目次
はじめに
約1年前、2025年3月開催のNVIDIA GTC 2025において、NVIDIAが光電融合技術の一種であるCo-Packaged Optics(以下、CPOとする)を採用したネットワークスイッチを発表しました。それ以前にも、光電融合技術やCPOは、NTTが開発をリードするIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)のロードマップなどで目にすることがありましたが、この発表以降その市場は非常に活発化しています。
本ブログでは、今後AIデータセンターで導入が本格化する見込みのCPO採用ネットワークスイッチについて、2026年2月末時点での公表情報をベースに、その技術概要と各メーカーの実装内容について紹介します。
Co-Packaged Optics:CPOとは
これまでAIデータセンターで導入されているネットワークスイッチでは、フロントパネルの各ポートにプラガブル型の光トランシーバーを搭載し、ネットワークを接続していました(下図:Pluggable Transceiver Optics)。しかし、スイッチASICと光トランシーバーまでの電気配線が長いことにより、今後、800Gbps、1.6Tbpsと高速化が進むにつれ、消費電力が増大し、信号品質の劣化も引き起こすと言われています。
CPOは、光エンジン(CPOでの光トランシーバーは、従来の光トランシーバーと区別するために『光エンジン』と称されるそうです)をスイッチASICと同じ基板上に実装することで、電気配線が短くなり、消費電力を低減します(下図:CPO:Co-Packaged Optics)。その低減の程度は、CPO採用ネットワークスイッチメーカーごとに異なりますが、NVIDIAは従来のプラガブル型光トランシーバーの30%程度をうたいます。また、信号品質の劣化に対しても効果があり(NVIDIAによると63倍よくなるとのこと)、更に、部品数が減る(例:プラガブル型光トランシーバーがなくなる)ため、耐障害性の向上にも貢献します。
なお、CPOと共に、AIデータセンターネットワークスイッチの消費電力を削減する技術として、Linear-drive Pluggable Optics(以下、LPOとする)があります(下図:LPO:Linear-drive Pluggable Optics)。LPOは、DSP(デジタル信号処理)をプラガブル型光トランシーバーからスイッチASIC基板に移動することで、消費電力を低減します。2025年にAristaが対応製品をリリース済で、Ciscoは2026年後半にリリース予定とのことです。
メーカー各社CPO採用ネットワークスイッチの実装について
先ず、2025年10月に、Broadcomが第3世代のCPO採用ネットワークスイッチである『Tomahawk 6 –Davisson』をリリースしました。そして、2026年初頭に、NVIDIAが『Quantum-X Photonics』をリリースしています。しかし、現時点ではリリース前の製品がほとんどで、各社がCPOのデファクトスタンダードを目指し、その開発競争が激化している状況です。
下表は、Broadcom、NVIDIA、NTTイノベーティブデバイスの3社が、これまで公表した情報をベースにその実装内容をまとめたものです。この他にも、Marvell TechnologyやHuaweiがCPO採用ネットワークスイッチを開発しています。また、レーザー光源などの部品の開発も含めると非常に多くのメーカーが参入しています。
公表情報の解釈に誤りがある可能性もありますが、この3社だけでもその実装に統一感が少なく感じました。また、CPO採用ネットワークスイッチを適用する領域にも違いがありそうです。NVIDIA(恐らくBroadcomも)はスケールアウト(ラック間でのGPUクラスター化)向けのネットワークでの使用を想定しているのに対し、NTTイノベーティブデバイスはスケールアップ(主にラック内でのGPUクラスター化)向けを想定しているようにみえます。
おわりに
2026年3月上旬現在、CPO開発関連の発表が数多くあり、その実用化が近いことは間違いありません。しかし、その先陣としてリリースされるCPO採用ネットワークスイッチでもまだまだ分からないことが多く、また、メーカー各社による実装の違いも気になるところです。本BLOGが、みなさまが今後CPO採用ネットワークスイッチを検討する上で、少しでも役に立つことを願います。
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。