印象的だったのは、「最先端のフィジカルAI領域で、受託開発を受けてくれる企業が他にない」という来場者の切実な声でした。 多くのテックベンチャーが自社プロダクトの販売に注力する中、同社のように高度な技術力を持ちながら、顧客の課題に寄り添って開発を共にする企業は極めて稀有な存在となっています。深刻な人手不足を背景に、数カ年計画でロボット導入を検討する企業にとって、彼らはまさに「探していたパートナー」だったようです。実際、展示期間中に即座に打ち合わせが決まるケースもあったとのことで、その需要の高さがうかがえました。
中国企業の台頭など、ロボット産業の競争が激化する中で、確かな技術と柔軟性を持つ日本企業の存在感が際立っていました。
そして、当社もまた、彼らのその「共創する力」に可能性を感じている一社です。実は現在、同社のロボット技術と、当社のネットワーク技術を融合させた実証実験(PoC)を進めています。この実証実験の様子や今後の展望については、「共創プロジェクト事例記事」として、後日デジタルイノベーションページにて公開を予定しています。ぜひご期待ください。
おわりに
今回の国際ロボット展を通じて感じたのは、ロボットが「単独で動く機械」から、ネットワークを通じて連携し、価値を生み出し続ける「高度な情報端末(エッジデバイス)」へと完全に変貌を遂げたという事実です。
フィジカルAIによってロボットが賢くなればなるほど、それを支える通信インフラには「低遅延」「大容量」、そして「止まらない安全性」が求められます。しかし、これは当社だけで実現できる未来ではありません。
今回ご紹介した株式会社クフウシヤのような、尖った技術を持つパートナー企業との連携があって初めて、社会を変えるソリューションが生まれます。 私たちは今、ロボットとネットワークを融合させ、新しい社会インフラを共に構築できる仲間を広く求めています。
- 優れたロボット技術やAI技術をお持ちのベンダー様
- 現場へのロボット導入において、通信環境やセキュリティに課題をお持ちの企業様
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皆様との対話から、次のイノベーションが生まれることを楽しみにしています。
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。