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社内イベント「障がい者情報交換会」を開催

社内イベント「障がい者情報交換会」を開催しましたので、その内容をご紹介します。

ライター:岡野 隆
障がい前提で働いています。様々な工夫をしながら働けています。障がいをお持ちの皆さんの希望になれれば何よりです。

目次

当社では、誰もが自分らしく活躍できる環境を目指しています。今回は、その取り組みの1つである、社内イベント「障がい者情報交換会」についてご紹介します。

1.「障がい者情報交換会」開催の背景と経緯

筆者である私は、脊椎小脳変性症という末端神経に障害が出る病気を7年ほど前に発症し、障がいを持ちながら働いています。歩行障害や言語障害が出る進行性の難病です。

実際私もそうなのですが、障がいがあると、現状維持が最優先となり、なかなか今後のキャリアを想像できない側面があります。

また、障がいを持ちながら働くことを考えたときに重要だと思う要素がいくつかあり、私の考える3点をご紹介します。

①仕事の維持と継続
ソフトウェアやツールやガジェット利用など、障害があると、一般的に簡単なことでも業務を行うために様々な工夫が必要になります。現状のリソースで、できないことをいかに解消するかが大事です。

②働くための環境整備
日常的なコミュニケーションは障害の有無にかかわらず重要ですが、意思疎通の方法は工夫が必要になる場合があります。また、障がい内容に応じた業務のバランスのとり方には考慮が必要です。

③公的支援の利活用
置かれている状況によっては使用していない制度やサービスがあるかもしれません。ただ、「知っているかどうか」で結果は大きく変わります。

以上より、就業環境や配慮をお願いしたい場面があった際に相談できる場所や、障がいを前提に働く皆さんと情報を共有できる機会が必要だと感じるようになり、障がい手帳ホルダー、障がい前提で雇用される立場として、今回の「障がい者情報交換会」を起案しました。

2.「障がい者情報交換会」の開催内容

「障がい者情報交換会」は、オンラインによるウェビナー形式で、1時間の開催としました。社員であれば、どなたでも視聴できます。前半は、開催趣旨や法令で定められた障がい者雇用率とネットワンの現状、各回テーマに関わる情報を提供し、後半では実際に障がいを前提に働く社員の方とのパネルディスカッションを行いました。私は、起案者である立場で趣旨説明をし、パネリストとしても参加しました。障がいがありながら仕事を持つ方々が直接つながり、実際に役立つ情報や知恵を共有する場となりました。心温まる交流と、障がいに関する理解を深める機会となった本イベントの様子をご紹介します。

全開催ともに全体の流れは同じで、起案者である私から趣旨説明をさせていただいた後、障がい雇用における法令を説明、ネットワンにおける障がい者雇用の現状を共有します。その後、開催ごとに掲げたテーマに関連する情報を提供し、パネルディスカッションへと続きます。

”第1回テーマ”支援制度の利活用

初回は、法令で定められている支援制度をテーマとしました。

障害のある方が、日常生活や社会生活を営む上で必要な障害福祉サービスなどが定められた法律は多くあるものの、申請手続きは複雑で、わかりづらい為に申請自体に躊躇してしまう場合があります。私自身、多くの支援制度を利用していますが、提供してもらえる情報は少なく、ほとんど自分で調べました。市役所などに出向いた際、用事はなくても“障がい支援課”などに声をかけるようにしています。すると、「知らずに使っていなかった」制度を知る事もあります。

パネルディスカッションでは、それぞれが利用しているサービス、活用している支援制度の共有がされたことで、今後の利活用の幅を広げるきっかけにできたように思います。参加者からは、障がいの有無に関わらず「社内の現状を知る機会になり有益だった」との感想を多くいただきました。

”第2回テーマ日常業務と働き方

2回では、業務内容の紹介/共有と合わせて、働く上で工夫されていることや仕事環境への率直な感想と意見交換を行いました。

私は病気の特性上、基本的には社内のワークスタイル制度を活用し、テレワークで業務を行っており、訪問型言語リハビリテーションや、訪問型歯科検診、訪問型運動リハビリテーション、訪問型マッサージ等、平日の日中に法的支援制度を利用しています。それらの支援制度の利用をするにあたり、社内制度のフレックス勤務の「中抜け」を利用していることの情報提供を行いました。そのほか、参加されたパネリストからも働き方の工夫を具体的に伝えていただく形での情報交換会となりました。

出勤状況や社内制度の使い方、日常生活での困難や解決法について実体験を参加者が語り、試してよかった工夫やリソースについて意見交換する時間は、参加者のアンケートからも、有益な情報であることがわかりました。実際の業務に影響がある内容や配慮内容など、参考になる部分があったというご意見をいただきました。

”第3回テーマ周囲の協力体制

3回では、「周囲の協力体制」をテーマとし、働く上で得られている協力や、周囲の方にご理解いただきたい、期待したい事の情報交換を行いました。

私は、基本的にテレワーク中心で業務しているのは前述の通りですが、年に数回、出社して同じチームのメンバーと顔を合わせるようにしています。外出自体のハードルが非常に高く、外出時にはストロー付きコップと曲がる食器と着替えを常備しています。また、通勤ラッシュを避け、出社日は11:0015:00等勤務時間を短くしています。ただ、終日オフィスで勤務する場合には、仮眠室で休憩を取らせてもらったり、様々なところで配慮いただいています。また、私は障がい内容や病気の現状など、周囲と共有することに抵抗がありません。自己紹介用のパワーポイントスライドを用意して、初対面の方には見ていただくようにしています。メモ(入力)と会話に時間がかかることを最初にお話して、了承いただくようにしています。そういった自分からの発信で理解や協力を得られる場面もあります。

配慮いただくことは非常にありがたい半面、「助けてもらうこと」に迷いがないわけではありません。なんだか、申し訳ない感じがしてしまいます。それでも周囲の理解と協力があるのは本当にありがたいと感じています。それぞれのパネリストの方からも様々なご意見がありました。障がいの内容や程度で、日常生活や仕事環境の在り方が全く違いますし、「何ができて、何ができない」という話を聞くだけでも、とても参考になるというご意見をいただきました。アンケートでは、社員の声として、身近でリアリティある話が聞けたことにとても良い感想をもっていただく事ができました。

経験や挑戦が、他の参加者にとってのインスピレーションとなり、また他の方々の体験談を聞く事により新たな視点を得ていただけたと感じています。

3.おわりに

このイベントでは、障がい者の方々が集い、日々の生活や仕事に役立つ情報を共有し合うとともに、支え合うコミュニティとしてのつながりを強化する場となりました。それぞれが直面する課題について学び合える場であり、障がいの有無に限らず、支援者、家族、会社の関係者も参加し、幅広い視点から障がい者支援の可能性を探りました。

障がいを持ち働く方々が孤立することなく、自分のアイデンティティを誇りに思い、全力で活動できる場所を提供することが必要であり、勇気を持って自分らしく活躍できる環境を目指していきたいです。

参加者は各回10数名とまだまだ地道な活動ではありますが、参加された皆様からは非常に良いアンケート結果をいただいております。少しずつでも理解者を広げ、文化醸成につなげていけると良いと考えています。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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