
- ライター:占部 蒼馬
- 2021年ネットワンシステムズに新卒入社。サーバやクラウド製品の評価、検証、そして案件サポートを主な業務として担当。現在は、マルチハイブリッドクラウド環境での統合管理や最適化を中心に検証業務に従事。
目次
デジタル化に向けた動きが加速するなか、その基盤としてクラウドを利用しようと検討にあがることが一般的になってきました。
最近では、ガバメントクラウドが策定され、クラウド分野において大きなトピックとなりました。
(ガバメントクラウドというのは、デジタル庁によって決定された政府共通のクラウドサービスの利用環境を指します)
今回取り上げるGoogle Cloud もガバメントクラウドの対象となっており、弊社でも利活用が進み、サービスの提供も開始しています。
弊社でGoogle Cloud を利用したサービスとしては以下のようなものがございます。
- 「クラウドHUB」インターネット、クラウド利用に最適なネットワークサービス
https://www.netone.co.jp/service/technology/cloudservice-cloudhub/ - 「クラウドガバナンスサービス、MSS for Cloud、MSS for GPCS」マルチクラウド環境で一元的なセキュリティ強化・管理を実現するサービス
https://www.netone.co.jp/news/release/310.html
こういったサービスを開発するにあたり、Google Cloudに関する深い知識が必要になります。私もこういったサービス開発に携わる一人として知識や技術レベルの証明のために、認定資格を取得いたしました。
今回は認定資格を取得するまでにどのように知識を習得し、試験対策していったのかをみなさんに共有します。
みなさんが本記事をきっかけにGoogle Cloudに対し興味を持つようになりましたら幸いです。
Google Cloudってなに?
まずGoogle Cloudについて簡単に説明します。
Google Cloudとは、Google がクラウド上で提供しているパブリッククラウドサービスのことです。Googleで展開されているサービスと同じ環境を使用でき、使用用途や料金に応じて柔軟にプロダクトを選択できます。
代表的なプロダクトについて一部紹介いたします。
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Google Kubernetes Engine
コンテナを管理するサービス。クラスタの作成が容易にでき、自動修復機能や自動アップグレードが可能といった利点がある。 - BigQuery
フルマネージドのデータウェアハウスサービス。データを格納するだけでなく、クエリを実行して分析することまで可能。 - Cloud Spanner
RDBの機能に加えてNoSQLの特徴を兼ね備えており、アクセス増加に対する柔軟なスケーリングも可能なデータベース。
ほかにもさまざまなプロダクトがGoogle Cloudには用意されており、ユーザーにとってさらに使いやすくなるよう日々アップデートが加えられています。
Google Cloud コンソール画面
Google Cloud認定資格
それでは、ここから認定資格について説明させていただきます。
取得する必要性
まず、「なぜ認定資格を取得するのか」ですが、私は資格取得を目的に学習することでGoogle Cloudについてより深く理解できると考えています。
実際のGoogle Cloud認定試験の問題では、目的を達成するための方法であればどちらを選択しても間違いとは言えない選択肢も出題されます。ですが試験においてはよりシンプルな構成かつ、コストをかけないような選択肢を選ぶ必要があります。
これはGoogle Cloudの考え方や、クラウドサービス利用におけるベストプラクティスにも通ずるところがありますし、最適なプロダクトが選択できるようになるためにも、認定資格の取得はオススメです。
認定資格のレベルについて
次に、Google Cloudの認定資格について説明させていただきます。
認定資格は、基礎・アソシエイト・プロフェッショナルの3段階のレベルで用意されています。
- 基礎レベル
Cloud Digital Leader(以降CDL)のみ対象となっています。こちらの資格はGoogle Cloudの基本的なプロダクトやサービスの概要理解が必要であり、それらがどのようなメリットをもたらすのかが問われます。Google Cloudについての知識だけでなく「クラウドテクノロジーとは」というところも押さえる必要がありますので、これからクラウドを始めるという方にはピッタリな資格だと思います。取得することで、Google Cloudやクラウドについて知っていることを証明できます。 - アソシエイトレベル
Associate Cloud Engineer(以降ACE)のみ対象となっています。こちらもCDLと同様にGoogle Cloudの基本となるプロダクトについて聞かれます。CDLと違う点としては、聞かれる内容がより深くなり、実際の使用方法まで理解しておく必要があるというところです。この資格を取得することで、「Google Cloudの主要プロダクトを扱える」ということを証明できます。 - プロフェッショナルレベル
各分野で8個の認定資格が用意されています。それぞれのプロダクトにおけるテクノロジの理解が必要であったり、架空の企業の問題に対してどのような解決方法でアプローチするかといったケーススタディ問題が出題されたりします。
