
遠隔支援ソリューション「TeamViewer」を用いて、ロボット導入の現地作業を行いました。
物理的に距離が離れた場所に居る指示者と作業者のコミュニケーションを支援するソリューションを利用することで、働き方がどのように変化したか本記事にてご説明します。
目次
はじめに
テレワークの推進や働き方の多様化が進む中で、現代の労働環境は大きく変わってきています。しかしながら、実機の設定作業など、現地へ赴く必要のある作業も依然として多く存在します。
こうした状況下で、働き方をさらに変えていく可能性を持っているのが遠隔支援ソリューションです。オンラインツールとデバイスを活用して、遠隔地から円滑な支援を可能にします。
本ブログでは、遠隔支援ソリューションの1つである TeamViewer を活用して現地作業を行った際に得られた所感や、ビデオ会議との相違点などについてご紹介します。遠隔地での作業の効率化に悩んでいる方は、ぜひご覧ください。
また、TeamViewer 自体の操作方法の詳細については、「TeamViewerFrontlineで遠隔から安全な作業支援を!機能をご紹介!」も併せてご確認ください。
TeamViewer利用の背景
なぜ、TeamViewerを活用して現地作業を行うことになったのか、その背景について説明します。
作業の目的
コミュニケーションロボット(temi)の現地セットアップ
お客様先にロボットを導入するにあたって、設定作業のため現地に行く必要がありました。
画像1:コミュニケーションロボットtemi
temi・・・AIを搭載したパーソナルロボット。音声アシスタント機能や、自律移動機能を備えており、オフィスや接客業等で活用されている。タブレット型のディスプレイを搭載し、案内を行うことができるのが特徴
状況
作業指示を行うエキスパートと、作業者が物理的に離れた状況
作業指示を行うエキスパートが諸事情により拠点から離れられず、作業者のみが現地で作業することになりました。
【所在】
エキスパート(以下、遠隔支援者):東京
作業者(以下、現地作業者):九州

画像2:距離イメージ
そこで、円滑に作業を実施するため、遠隔支援ソリューションである「TeamViewer」を活用しました。
コンポーネント
遠隔支援ソリューションを利用するにあたって、必要なコンポーネントを記載します。
TeamViewer Frontline
スマートグラスを用いた遠隔サポートを提供するソフトウェアです。対応しているスマートグラスにインストールすることで、現地作業者はスマートグラスを通じて、遠隔支援者に指示を仰ぐことができるようになります。
TeamViewer
遠隔サポートを提供するソフトウェアです。PCやモバイル等、幅広いOSに対応しています。遠隔支援者のデバイスにインストールすることで、現地作業者に指示を行うことができます。
RealWear Navigator 500
画像3:RealWear Navigator 500
今回の作業で、実際に使用したスマートグラスです。TeamViewer Frontlineに対応しており、本体に内蔵されているカメラ・スピーカー・マイクロディスプレイ等を通して遠隔支援者とコミュニケーションを行うことができます。
作業について
概要
TeamViewerを使用して行った作業は以下の通りです。
作業ミスやトラブルシューティングに備え、遠隔支援者と現地作業者で実機を確認しながら作業を進めました。
遠隔支援者:
・PCから現地の様子を確認しつつ作業指示
作業者:
・お客様先にてスマートグラスを装着して作業

画像4:作業イメージ
実際の様子
画像5のように現地作業者がスマートグラスを装着し、設定対象のロボットの画面を映しながら作業を進めました。
画像5:実際の様子(現地作業者)
一方、遠隔支援者の視点が画像6です。遠隔支援者はスマートグラスからの映像を通じて作業者の視点を確認しながら指示を行いました。
指示は音声だけでなく画面共有を使った指示を行うことが可能です。当日は、画像6のように現地作業者の映像のキャプチャに指示を書き込み、現地作業者に共有する場面もありました。遠隔支援者が共有した画面は作業者の装着しているスマートグラスのマイクロディスプレイ上に表示されます。
画像6:実際の様子(遠隔支援者)
所感
現地作業者
フリーハンドで現地の様子を共有したり、資料を確認したりすることができる点が最大の利点だと感じました。PCやモバイルであっても、内臓のカメラを使うことで、遠隔支援者に現地作業の様子を見せることは可能ですが、共有している間は腕を使うことができないため、作業効率が著しく低下します。
TeamViewerを使うことでスマートグラスのカメラやマイクロディスプレイからお互いの状況を共有することができるため、現地作業者は作業に集中できる点が強みだと感じました。
遠隔支援者
TeamViewerを活用した遠隔支援により、物理的な機器の設置作業など、従来のWeb会議の画面共有では対応が難しかった業務にも効果的に対応できると感じました。
特に、作業者が見ているAR空間上にマークを付ける機能は、現地に同席して実際に指示を出しているかのような体験を提供し、指示の明確化と作業効率の向上に寄与しました。
しかし、現地作業者のスマートグラスのセッティングが不十分な場合、カメラ映像のブレや、意図しない箇所が映り込むことがあり、正確な状況把握や指示出しに支障をきたすことがありました。 このため、スマートグラスの適切な装着や調整が、遠隔支援の質を高める上で重要であると再認識しました。
ビデオ会議との比較
弊社では、遠隔地にいる人とのコミュニケーション手段として、ビデオ会議を利用しています。今回のように作業者と指示者の物理的距離が離れている場合、ビデオ会議を用いて指示を行う場面もあります。
そこで、どのような場面でビデオ会議ソリューションと遠隔支援ソリューションを使うべきかを整理しました。

表1:ビデオ会議ソリューションとの比較
ビデオ会議ソリューションに対して、遠隔支援ソリューションは作業指示を支援する機能に特化しており、関係者全員が現地に同席している際の作業とのギャップを埋めるような工夫がされています。どちらか一方が指示を出し、もう一方がその指示に基づいて作業を行う際に適したソリューションになっています。
その一方でビデオ会議システムのような大人数での会議や、現地作業者からの視覚以外の情報提供には弱く、着座で意見交換を行う場ではビデオ会議ソリューションの利用が適しています
それぞれのソリューションに得手不得手があり、作業内容や現場の状況に応じて利用するソリューションを使い分けることが作業の効率化につながることを実感しました。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は、ロボット導入の作業で遠隔支援ソリューションのTeamViewerを活用した所感について説明しました。ビデオ会議ソリューションとの違いや、遠隔支援ソリューションによる効果について、ご理解いただけたでしょうか。
弊社ではTeamViewer等、様々なソリューションを活用した新しい働き方を研究しています。
ご興味のある方は弊社担当営業までお問合せください。
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。