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第3回Catalyst Meraki D-1グランプリに参加してみた -開発詳細編-

ネットワンシステムズとネットワンパートナーズのメンバーによる応募作品「ネットワン MERA スクール」が、2024 年 8 月 2 日(金)に開催されたシスコシステムズ主催の「第 3 回 Catalyst Meraki Developer-1(D-1)グランプリ」にて、優勝しました。本記事では、グランプリ出場にあたって開発した作品の詳細について、ご紹介させていただきます。

目次

はじめに

ネットワンシステムズとネットワンパートナーズのメンバーによる応募作品「ネットワン MERA スクール」が、2024 年 8 月 2 日(金)に開催されたシスコシステムズ主催の「第 3 回 Catalyst Meraki Developer-1(D-1)グランプリ」にて、優勝しました。
本記事では、受賞した作品の詳細について、ご紹介させていただきます。
さらに、作品のアイデア出しから開発、今後の展望について、チームメンバーへのインタビューを通じてまとめた記事が第3回Catalyst Meraki D-1グランプリに参加してみた -メンバーインタビュ-編-として公開されています。


ご興味のある方はぜひ、メンバーインタビュー編もご覧ください。

全体構成

Catalyst Meraki D-1 グランプリでは、事前に設定されたテーマのいずれかに該当する作品を募集していました。

  • グリーン、GX、サステナビリティ
  • 少子化対策・高齢化対策
  • 災害対策・支援
  • サイバーセキュリティ
  • 教育・労働改革

私たちのチームは「教育・労働改革」のテーマを選択し、学校教員の課題に焦点を当てたソリューション開発を行いました。

開発したソリューション

提出した作品は3つのソリューションとそれらを一元的に可視化するダッシュボードで構成されています。

図1.開発したソリューション一覧

このソリューションのコンセプトは、デジタル空間上のAIエージェントが教員の業務をサポートし、負担を軽減することです。そこで、デジタル副担任「MERA」(以降、MERAと記載)というAIエージェントを作成しました。開発したソリューション内では、収集した情報を基に処理した結果をMERAが教員に通知することを共通の機能としています。

図2. MERA

構成図

全体の構成図は以下の通りです。

図3.全体構成図

学内NWにGPUを搭載したインスタンス(MERAスクールエンジン)を立てることを前提とした構成になっています。

学内に設置したMTセンサー、MVカメラ、3rd Party製品からのデータをMERAスクールエンジンで収集し、データソースに応じた処理を行います。処理されたデータはWebアプリケーションで可視化され、教員は所持しているタブレットやPC経由でアクセスする仕組みです。

映像や画像の解析にはChatGPTや顔認証ソリューションのSAFR、映像解析SDKのNVIDIA DeepStreamを使い分けることでそれぞれのユースケースに適した解析を行います。

また、解析結果はWebアプリケーション上で可視化するだけでなく、学校環境に設置された通知用のIoT機器や天井ライト(PoE対応式)、保護者への情報共有・連絡などに活用されます。

ソリューションご紹介

朝の校務サポート(ピープルエンジン)

MVカメラと顔認証ソリューションSAFRを活用した出欠確認ソリューションです。

図4.朝の校務サポート

Meraki MVと3rd Party製品を連携させることで、授業準備や朝礼で忙しい教員の朝を、サポートできないかという思いから開発したのがこのソリューションです。

使用コンポーネントは以下の通りです。

コンポーネント:

  • Meraki MV22(スマートカメラ)
  • Webex(チャット)
  • SAFR(顔認証ソリューション)
  • ChatGPT(保護者とのやり取り自動生成)

動作イメージは以下の通りです。

図5.「朝の校務サポート」動作

RTSPで配信されるMVカメラのデータを取得し、SAFRを用いて映像内の児童の顔を解析し、出欠確認を行います。出欠の状況はダッシュボードに一覧で表示され、教員はいつでも状況を確認することができます。さらに、出欠確認と並行して表情解析を行い、教員にフィードバックを提供することで、元気のない児童への早期フォローを促進します。また、登校が確認できない児童については、Webexを通じてMERAが保護者と連絡を取ります。MERAと保護者のやりとりは、ChatGPT Assistants APIを使用して保護者からのメッセージを解釈し、自動で応答を行います。

解釈したメッセージは、事前に定義した4つの状態にラベリングされ、ダッシュボードに反映されます。

  • 遅刻
  • 早退
  • 行方不明
  • 連絡無し

このソリューションを活用することで、教員は朝の時間を授業準備や朝礼にあてることができます。

校内パトロール(安全管理エンジン)

MVカメラと映像解析SDKのNVIDIA DeepStreamを活用した安全管理ソリューションです。

図6.校内パトロール

教員の目が行き届きにくい休み時間や、体育の授業中等に発生する事故のサポートを、行うことが出来ないかという思いから開発したのがこのソリューションです。

使用コンポーネントは以下の通りです。

コンポーネント:

