
- ライター:渡辺 義和
- 2002年 ネットワンシステムズ株式会社入社
主にクラウド、バックアップ、モニタリング製品等の技術支援を行っている
・AWS 認定ソリューションアーキテクト プロフェッショナル
目次
はじめに
前回の記事では、構成情報の活用を最大化するプラットフォームとして、点・線・面という観点からForward Networksの概要(*1)についてお伝えしました。今回の記事では、Forward Networksを用いた具体的なユースケースの一例として、お客様との会話の中でも関心が高い機能であるネットワーク機器のEOS/EOL管理や、ネットワーク機器の脆弱性管理について掘り下げてご紹介します。
ネットワーク機器の構成管理の実情
皆様は、ネットワーク機器の構成管理をどのように実施されていますでしょうか?これまで様々な業種のお客様と会話をさせていただきましたが、エクセルなどを活用してネットワーク機器を台帳管理するケースもまだまだ多い印象を受けます。手動で管理をしている場合、実際に存在する機器が一覧から漏れていたり、ドキュメントが最新の状態を反映しておらず作業者が困惑するなどのエピソードをお聞きすることも多く、様々なお客様が同じ管理上の悩みを抱えています。
適切に構成管理が行われていない環境では、本来あるべき姿が分からず、いざ問題が発生した場合に調査に時間を要してしまい、結果的にトラブル発生時の影響は想像以上に大きくなります。また、前回の記事でも触れた通り、Key Cyber Security Statistics for 2025の調査(*2)によると、17分毎に新たな脆弱性が公開されており、全ての脆弱性のうち、その半分は過去5年間に公開されたものと報告されています。機器の管理が正しく行われていないと、こうした脆弱性への対応も後手に回ることになり、セキュリティ上も問題となることが懸念されます。
Forward Networksのデジタルツイン技術を活用すれば、ネットワークの全体像を可視化し、管理作業を大幅に効率化できるため、人手に依存することなく、こうした課題を解決することができます。今回の記事では、Forward Networksを活用することで、構成管理や脆弱性管理として具体的にどのようなことが実現可能なのか、実際の画面の例を通じてご紹介していきます。
Forward Networksを用いたネットワーク機器の構成管理(EOS/EOL管理)
Forward Networksの構成管理機能では、ネットワーク機器の管理IPやベンダー種別、ソフトウェアバージョン、各ネットワーク機器のコンフィグなど様々な情報をデジタル管理することができます。また、デジタル管理される情報には、各ネットワーク機器のEOS/EOL情報なども含まれています。EOS/EOLに関する情報は、Forward Networksが自動で提供するため、ネットワーク管理者側での作業は不要です。実際にお客様の環境を拝見すると、既にEOS/EOLの期限を過ぎたネットワーク機器が現役で利用されている場合も多くあります。こうした情報を活用することで、各ネットワーク機器のEOS/EOL情報に基づいた合理的な更新計画を立案することができます。

また、Forward Networksはマルチベンダーに対応しているため、特定のベンダーに依存することなく、環境全体のオーバービューをグラフィカルに表示し、直感的に自社の環境を把握することができます。加えて、直感的で分かりやすいインターフェースが提供されることで、様々な役割の利用者(ネットワーク管理者、セキュリティ管理者、開発者等)が自社のネットワーク環境に関する示唆を得られます。

Forward Networksを用いた脆弱性管理
Forward Networksでは、ネットワーク機器の脆弱性情報も確認することができます。ネットワーク機器の脆弱性情報が公開された場合、脆弱性に該当する機器のソフトウェアバージョンだけでなく、脆弱性を引き起こす設定もセットで公開されることが一般的です。各ネットワーク機器のソフトウェアバージョンを把握しているお客様は多いかと思いますが、その機器にどんな設定が入っているのかまで、すべて正確に記憶しているお客様は少ないです。このため、脆弱性が発覚するたびに、該当の機器のコンフィグを確認し、脆弱性を引き起こす設定が入っていないかどうか、毎回管理者が確認する必要があり、これはかなり大変なタスクです。
Forward Networksでは、こうした脆弱性の調査を自動で行うことができます。Forward Networksの脆弱性機能の特徴は、機器のソフトウェアバージョンだけでなく、脆弱性に該当する設定がそのネットワーク機器に入っているかどうか、コンフィグの内容を加味して自動でチェックできる点です。

上記の画面の例にある通り、"Config match"と表示されているネットワーク機器に関しては、脆弱性に該当するソフトウェアバージョンを利用しており、かつ、その脆弱性に該当する設定も含まれている機器がリスト化されています。また、該当機器の設定で、脆弱性に該当する部分がどこなのかもハイライトで表示されます。
Forward Networksを導入することで、これまで人間が手作業で行っていた脆弱性の調査を自動化することができ、大幅な工数の削減に繋がります。また、設定の内容を考慮した上で、どのネットワーク機器が脆弱性に該当するかを抽出することができるため、対応の優先順位も付けやすく、すぐに具体的な行動に取り掛かれるのも大きなメリットです。
まとめ
現状のネットワーク管理は依然として手作業が多く、担当者に多くの負担を強いています。今回ご紹介した通り、Forward Networksのデジタルツイン技術を活用することで、ネットワークの全体像を可視化し、管理作業を大幅に効率化することができます。
また、これらの重労働から社員を解放することで、本当に重要な業務に集中させることもできるため、Forward Networksの導入は単なるITコストの削減だけでなく、ビジネス全体の成長にも寄与します。この点については、IDCからの調査レポート(*3)もありますので、ぜひご参照ください。
さらに、今回ご紹介した機能以外にも様々な使い方が可能ですので、ご興味がありましたら、弊社の担当営業にご連絡ください。
参考リンク
- Forward Networks - 構成情報の活用を最大化するプラットフォーム (*1)
- Key Cyber Security Statistics for 2025(*2)
- The Business Value of Forward Networks(*3)
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。