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「つながらない」「遅い」をなくす──AIで変わるネットワーク運用の新常識

ネットワークインフラに対するAIの活用の歴史は2022年に公開されたChatGPTの公開よりも古く、遡ると2014年にMist Systems社が、AIを活用したネットワークモダナイゼーション(近代化、最適化)をいち早く推進していました。

本ブログでは、AIを活用したネットワークモダナイゼーションのパイオニアであるHPE Juniper Mist AIソリューションを例に、ネットワークモダナイゼーションの重要性とその効果をご紹介させて頂きます。

ライター:山下 聖太郎
2007年にネットワンシステムズに入社し、無線LANの技術担当SEとして製品や技術の調査、検証評価、技術者の育成、及び、提案や導入を支援する業務に従事しています。
最近ではサービス開発チームに所属し、無線LANやクラウド技術を利用したサービスの開発、提案をしています。

CCIE Enterprise Wireless(#61036)、第一級陸上特殊無線技士
第5回 シスコ テクノロジーコンテスト 最優秀賞受賞
Cisco APJC Partner Innovation Challenge 2019 Japan Sector 最優秀賞受賞

目次

■ひと昔前の無線LANのトラブルは迷宮入りしがち

昨今、コロナ後のオフィス回帰に伴い、オフィスでの無線LAN利用率と重要性が高まっています。

カメラ付きPCでのWeb会議など、多様なアプリのトラフィックが無線LANの帯域を圧迫し、無線LANを原因とするトラブルは年々増加傾向にあり、ビジネスへ影響を与えるケースも少なくありません。

ひと昔前は、ユーザーから「遅い」「つながらない」「Web会議が中断する」といった申告が上がると、アクセスポイント(AP)や無線LANコントローラ(WLC)のログを確認し、原因が特定できない場合は現地に赴き、事象を再現させたタイミングで無線パケットキャプチャやAPのデバッグログを取得するといった対応が求められていました。

運よく事象が再現すれば原因解明するケースもありますが、いつ発生するかわからない問題に対しての現地調査の調整がつかず、原因がわからないまま様子見で終わってしまった経験がある方もいるのではないでしょうか。

昨今ではそんな課題に対して、ネットワーク状態をリアルタイムで監視して異常を自動で検知し、AIがログやパケットを自動で解析することで、従来は人手と時間を要したトラブルシュート対応や復旧までの時間を大幅に短縮してくれる時代となっています。

ネットワークモダナイゼーションがなぜ今重要なのか


2025年9月現在、日本では少子高齢化に伴う2030年以降に見込まれる労働力不足が、日本企業全体にとって避けられない課題となっています。

一方で、システム高度化に伴うトラフィック増加、多様化する管理デバイス、増え続ける端末数への対応も求められています。

デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していくためには、データセンターから拠点ネットワークやWANまでを包括するネットワークモダナイゼーションが不可欠です。

ネットワークモダナイゼーションがされていない環境では、

  • 事前キッティングに数時間を要する設置・設定
  • 数分間隔のポーリングしか行えない監視
  • 有線/無線/WAN/セキュリティが個別にサイロ化
  • 専門家頼りの手動トラブルシュート

…といったボトルネックにより、プロジェクトの長期化や運用品質の低下を招いてしまいます。

そのため、ネットワークモダナイゼーションを実現できるネットワークインフラ構築が、喫緊の課題となっています。

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ネットワークモダナイゼーションの実現にはネットワーク全体で「今何が起きているか」の可視化が重要になってきます。

ネットワーク全体を可視化することで、AIが機械学習を行い、データから原因を分析して最適な解決策を導き出せるようになります。

■ HPE Juniper Mist AIソリューションの成り立ち

HPE Juniper Mist AIは、2025年9月現在HPE社のソリューションですが、元々は2014年にAI Opsのパイオニアとして創設されたMist Systems社のソリューションが元となっています。

Mist Systems社はCisco Systems社(以下Cisco)などでAironetやWLCの開発に携わっていた無線LANの専門家集団によって設立されました。

ChatGPTなどAIが一般に広がる以前から、「AIによるユーザ体感向上がネットワークモダナイゼーションに必要不可欠」と見抜き、AI Opsのパイオニアとして、AIに特化したハードウェア、クラウドアーキテクチャ、組織体制を一から構築しました。

