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Extreme Networks SLX-OS 20.1/2 アップデート ~EVPN-VXLANファブリックの運用性向上~

ライター:中村 喜之
キャンパス、キャリアネットワークおよびハイパーコンバージドインフラ製品の
提案および導入を支援する業務および製品の評価検証・拡販業務に従事。
現在はデータセンターネットワーク製品や製品検証の自動化に注力している。
2020年よりExtreme Networks Hero Engineerに認定

目次

はじめに

Extreme Networksがリリースするデータセンタースイッチ Extreme Routing/Switching SLXシリーズにおいて、リリースされた最新OS (SLX-OS) 20.1および20.2系での新機能や変更点をピックアップしてご紹介します。

Multi Chassis Trunk (MCT) 機能の独立化

SLX-OSでは2つのスイッチを連携させ、対向のクライアントスイッチに対してあたかも1台のスイッチから接続されているかのようにリンクアグリゲーションを提供する、MCT機能が実装されています。
本リリースでは従来の実装から内部アーキティクチャが一新され、より高速かつ使いやすいものに改良されました。

これまでの実装では、EVPN-MPLSを一部利用し、MCTを提供するスイッチ間でMP-BGPをコントロールプレーンにMPLSをデータプレーンとして用いるアーキティクチャとなっていました。
そのため、MCTを構成するスイッチ間でBGPピアを張る必要や、MPLS Label Service Pathの構成を考慮する必要があり、特にEVPN-VXLANを併用しているケースでは、設計の複雑化やBGPRIB収束タイミングが調整しにくい等の問題を抱えていました。

本リリースでは、コントロールプレーンが独自プロトコルへ一本化され、データプレーンもVXLANを利用する新たな実装に置き換えられたほか、以下の構成例のように設定も大幅な簡略化が実現しています。


この変更によって、コンフィグのシンプル化だけでなく、BGPを利用する他プロトコルと動作タイミングや設計を独立に変更できるなどの効果が得られ、システム全体として柔軟な構成が実現することや、障害時の回復時間のタイマーチューニングなどがより詳細にできることが期待されます。

BGPメンテナンスモードによる作業性向上

EVPN-VXLANファブリック構成時に使用するOverlay/Underlayの BGPやMCTにおいて 、装置やネットワークのメンテナンス時に迂回設定を自動で行うメンテナンスモードが実装されました。


本リリースからは、簡易なコマンドでトラフィックの迂回・回復操作ができるため、装置交換やOSバージョンアップ時の運用者における負担軽減に貢献することができるでしょう。

コンフィグチェックポイント・ロールバック機能の実装

SLX上において、ある時点の機器設定(コンフィグ)をチェックポイントとして登録すると、機器の再起動や外部FTPやTFTPからの設定ファイルへの再適用無しに、チェックポイント登録時点の機器設定へロールバックを行うチェックポイント・ロールバック機能が実装されました。

上記のような簡単な操作でチェックポイントの作成や、ロールバック指示をすることができ、システムテスト時の設定トライアルにおける切り戻し操作や、各種作業前のコンフィグのバックアップ・リストア作業がより簡単に、かつ高速に実現することができるようになりました。

まとめ

Extreme SLX-OS 20.1および20.2系では、ユーザーの実運用に根差した各種改良が加えられ、よりデータセンタースイッチとしての利便性向上や省力化へ向けた実装が進められていることが見受けられます。
今後は外部制御ソフトウェアとの親和性向上等も予定されており、今後のさらなる拡張に期待したいと思います。

次回はExtreme Networks純正の外部制御ソフトウェアであるExtreme Fabric Automation (EFA) を紹介する予定です。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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