本記事ではCDLとACEの資格取得をターゲットに置いていますので、詳細については割愛します。
認定試験は基本的に日本語に対応しておりますが、一部のプロフェッショナル試験では英語のみ受験可能となっています。
詳細については以下をご参照ください。

資格取得までにやったこと
私が資格取得に向けて活用した学習環境は大きくわけて以下の4つです。
- ハンズオンラボ(Google Cloud Skills Boost)
- 社内検証環境
- Cloud OnAir などの視聴
- 模擬試験
ハンズオンラボ(Google Cloud Skills Boost)
どの資格をとるかによって対策の仕方も変わってくると思いますが、手を動かすことはとてもオススメです。手を動かしてやったことは覚えやすいですし、業務にそのまま応用できるというのも良い点です。トレーニングにはGoogle Cloud Skills Boost(旧Qwiklabs)というハンズオンラボを利用しました。
ここでは特定のプロダクトに関するラボを実践することもできますし、「クエスト」というラボをまとめた学習コースに取り組んで特定のプロダクトについて深く学ぶこともできます。こちらのハンズオンで利用するリソースはラボごとに用意されるので、利用者側で環境を用意する手間が必要ないのも非常に良い点だと思います。ラボを実施するにはサブスクリプションかクレジットの購入が必要となり、実施するにあたってのハードルが上がるかもしれませんがそれだけの価値はあります。
Google Cloud Skills Boost ホーム画面(https://www.cloudskillsboost.google)
社内検証環境
弊社には既に検証環境があり、私は自身の業務としてその環境の整理に携わる機会がありました。ハンズオンラボでも組織設計について取り上げているものはありますが、自分の会社では実際どうしたらいいのかを検討するのは難しいです。組織設計に関しては、「自社の場合だとどうなるのか」をイメージして検討していく方がより理解が深まると思います。
Google Cloudでは組織の管理方法として Identity and Access Management(IAM)や Cloud Resource Manager、組織ポリシーなどを使うことができ、組織の階層構造をそのまま反映させることが可能です。私はGoogleから紹介されているベストプラクティスを参考に以下のことを行いました。
- フォルダの作成
- グループの作成、メンバの追加
- グループに対して権限付与
Google Cloudを扱う上では基本中の基本ですが、この内容はACEの取得を目指す人にとっては押さえておくべきポイントです。私個人の感覚としては、「いかにペストプラクティスに沿えるものを選ぶか」がキーになると思います。
Cloud OnAirなどの視聴
また、Google Cloudより配信されている動画を視聴することも、Google Cloudについて知る方法としては有効です。
事前にセミナーなどへ参加登録しておくと見ることができ、新たにリリースされたプロダクトについて知ることができます。また、チャットによるQA対応もしていただけるので、そのとき出た疑問はすぐに解決できるようになっています。Google Cloudについて詳しくなった後も情報収集の場として活用するのが良いと思います。
Google Cloud Japan よりYouTubeで公開されている動画には、導入事例の紹介や各プロダクトのテクニカルガイドなどがあります。
GoogleCloudJapan YouTube公式チャンネル
特にこちらの2つは今からでも視聴するべきです。
- Google Cloud OnAir
- Google Cloud Summit
時間がたっているものもありますがプロダクトの基礎となる部分はめったに変わることはありませんし、ベストプラクティスなども紹介されているので見て損することはありません。初学者向けのコンテンツもあり、「Google Cloudを知るための入り口」として動画の視聴から始めるというのも良いかもしれません。
模擬試験
Google Cloudについて既に知識を習得している方やそろそろ試験を受けてみてもいいのでは、と考えている方はGoogle Cloud 認定資格の公式サイトにて受験可能な模擬試験にチャレンジしましょう。私がオススメする実施タイミングは、各プロダクトの概要を把握して使い分けがおおむね理解できるようになったときです。
タイミングの例:Google App EngineとGoogle Kubernetes Engineのどちらを使用すればいいかがわかる
模擬試験自体は本番の問題より少し簡単な印象ですが、雰囲気や問題の問われ方を知ることができますので1度は必ず実施しておきましょう。回数に制限はなく、無料で受験可能となっています。
おわりに
今回の記事では、Google Cloudおよびその認定資格の取得方法について紹介させていただきました。
弊社は認定資格取得者もたくさんいるだけではなく、サービス開発も行っています。もし、Google Cloudのことでなにかお困りのことがございましたら弊社窓口までご相談ください。
※ Google Cloud、BigQuery、Cloud Spanner および Google App Engine は Google LLC の商標です。
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。