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2019年にMist Systems社をJuniper Networks社(以下Juniper)が買収し、無線LANだけでなくJuniper社のネットワーク製品もMist AIで統合管理できるようになったことで、AI Opsによるネットワーク全体のモダナイゼーションが実現可能なソリューションとなりました。

AI Opsを活用したネットワークの最適化の実現性を評価され、世界的な評価として2020年から2025年まで、Gartner社のMagic Quadrant™の「Enterprise Wired and Wireless LAN Infrastructure」で5年連続のリーダー、うち4年連続でトップ評価を獲得しています。

・Enterprise Wired and Wireless LAN Infrastructure(Gartner評価)

■ HPE Juniper Mist AIのネットワークモダナイゼーションを実現する機能

HPE Juniper Mist AIは、クラウドAIエンジン「Marvis」を核に、端末からクラウドに至るまでEnd‑to‑Endで一元的に可視化し、AIによる自動トラブルシュートや最適化を実現します。

ネットワークモダナイゼーションを実現する代表的な機能を以下に抜粋します。

  • AI RRM(Radio Resource Management)・・・ AIによる機械学習で拠点毎に最適なチャネルや送信出力調整
  • Marvis Minis・・・仮想クライアントによる接続試験でのプロアクティブなトラブル検知
  • Marvis Action ・・・ネットワーク全体の問題点と改善方法をAIが提示
  • SLE(Service Level Expectation)・・・ ユーザ体感をサービスレベル(SLE)で数値化
  • Root Cause Analysis(根本原因分析)・・・ユーザ体感(SLE)が下がっている原因をAIが分析し可視化
  • Dynamic Packet Capture(自動パケットキャプチャー保存)・・・受信専用アンテナで通信に通信への影響ゼロで、エラー発生時にパケットを自動取得
  • Marvis AI + ChatGPT連携・・・トラブルシュートの時間を短縮するChatbot機能

これらの機能が実際のお客様の環境に導入されることで、ネットワークモダナイゼーションに必要な可視化を実現し、課題に対するアクション、日々の運用やトラブルシューティングに対する工数を削減してくれます。

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たとえば冒頭の、端末が「遅い」「つながらない」「Web会議(ZoomやMicrosoft Teamsなど)が中断する」といった申告があった場合、Juniper Mistは次のように支援します。

  • 「遅い」:ユーザーのパケット情報や周囲の電波環境データから原因を特定し、対処方法を案内します。
  • 「つながらない」:端末のパケットやログを分析して問題点と原因を示し、対処方法を案内します。
  • 「Web会議が中断する」:端末、AP、スイッチ、ルータ、クラウド上のパケットやログを横断的に分析し、「どこでどのような問題が発生しているか」を提示します。

■ Innovation Showcaseにお越し頂いたお客様にはさらに

ネットワングループはMist Systems時代からHPE Juniper Mist AIを取り扱っている、日本で最も多くの案件事例とナレッジを持っているパートナーです。

Innovation Showcaseでは当日、ネットワングループでHPE Juniper Mist AIの案件支援に従事している無線LANの専門家から、お客様の市場に合わせた実案件のユースケースや、運用/トラブルシュートデモなどをご提供しています。

導入時の苦労話や、導入後のお客様の声、競合と比較した本当の所など専門家とのディスカッションも可能ですので、日々のネットワークの運用やトラブルシュートにお悩みのお客様は是非応募ください。

■ まとめ

AIを活用したネットワークモダナイゼーションは、DX推進の要であると同時に、運用負荷軽減とユーザー体感向上を両立してくれます。

まずはInnovation Showcaseで、AIによるネットワークモダナイゼーションの効果を体感して頂ければ幸いです。

HPE Juniper Mist AIは「ユーザ体感の向上」を強くコンセプトにしているソリューションであるため、トラブルシュート時の原因分析結果までの動線を意識し、クリック数を極力削減したシンプルで高速なUI設計も特長の一つです。

実際に導入に至ったお客様も、まずはPOCでご体感いただき、機能や使い勝手を気に入って導入を決められたケースが多い製品となっています。

弊社ではアクセスポイント(AP)を貸し出しておりますので、ぜひ一度実際にご体感ください。

ネットワンシステムズ株式会社 ビジネス開発本部

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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