2025 年 10 月のブログ記事(https://www.netone.co.jp/media/detail/20251028-01/)では、関西外国語大学とネットワンシステムズが連携して実施している PBL(課題解決型授業)の取り組みについて、その背景や仕組みをご紹介しました。
本授業は、単なる「アイデア出し」の授業ではありません。ネットワンシステムズが長年培ってきた「ネットワーク技術で社会を変革する視点」を、これからの未来を担
う学生たちにどのように継承し、共に新しい価値を創出したのか――。今回はその「完結編」として、約 1 年間にわたる活動の集大成となった最終発表会の様子と、学
生たちが導き出したユニークな課題解決策(ソリューション)についてレポートします。
目次
はじめに-なぜネットワンシステムズが「外国語学生」と連携するのか
「語学と国際感覚に優れた学生」と「ICTインフラの専門企業」。一見、遠い存在に見える両者がタッグを組むことにこそ、今回のプロジェクトの意義があります。
現代の社会課題解決において、ICTの活用は避けて通れません。しかし、技術だけあっても課題は解決しません。必要なのは、「国内外にとどまらない幅広い視点で社会のニーズを汲み取る力」と「それを実現する技術のロジック」の融合です。
ネットワンシステムズは、このプロジェクトを通じて、将来どの業界に進んでも必須となる「ICTを活用した課題解決力」を学生に提供することで、日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支える次世代リーダーの育成という社会課題に取り組んでいます。
前回(2025年10月)の記事では、春学期から始まった「課題発見」のプロセスと、秋学期に向けた「IoT活用による解決策検討」の展望についてお伝えしました。
ネットワンシステムズが提示した課題テーマは「世界をつなぐ、未来を創る—IoT×ネットワークでスマート社会プロジェクト」。
学生たちは、「これから先の未来に“あったらいいな”」という視点で、IoT技術を駆使した社会課題解決の提案に取り組みました。
12月18日に行われた最終報告会までの過程で、私たちは単にIoTの知識を教えるだけでなく、ネットワンシステムズが実際のビジネスで行っている「統合的な解決アプローチ」を学生たちに伝授しました。
- 現状分析(As-Is)とあるべき姿(To-Be)のギャップ抽出
- 単一の機器ではなく、ネットワーク全体で解決するシステム思考
- セキュリティと利便性の両立
学生たちは当初、「アプリを作れば解決する」といった短絡的な思考に陥りがちでした。しかし、当社社員がメンターとして「そのデータはどこを通って、どう守られるのか?」「ユーザーにとっての真の価値(体験)は何か?」と問い続けることで、表面的なアイデアが「実効性のあるソリューション」へと磨き上げられていきました。
そして2025年12月18日、関西外国語大学にて学内合同報告会が開催され、1年間の成果が発表されました。
最終発表会の熱気
報告会は、関西外国語大学 中宮キャンパスの谷本ホールで開催されました。当日はネットワンシステムズだけでなく、共にPBLを実施した計7つの企業・団体と連携した学生グループが一堂に会し、プレゼンテーションを行いました。
ネットワンシステムズの担当クラスからは3つのグループが出場しました。春期に徹底的に行った「PEST分析」や「As-Is/To-Be分析」で抽出した課題に対し、秋期に学び深めたIoT技術をどう組み合わせ、ビジネスとして成立させるか。学生たちの熱のこもった発表が行われました。

学生たちが描いた「未来のあったらいいな」
ネットワンシステムズ担当の3グループが発表した、ユニークかつ実現性を意識したソリューションをご紹介します。
■日本人の睡眠不足を解消する「ネムルーム」
世界的に見ても睡眠時間が短いとされる日本人の課題に着目したチームです。「外出先でも質の高い仮眠を取りたい」というニーズに応えるため、IoT技術を搭載した仮眠ボックス「ネムルーム」を発表しました。統計データなどを用いた、説得力あるプレゼンテーションでした。単なる休憩スペースではなく、IoTによる空き状況の管理や、利用者のバイタルデータに応じた環境制御など、テクノロジーで「休息の質」を高めるアイデアは、働き方改革や健康経営の視点からも興味深いものでした。

■安心を守るIoT「真実の出入り口」
こちらは「住居への不審者侵入防止」という、生活の安全に直結するテーマです。
特筆すべきは、「検知後のアクション」まで設計されていた点です。異常検知→ネットワーク経由での即時通報→ログの保全というフローは、ネットワンシステムズが最も得意とする「止まらない・安全なネットワーク」の思想が、生活者の安心という形へ具現化されたものでした。

■移動を快適にする「交通系アプリケーション」
混雑緩和と移動の最適化を目指したこの発表は、スマートシティの縮図とも言えます。
人流データをIoTで収集・可視化し、それをユーザーにフィードバックして行動変容を促す仕組みは、「情報の利活用によって社会インフラを最適化する」という、これからのインフラ企業の在り方を学生ならではの柔軟な発想で描いていました。

担当教員・企業担当者の声
1年間のプログラムを終え、ご指導いただいた関西外国語大学 英語国際学部の神田 修悦 教授より、学生たちの成長について以下のコメントをいただきました。
「IoTを活用したビジネスモデルを構想するというテーマに直面し、授業開始時、学生たちは大いに戸惑っておりました。しかし、ネットワンシステムズ様のビジネス視点でのフィードバックを受けることにより、様々な課題解決プロセスを学修する中で、彼らの眠っていたポテンシャルが掘り起こされ、結果として期待以上の成果に辿り着くことができました。その成長ぶりには驚くべきものがあります」
当初はITやIoTになじみの薄かった学生たちが、最後には技術を「課題解決の手段」として使いこなし、堂々とプレゼンテーションを行う姿は、まさに当社が目指す「共創型人財育成」の成果と言えます。

さいごに
今回のPBLを通じて、私たちが提供できた最大の価値は、IoTの知識そのものではなく、「テクノロジーを武器にして社会課題に立ち向かうマインドセット」です。また、学生たちは「技術」と「社会課題」を結びつける難しさと面白さの両方を学んでくれたことと思います。
私たちネットワンシステムズにとっても、次世代を担う学生ならではの柔軟な発想や、「あったらいいな」という純粋な視点から多くの気づきを得る貴重な機会となりました。
ネットワンシステムズは、情報インフラを支える企業として、システムを構築するだけでなく、それを使いこなし未来を創造できる「人」を育てることも重要な社会的責任(CSR)であると考えています。
文系・理系の枠を超え、多様なバックグラウンドを持つ学生たちがICTの可能性に目覚めるきっかけを作ること。それが、持続可能なスマート社会の実現につながると信じ、今後も教育機関との連携を強化してまいります。
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。