
- ライター:塩屋 晶子
- 2012年ネットワンシステムズに入社。Ciscoを中心としたコラボレーション(ビデオ)製品を中心に、新製品の技術検証、案件支援やお客様へのデモンストレーションなど啓発活動に従事している。
最近では、新技術を組みあわせた新しいソリューション開発や検証も行っている。
目次
はじめに
ネットワンシステムズでソフトウェア開発のイメージをもたれる方は多くないかもしれません。開発と一口に言っても、様々な領域やあらゆる手法があります。私たちがどのような世界を目指して、ソフトウェア開発・自動化に向き合っているのか、ご紹介させていただきます。
ネットワンシステムズにおけるソフトウェア開発
私たちが目指す世界
近年、世の中ではハードウェアビジネスからサービスビジネスへのシフトが進んでおり、弊社が取り扱うメーカーでもこのサービスシフトが加速しています。インフラエンジニアの視点から見ると、お客様の期待に応えるためには、製品やサービスの機能を活用したインテグレーションがカギになると考えています。ソフトウェア開発によって、多くの付加価値を運用サービスやクラウドサービスに加えることで、ICTライフサイクル全体を支援し、お客様のビジネス成長を促進できると考えています。
私たちは、ICTライフサイクル全般においてソフトウェア開発が進み、効率化されている世界をめざしています。

図01. 目指している世界
お客様が得られるメリットとしては、以下が挙げられます。
- 価値あるサービス享受
- ICTインフラ運用負荷軽減
- 作業品質向上
多くのお客様に高品質なサービスを提供するためには、ソフトウェア開発においてサービスに自動化を導入することが不可欠です。開発したソフトウェアはそれ自体を販売するのではなく、弊社が提供するさまざまなサービスに取り入れ、自動化を実装することでサービスの品質向上と効率化を図っています。
ソリューション開発
日々の営業活動を通じて得られるお客様の課題やご要望の情報をもとに、自動化の実装を検討したり、開発者のアイデアを活用したり、毎年開催している社内のアイデアソンをきっかけに開発を進めることもあります。
また、新しいソリューション開発の観点からは、先端技術をお客様に提供するためのプロセスを迅速に実施するインキュベーションプロセスも構築しています。アイデアやコンセプトを公開し、社内で投票やフィードバックを得ることで、開発プロセスの一部を全社参加型で実践しています。
ソフトウェア開発・自動化における取り組み
開発者をサポートする仕組みとして以下を用意しております。インフラエンジニア毎の開発の属人化や、品質のばらつき・知財の分散を防止します。
- SDI Framework
Pythonのウェブアプリケーションフレームワーク(Flask)をベースに独自拡張したフレームワークです。開発を迅速に行うためのUIテンプレートや外部API接続コンポーネントがベースコードとして用意されているため、工数削減・生産性の向上に貢献します。開発スピードの向上・管理負担軽減・内製化の促進に寄与し、ビジネスコンセプトの実現に迅速に対応することが可能です。
- Official SCM – GitLab
開発者毎に分散化されやすいソフトウェア知財を社内公式 SCM(ソースコードマネジメントシステム)へ一本化することで全社での知財蓄積を可能にします。社内公式のSCMとしては、GitLabを採用し、毎月のメンテナンスやユーザ活用促進に向けた勉強会なども行っています。
- Infra CI
インフラ自動化の仕組みを継続的に蓄積・テストを実施する環境として、仮想環境を活用した Continuous Integration (CI)基盤を用意しております。コードの継続したメンテナンスや、当社としての公式コードを選定し、そのテストを自動化することで必要最小限の品質確保を行い、効率化を図っております。
Developer’s Community
Developer’s Communityの誕生の背景
Developer’s Communityとは、価値創出を実現できるDX人財を育成する社内のソフトウェア開発コミュニティです。次世代のインフラエンジニアには、プログラミング言語(Pythonなど)や自動化ツールを活用し、さまざまなプラットフォームとAPIで連携し、可視化、自動化、デジタル化を加速させることが求められています。このため、インフラエンジニアに必要な役割や基礎スキルを育成することが重要です。
また、ソフトウェア開発文化の醸成に向けて、本部横断で運営し、運営者だけでなく参加者全員が発信者および受信者としてお互いに高めあえるコミュニティを構築しています。
活動内容
コミュニティでは、「学習」「体験」「企画・開発」「共有」のサイクルを回すことで、ユーザーが価値を迅速に体験できるようにすることを目指しています。

図02. コミュニティの役割
コミュニティのスコープとしては、以下が挙げられます。
- テクニカルスキルの向上
プログラミング言語や、自動化ツールの技術習得 - 標準化・共通化の推進/知財の蓄積再利用の推進
リポジトリ管理・コード共有化や、標準フレームワークの推進 - ビジネス・業務への適用スキル向上
アイデア創出・ビジネスデザイン、体験ワークショップの実践
Developer’s Communityでみる数字
社内における認知・浸透活動を継続的に進めるとともに、インフラエンジニアの育成強化やプロジェクトの社内外への事例紹介を通じて、Developer’s Communityの文化を根付かせるよう推進してまいります。

図03. コミュニティでみる数字
対外活動/開発事例
ベンダーにて開催されている、開発者コンテストにも毎年チャレンジをしています。
- Cisco Innovation Challengeへの参画
- Meraki D-1グランプリへの参画
各社が主催するイベントでは、ベンダーの製品やアプリケーションを活用して、社会的な課題を解決するための新しい価値を生み出す作品を競うコンテストが行われています。例えば、少子高齢化、高齢者対策、GX(グリーントランスフォーメーション)、サステナビリティ、教育・労働改革などのテーマが提示され、その中から選んでアイデアを出し、プロトタイプを作成し、デモ動画やプレゼンテーションを行います。こうして作成した作品は、実際の現場で試したり、さらに発展させる活動につながり、お客様の課題解決のヒントにもなることがあります。
この他にも、インフラ高度化/サービス高度化に関する事例を自社内で展開しながら、お客様へのご紹介なども行っております。
開発事例)
- 20,000台のMeraki APのキッティング自動化(手作業の削減)
- 仮想マシン構築のセルフサービス化(ITサービスの進化)
- Cisco Webexクライアントサポートサービス(お客様サービス品質向上)
- ASAのグループオブジェクトの設定変更自動化(運用負荷の削減)
- Cisco Modeling Lab検証環境の自動展開(運用負荷の削減)
- Red Hat AnsibleによるWindows Update自動化(メンテナンス品質向上)
おわりに
いかがだったでしょうか。当社におけるソフトウェア開発・自動化の取り組みについて触れて頂くことで、今後もベンダーの既存機能だけでは賄えない、お客様のご要望にお応えできるよう進化を目指してまいります。本件、ご興味をお持ちの方は当社営業までご連絡頂けますと幸いです。有難う御座いました。
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。