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ツールボックス(寄せ集め)からの脱却:デジタルツインでネットワーク運用をスマートに!

現代の企業IT環境は、多種多様な運用ツールであふれています。しかし、便利なツールも乱立すれば、運用効率の低下やセキュリティリスクの増大を招きかねません。本ブログでは、このような「ツールボックス化」した状態から脱却し、スマートな運用へと変革するための具体的なテクニックを紹介します。ネットワークの信頼性・パフォーマンス向上、そして事業リスクの低減を目指しましょう。

ライター:井上 勝晴
2002年にネットワンシステムズ入社後、応用技術部にてVoIP/Mobile/Telemetry等の通信キャリア様向けの技術を担当
2019年4月より、現職であるNet One Systems USA,Inc.に勤務
米国シリコンバレーに駐在し、Innovation調査と新興企業の発掘業務に従事
妻と娘(6歳)も一緒に渡米しており、家族でのベイエリア生活を奮闘しながらも楽しんでいる。家族で米国の国立公園に行くのが最大の楽しみ。

目次

はじめに

今日の企業ITには多くの有用な運用ツールが存在します。しかし、個々が有用なツール故に多くのツールが乱立する状況も見聞きします。実は、このツールが乱立する現状が運用の非効率性やセキュリティリスクを生み出してしまうことがあります。これらはネットワークの信頼性・パフォーマンスを損ない、延いては、企業にとり事業リスクともなり得るでしょう。

このBlogでは、「ツールボックス(寄せ集め)」からどのように脱却して運用をスマートなものへと変革するか、そのためのテクニックをご紹介します。

ツールボックス(寄せ集め)状態の背景

では何故、企業はこれほど多くのツールを抱え込むに至ったのでしょうか?

現在の企業ITは多様なアプリケーション、クラウド、セキュリティ要件、と非常に複雑となりました。多種多様なベンダーのデバイスで構成され、膨大な構成情報がひしめき合う今日のネットワークインフラは、まさに複雑性の極みです。こうした複雑性への対応として、私たちは、在庫管理・セキュリティ監視・ネットワーク可視化・脆弱性評価など、特定の課題に対処するために設計されたソフトウェアツールを積み重ねてきました。しかし、多くの場合、古いツールを廃棄することなく新しいツールを追加するため、場当たり的にツールが追加され、まとまりのない「ツールボックス(寄せ集め)」状態に陥っているのです。

ツール乱立は、どのような問題を引き起こすのか?

ツール乱立は場当たり的な対処を生み出してしまいます。個々のツールが独立してデータ収集とレポート作成を行うため、ツール間の連携がなく、データ形式も統一されていません。その結果、情報がサイロ化し混乱が生じます。これは、異なる単位系(メートルとインチ)を使う人が家を建てようとするようなもので、コミュニケーションの齟齬やミスが頻発する原因となります。つまり、ツールが増えるほど、コスト増、効率悪化、リスク増大の悪循環に陥ってしまう可能性が高まるのです。

運用コスト肥大化 機能重複ツールの増加は運用コストを増大させ、コスト管理を煩雑に。
時間浪費 ツール過多はITスタッフの習熟不足、生産性低下、サービス品質悪化、離職率上昇を招く。
エラー増加 ツール増加は人的ミスを増やし、IT運用の信頼性を低下させる。
メンテコスト増 ツールが増加するほど、それらの維持管理にかかる負担が増え、技術的負債が累積。
データサイロ化 ツールが乱立することでデータが分断され、ITチーム内で情報が共有されにくくなる。異なる情報に基づいた作業は、非効率、不満、そして更なるエラーを招く。
攻撃対象領域拡大 各ツールは新たなセキュリティ上の脆弱性となり得るため、ツールが増えるほどサイバー攻撃のリスクが増大。
コンプライアンス違反リスク ツールが乱立しデータが不統一だと、コンプライアンス準拠が困難になり、罰金や法的措置のリスクが高まる。

ツール乱立にどのように立ち向かうべきか?

ツール乱立に対処する第一歩は、使用されているすべてのツールを網羅的に棚卸しすることです。どのツールが日常的に使用されているかを見極め、使用されていないツールは廃棄する必要があります。ツールが購入後に放置されるのは、その多くが期待された効果を発揮できなかったり、操作が複雑すぎたりするためです。このようなツールは廃棄の対象とするべきでしょう。

棚卸しが終わったら、現在使用中のツールを評価し、機能の重複を特定します。(現在導入されているツールは、本当にすべて必要でしょうか?)

ここで、この評価の一助となるSpiceworksの記事をご紹介します。記事では、Forward Networksのスティーブ・アリー氏が、データソースとワークフローを集中プラットフォームに統合する重要性を指摘しています。この統合により、冗長なツールとプロセスの削減、可視性の向上、長年の盲点の解消、データ・ドリブン且つ協調的な意思決定、が可能となります。つまり、データとワークフローを一つにまとめることで、コスト削減、効率化、ネットワーク管理の高度化が実現できると強調しています。

データとワークフローの統一に ”ネットワークのデジタルツイン”を活用

Forward Networksのネットワークデジタルツインは、単機能ツールを統合する、強力なネットワーク管理ソリューションと言えるでしょう。ネットワークのデジタルモデルとして、以下の主要な機能で、複雑なネットワーク運用を効率化し、安全性と信頼性を高めることができます。

  • 常に正確な情報: ネットワーク構成、状態、挙動に関する最新かつ正確な情報をIT部門全体に提供。単機能ツール群を置き換え、情報の信頼性を向上させます。
  • 数理モデルによる高度な分析: 構成情報や状態データを基に数理モデルを構築。これにより、正確なトポロジーとインベントリの自動生成、全経路の把握、詳細な挙動分析、構成と挙動の検索・検証が可能になります。
  • マルチベンダー・マルチクラウド対応: 主要なネットワークベンダーとクラウド事業者のデバイスを幅広くサポート。オンプレミスとクラウド環境を統合的に管理できます。
  • ツール乱立の解決: 多くのユースケースに対応することで、ツール数を大幅に削減し、唯一の情報源として矛盾するデータを排除。

まとめ

Forward Networksのデジタルツインは、ネットワークの安全性、信頼性、アジリティを向上させ、ツール乱立という課題を解決に導く、包括的なプラットフォームです。複雑化したネットワーク管理を効率化・高度化し、安全性と信頼性を向上させる次世代型の統合プラットフォームは、IT運用チームにとり一考の価値があるものと言えるでしょう。

(このブログは、Forward Networksの”Effective Network Operations Require a Digital Twin Platform, Not a Toolbox”の記事を抄訳したものです)

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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