ネットワンシステムズ株式会社およびネットワンパートナーズ株式会社のメンバーが応募した作品が、シスコシステムズ合同会社主催の「Cisco Developer-1(略称:D-1)グランプリ(※)」にて、審査員特別賞を受賞しました。
(※)Cisco製品のプログラマビリティや他のアプリケーションとの連携によって新しい価値を創造し、社会やビジネスに貢献できる作品を発表するコンテスト。
本作品は、弊社イノベーションセンターを拠点に、企画から設計・開発までを一貫して行ったものであり、「少子高齢化・労働力不足」や「AIと人間の共存・倫理問題」といった社会課題に対し、Webexとロボットを組み合わせることで、地方教育における教育機会の損失にアプローチする内容となっています。
本記事では、前編(インタビュー編)に続き成果物を紹介します。
- ライター:加藤 耕志マルク
- 2021年入社。ServiceNowなどを使った開発業務を主に担当。
目次
はじめに
少子高齢化の進行にともない、過疎地域では学校の統廃合が加速しています。文部科学省が2025年3月31日に公表した「令和6年度(2024年度)公立小中学校等における廃校施設の活用状況」(2024年5月1日現在)によれば、2004年度から2023年度までに発生した廃校は延べ8,850校に上ります。学校は子どもたちの学びの場であると同時に、地域のつながりや文化を育む核でもあります。その喪失は、教育機会の縮小だけでなく、地域コミュニティの弱体化や将来世代への継承の断絶にもつながりかねません。
この現実を前に、場所や人員の制約を超え、都市部の教育資源を地域へつなぎ直すための新しい学びの仕組みが求められています。生成AIの進展とICTの利活用は、その実現の強力な鍵です。住んでいる環境に左右されず、公平で平等な学習機会を届ける――これが私たちの出発点です。
本成果物では、学校を核にした教育環境の確保を通じて、地域の未来を守り、子どもたちが「いつでも、どこからでも、誰とでも、自分らしく学べる」社会の実現を目指しています。
概要
本作品は中学生を主たるユースケースに据え、以下の二本柱で構成されています。
- 遠隔授業支援機能(Robot×Webex 遠隔授業支援)
- 教員によるtemi(ロボット)を使った遠隔「体験型授業」を実現し、教室のリアルな空間性をオンラインにも持ち込む仕組み
- 授業アーカイブ機能(録画・要約・AIチャットによる復習支援)
- 授業の自動アーカイブとAIチューターによる復習支援を通じて、時間・場所の制約を超える学びを提供する仕組み
なぜ「ロボット×Webex」なのか
オンライン授業は便利ですが、「先生が隣に来てくれて、顔を見て、ノートを覗きながらやり取りする」あの距離感は失われがちです。専門性の高い授業ほど、板書や図解に加えてちょっとした表情や間が学びを左右します。そこで私たちは、都市部の専門教員の知見を地方に届けつつ、教室の空気感まで丸ごと運ぶ方法として、移動ロボットとWebexを組み合わせる道を選びました。
同時に、現場運用が止まらないこと、授業そのものが資産として後に残ることも大切です。なので「1クリックで始まる」「止まってもすぐ直せる」「あとから何度でも学び直せる」を設計の基準に据えました。
授業の1日を追ってみる
授業前:準備は1クリック
都市部の専門教員はポータルを開き、対象の教室を選んで開始ボタンを押すだけでtemi(ロボット)とWebexに自動でつながります。
生徒端末やtemiのWi‑Fi情報から座席マップが自動で可視化され、誰がどこで参加しているかがひと目でわかります。
授業中:ロボットが「先生の足」になる
授業が始まると、遠隔の先生はtemiを操縦して教室内を移動。机間を回り、生徒のノートを見たり、ちょっとした質問にその場で答えたり。Cisco Boardでは板書や図解を共有し、複雑な内容はリアルタイムで描き足します。オンラインでも、対面に近い「個別のやり取り」が戻ってきます。
もし通信が不安定になったら
現場で最も困るのが「何が悪いのかわからない」こと。そこで、教室の端末からクラウドまでの通信経路を常時可視化し、APや端末のログを取りまとめたダッシュボードを用意しました。ITに詳しくない先生でも、直感的に理解でき、通知に沿って初動対応ができます。
授業後:授業がそのまま資産になる
録画は授業開始と同時に自動で始まり、終了とともに保存。音声は自動で文字起こし・要約され、キーワードで探せます。学校でも自宅でも、専用ページからすぐに見返せるので、「あの説明、もう一度」がすぐ叶います。必要な箇所だけピンポイントで復習できるのも、学習効率を上げるポイントです。
復習時:AIが横について伴走する
アーカイブから生成したテキストや要約はAIチャットに組み込まれ、授業の文脈に沿った回答が返ってきます。AIはすぐに答えを出すのではなく、ソクラテス式に問い返し、ヒントを段階的に提示。生徒の思考を止めない設計です。さらにCisco AI Defenseでやり取りを監視し、不適切なプロンプトや役割逸脱、ハルシネーションなどのリスクを検知・ブロックするので安心して生成AIを学びに取り入れられます。

最後に
ネットワンではデジタルイノベーションとして、共創の取り組みを進めています。
デジタルイノベーション
https://www.netone.co.jp/digital-innovation/
弊社の取り組みにご興味がありましたら、担当営業までお声掛けください。
ご覧いただきありがとうございました。
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。