  • Meraki MV22(スマートカメラ)
  • Webex(チャット)
  • NVIDIA DeepStream(映像解析SDK)
  • Switchbot(IoTライト)

動作イメージは以下の通りです。

図7. 「校内パトロール」動作

体育館や廊下に設置されたMVカメラからの映像データを取得し、NVIDIA DeepStreamを使って児童の転倒や全力疾走を検知します。映像の解析と並行して映像データの保存を行うことで、事故発生時の様子をダッシュボードに反映することができます。

全力疾走の検知をした際には、検知した場所のIoTライトを点灯させることで児童への注意を行います。

転倒や全力疾走の検知には、対象オブジェクト(児童)の、映像上の座標データの変化量を用いました。

検知を行う対象の映像データが斜めの角度からの映像の場合、奥行きが生じるため、変化量も座標位置が手前にあるか、奥にあるかを考慮した閾値を設定しました。

図8. 全力疾走・転倒判定

校内全体を常に教員が監視し続けることはできません。そこで、このソリューションを使うことで、児童の危険行動に対しシステムが自動で注意を行うことで事故を未然に防ぎ、万が一の事故発生時には前後の状況を教員が把握することができます。

校内環境の省エネ・自律運用(エコエンジン)

校内中に設置されたMVカメラと、MTセンサーを含めたセンサー類を活用した環境管理ソリューションです。天井照明にPoEライトを使用した施設であることを前提としたソリューションになっています。

図9.学内環境の省エネ・自律運用

日次の消灯・戸締り作業やプールの注水管理を、センサーやカメラを使って、サポートすることが出来ないか、という思いから開発したのがこのソリューションです。

使用コンポーネントは以下の通りです。

コンポーネント:

  • Meraki MV22(スマートカメラ)
  • SEIKO 人感ノード(人感センサー)
  • ChatGPT(プールの注水判定)
  • Meraki MT20(開閉センサー)

動作イメージは以下の通りです。

図10.「学内環境の省エネ・自律運用」 動作

本機能は消灯・戸締りサポート機能と、プール注水管理機能の2つに大きく分かれます。

前者の機能では校内に設置されたMVカメラを使って設置箇所の人の在室を判定します。判定状況はダッシュボード上に一覧で表示されます。また、センサーによる在室判定だけではなく、在室状況に応じて、Meraki Switchを通じ、対象箇所のPoEライトを消灯します。更に、カメラを設置できない場所には人感センサーを設置し、在室判定を行います。戸締りに関しては、MT20を窓に取り付けることで窓の開閉状況を管理します。照明と窓の状態を監視することで、教員は効率よく見回り作業を行うことができます。

プールの注水管理機能については、水栓スイッチをMVカメラで監視し、状態をダッシュボードに表示します。水栓の開閉状態の判定には、ChatGPT(画像識別)を活用しました。開栓状態と閉栓状態を事前に学習させた状態で、定期的にMeraki Cameraのスナップショットを解析させることで水栓の状態を判定します。開栓状態が長く続くとMERAが通知を送るため、教員は締め忘れに気づくことができます。

これらのソリューションを活用することで、校内のエネルギーを効率的に運用することができます。

統合ダッシュボード

最後に統合ダッシュボードについてご紹介します。

図11.統合ダッシュボード

これまで紹介した各機能の個別ダッシュボードのデータを収集し、1つの画面上に表示したものが統合ダッシュボードです。

各ユースケースで必要な情報のみを取得できる個別ダッシュボードと、校内全体の情報を確認できる統合ダッシュボードを使い分けることで、多忙な先生の一日のサポートを実現することを目的としています。

図12.「統合ダッシュボード」イメージ

今後に向けた展望

今後は、ユースケースを拡張しつつ、既存機能の検知精度や機能をさらに向上させることで、ソリューションの完成度を一層高めたいと考えています。例えば、転倒検知や全力疾走検知においては、単純な座標の変化量に依存せず、転倒検知に特化したライブラリや骨格解析技術(OpenPose等)を活用することで、より高精度な検知が可能になると期待しています。更に、ロボットとのデータ連携により、事故発生時の児童の救護支援や室内の窓の自動開閉、プールの栓の自動操作など、教員の業務負担を更に軽減できるソリューションの実現も考えていきたいです。

終わりに

ネットワンシステムズではデジタルイノベーションとして共創の取り組みを進めています。

リンク先では、本記事でご紹介した作品を含め、様々な取り組みを掲載しています。

デジタルイノベーション
https://www.netone.co.jp/digital-innovation/

弊社の取り組みにご興味があれば、是非お声掛けください。

最後までご覧いただき有難うございました。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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