
2025年8月をもって、Unityのオールフラッシュモデルが販売終了となるのに伴い、後継機であるPowerStoreへの移行の推進が始まっております。今回はその推進活動の一環として、実際に移行する際の手順や注意点などを再整理するために検証を実施しました。
目次
はじめに
ネットワンシステムズの川和です。
今回は、UnityからPowerStoreへのデータ移行について検証し ました。
概要
なぜデータ移行の検証をしたの?
デル・テクノロジーズ社のストレージ製品であるUnityにはハイブリッドモデル(HDDとSSDをどちらも搭載できる)とオールフラッシュモデル(すべてSSDで構成)が存在します。
※オールフラッシュモデルはモデル名の末尾に「F」が付いています。
この度、2025年8月をもって、Unityのオールフラッシュモデルが販売終了となりました。
それに伴い、Unityのオールフラッシュモデルを導入しているお客様に対し、後継機であるPowerStoreへの移行の推進が始まっております。
今回はその推進活動の一環として、実際に移行する際の手順や注意点などを再整理するために検証を実施しました。
どうやってデータ移行するの?
UnityからPowerStoreへのデータ移行にはいくつかの手段がありますが、よく利用されているものとして2通りの方法があります。
1つはStorage vMotionを利用する方法であり、vSphere環境を利用している方にはおそらく馴染み深い技術ではないでしょうか
大きな特徴として、仮想マシンのダウンタイムが発生しないという利点がございます。
もう1つがPowerStoreに内蔵されているデータインポート機能を利用する方法であり、この機能を「ユニバーサルデータインポート」と呼びます。
ユニバーサルデータインポートを使うことで、PowerStore Manager(PowerStoreのGUI)上でデータインポートの操作をすべて完了することが可能です。
前者は実際に使ったこともある方が多いかと思いますので、今回は後者を使って、ブロック/ファイル両方の移行手順を解説しつつ、検証結果をご共有します。
表1. Storage vMotionとユニバーサルインポートの比較
Storage vMotion |
ユニバーサルインポート |
|
移行対象のデータ |
ブロックのみ |
ユニファイド |
ダウンタイム |
なし |
あり |
実行環境 |
vSphere環境のみ |
特に指定はなし |
検証してみた
検証環境の構成図とイメージを以下に示します。

図1. 検証環境簡易構成図
図2. 検証イメージ
今回の検証では、移行元のストレージであるUnity450Fと移行先であるPowerStore3000Tの他、移行用の仮想マシンの構築用途としてPowerEdgeR630を使用しています。
上記の機材は、VDX6740を経由してiSCSIで接続しており、通信速度は10GBになっています。
今回の検証では、Unity450F上で作成したLUN及びNASサーバーをPowerStore上にインポートしました。
それぞれについて、詳細を説明します。
LUNの場合
まずUnity450Fで作成したLUNからDataStoreを作成し、その上に仮想マシンを4台作成しました。
各仮想マシンにはIOmeterを使用して、500GB分のデータが書き込まれています。(合計で約2TB)
その状態で、データインポートを実行し、UnityからPowerStoreへデータを移行、その際の動作や移行にかかった時間をチェックしました。
実際の手順は以下の通り
1. PowerStore Managerの画面上部のメニューより[移行]→[外部ストレージのインポート]を選択
2. [リモートシステムの追加]をクリックし、移行元のUnityを追加する
3. [リモートシステム]タブに追加されたUnityを選択し、[ボリュームのインポート]をクリック
4. 移行するボリューム、移行したボリュームをマッピングするホスト、インポートのスケジュール等を入力し、移行を実行する
5. [ブロックインポート]タブからインポートのセッションを選択し、[インポートアクション]から[ターゲットボリュームの有効化]を選択
6. [インポートの状態]が[コピーを開始する準備が完了]になったら、[インポートアクション]から[コピーの開始]を選択
個人的には、4.の作業が完了した段階でインポートが開始されると思い込んでいて、その後操作が必要なことに気付くのが遅れたので、そこだけ注意した方がいいと思います。
検証結果としては、約2TBのデータが格納されたLUNを移行するのに2時間55分かかりました。
また、UnityとPowerStoreそれぞれの重複排除適用後の容量を確認したところ、Unityでは403.1GB、PowerStoreでは71.4GBと、PowerStoreの優れた重複排除機能によって、データ容量がより効率化されていることが確認できました。
NASサーバーの場合
Unity450Fで作成したNASサーバー及びファイルシステムを作成しました。共有プロトコルは、NFSv3となっています。
ファイルシステム上には、IOmeterを使用して作成した500GBのファイルを合計4つ格納した状態で、PowerStoreへのデータインポートを実行しました。
LUNの移行と異なり、NASサーバーを移行する際は、事前に準備が必要な場合があります。
1つは移行前のNASサーバーに対し、データ移行用のインターフェース(IPアドレス)を追加する必要がある点、もう1つはPowerStoreにファイル移行用のインターフェースを追加する必要があります。
PowerStoreへのファイル移行インターフェースの追加は[ファイルインポートインターフェース]タブから可能です。
実際の手順は以下の通り(手順1、2は共通となります)
3. [リモートシステム]タブに追加されたUnityを選択し、[NASサーバーのインポート]をクリック
4. 移行するNASサーバー、移行/本番インターフェース、インポートの構成等を入力し、移行を実行する
LUNの場合と違って自動で移行が開始されるので、作業は以上で終了です。
注意点として、NFS共有への権限設定の問題があります。
Unityでは、NFS共有の作成時にアクセス権限を設定することができます。デフォルトでのアクセス権限の他、特定のIPアドレスからアクセスされた際の権限を個別に設定できるのですが、Windowsからファイルシステムにアクセスしようとすると、ここで設定した権限に関わらずファイルの読み書きができないという問題が発生しました。
この問題を解決ために、一度NFS共有をLinux等にマウントし、chmodコマンドを使ってマウントしたNFS共有の権限を書き換えました。
データ移行というよりは、UnityでNFS共有を利用する際の注意点といった感じですが、忘れたころにこういった問題が発生して困ることがあるので、備忘録として載せておきます(同じように困った人もいるのではないでしょうか?)。
検証結果は、約2TBのデータが格納されたLUNを移行するのに14時間22分かかりました。
LUNと比較すると、約5倍近く時間がかかってますね......
重複排除については、Unityにて適用後の容量が173.5GBだったのに対し、PowerStoreに移行後は64.7GBとなっておりました。
表2. 検証結果まとめ
LUN |
NASサーバー |
|
移行に要した時間 |
2時間55分 |
14時間22分 |
実行容量 |
403.1GB(移行前) →71.4GB(移行後) |
173.5GB(移行前) →64.7GB(移行後) |
まとめ
今回は、UnityからPowerStoreへのデータ移行を検証しました。
Storage vMotionが利用できない環境において、データ移行の際にユニバーサルデータインポートにお世話になることも多いのではないでしょうか。
個人的には、操作が非常に簡単であることはかなり評価ポイントだと思っています。
冒頭でご案内した通り、Unityのオールフラッシュモデルは販売終了となりました。
ですが!Unityの後継機であるPowerStoreはまだまだアップデートが続きますので、この機会にUnityを利用している方は、PowerStoreへの移行を進めてみてはいかがでしょうか?
長い目で見れば、容量効率や消費電力などの面でコストダウンにも繋がるはずです。
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。