
- ライター:知念 紀昭
- メーカーで生産ライン業務を経験後、製品の評価・設計を担当。
その後SIerでシステム設計構築業務を経てネットワンシステムズに入社。
入社後は仮想化ハードウェア・ソフトウェアの評価・検証業務、クラウドソリューション業務などを担当。
現在は、主にデータの利活用・機械学習ビジネスを推進している。
目次
監視ツール群からデータを収集
前回はAIを活用してITインフラやサービス全体を監視・運用および分析するツールSplunk IT Service Intelligence(ITSI)と様々な監視ツールを連携させた「統合ITダッシュボード」を紹介いたしました。各監視ツールのデータを統合ITダッシュボードに集約することにより、運用者は通常運用時には正常・異常の判断が出来るようになり、また障害時にはそのダッシュボードから障害切り分けを実施し復旧時間の短縮を図れます。
今回は、世の中で幅広く採用されているオープンソースの監視ツールZabbixとの連携方法についてご紹介します。
Splunk ITSIとZabbixの連携
Zabbixは、サーバやネットワーク機器やデータベースなど様々なITリソースやサービスの状況を監視するためのオープンソースのソフトウェアです。
Splunk ITSIがZabbixから情報を受け取る方法は、Splunk Forwarderを用いる方法とRest APIを用いる方法などがあります。今回は、Zabbixが既にネットワークルータやネットワークスイッチなどからSNMPでデータを受け取って監視しており、ファイルにログが書き込まれている状態から、Splunk Heavy Forwarderを用いてSplunk ITSIと連携する方法をご紹介します。簡単な例として、とある拠点Routerと拠点SwitchのデータをSplunk ITSIに取り込みます。

図1:ネットワーク機器を監視するZabbixとSplunk ITSIの連携の論理構成
Zabbix側の連携設定
今回はZabbixがRed Hat系のLinux上で動作しており、既に必要なログがファイルに書き込まれていることを前提とします。Zabbix側にSplunk Heavy Forwarderをインストールし、Splunk ITSI側にログ転送する方法をご紹介します。このSplunk Heavy Forwarderはログファイルを読み取り、Splunk ITSIへ転送する役割となります。
まずIndexの作成設定画面からIndexを作成します。ここでIndex名は後程設定する転送先のIndex名と一致させます。Zabbix側のSplunk Heavy ForwarderのIndexに実際にはログは保存されません。

図2:Zabbix側のIndex設定
続いて、Splunk ITSIのIndexerへの転送設定を行います。Splunk ITSIでデフォルトのポート9997番で待ち受ける前提で設定します。転送設定を行うことでSplunk Heavy Forwarderにログは保存されず、Splunk ITSIのIndexerへログ転送されます。

図3:Zabbix側のSplunk ITSIへの転送設定
次にログ取得設定を行います。今回はZabbixが書き込むログファイルの置き場所を指定します。ZabbixのログはJSON形式で書き込まれるため、ソースタイプに_jsonを指定します。インデックスはSplunk ITSI側で保存されるインデックスと同じ名前を指定します。

図4:Zabbix側のログ取得設定
これらの簡単な設定だけで、Zabbix側からSplunk ITSI側への転送設定は終了です。
Splunk ITSI側の連携設定
Splunk ITSI側でSplunk Forwarderからのデータ受信設定を行います。デフォルトは9997番ポートになります。

図5:Splunk ISTI側のデータ受信設定
続いて、データを保存するインデックスを作成します。インデックス名はZabbix側のForwarderで指定したものと一致させます。

図6:Splunk ITSI側のインデックスの作成
正しく設定されていると、サーチ結果に取り込まれたデータが表示されます。

図7:Splunk ITSI側のIndexにZabbixのログが取り込まれた様子
Splunk ITSI側のサービス設定
例として、拠点RouterのCPU使用率のKPI設定をご紹介します。サーチ文で絞り込みを行った後に、メトリックデータが含まれるvalueフィールドを指定します。実際には、一つのサービスに対するKPIの数は6つ以下に留めておいた方が良いです。

図8:拠点RouterのKPI設定
今回は仮想的に拠点ネットワークというサービスを定義し、それが拠点Routerサービスと拠点Switchサービスに依存している設定を行いました。

図9:依存するサービスの指定
統合ITダッシュボードの見え方
今回は簡単な例として、拠点Routerと拠点Switchのログを取り込み、KPIとサービスを設定しました。また拠点ネットワークサービスがこれらに依存するサービスの依存関係を設定しました。Splunk ITSIにてデフォルトで用意されるダッシュボードをご紹介します。

図10:タイル形式のダッシュボード

図11:ツリー形式のダッシュボード
最後に
今回はAIOpsのSplunk ITSIと監視ツールZabbixとの連携方法をご紹介致しました。様々な分野へのデータ利活用・AI活用に挑戦するネットワンシステムズに今後もご期待ください。
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。