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未来の教育現場へようこそ:VRゴーグルと360度カメラで新人講師育成

教育の未来がここにある。経験豊富な先輩講師の授業を360度カメラで録画し、新人講師がVRゴーグルを通じてあたかもその場で自分が登壇しているかのように学ぶ新しい育成方法を取り入れました。

目次

背景

新人講師育成に2つの課題があります。

○人前で話すことへの苦手意識
講師になるためには人前で話すことができるプレゼンテーションスキルが求められますが、新人講師の中には人前に立ち話すことに対して苦手意識を持つ方も少なくありません。これは、コロナ禍の学生時代をリモート環境で過ごしていたため、対面でのコミュニケーションをとる機会が少なかったことが原因であると考えられます。

○練習場所の不足
コロナ禍以前は、新人講師が教室で実際に登壇練習を行い、人前で話すことに慣れるよう対面指導を行っていました。しかし、コロナ禍でオンライン研修が増加し、教室の数は減っていきました。その後「アフターコロナ」への転換に伴い、オンラインから対面研修に戻る動きが進み、教室の利用が増えたため、登壇練習や指導を行う場所の確保が難しくなっています。

以上の2つの課題を解決するため、ネットワークアカデミーはVRゴーグルと360度カメラを活用した新しい講師育成を取り入れることとなりました。

VR技術とは

○VR技術の基本的な説明
VR技術は、360度映像を通じて通常の映像や画像よりも多くの情報を提供することができます。
VRゴーグルを装着すると、360度の映像を視界全体に映し出すことができます。実際に自分がその空間にいるような感覚を得られる技術です。近年では、映像内を自由に移動したり、物を操作したりすることができるなど、より没入感の高い体験も可能となっています。

○教育分野でのVR活用例
最近では、教育現場においてVR技術の導入が増えています。学校教育ではVRを使って世界遺産などの名所を巡る仮想空間での社会科見学を実施、工場や医療分野では若手育成の支援として現場の仮想体験にVRが活用されています。今後も、さまざまな場面でVR技術の活用が期待されています。

VR映像の作成

○先輩講師の授業の録画方法
実環境により近づけるために研修環境を構築した教室で、登壇する先輩講師と受講者役のエキストラを配置しました。新人講師があたかも自分が登壇しているような体験をするという狙いで、撮影時は講師目線から見える映像が撮れるよう教壇の前にカメラを設置し、受講者全員を見渡せる角度で撮影しています。
機材は、360度カメラ(insta360 pro2)を使用しました。

VR映像の新人講師育成への活用

○活用方法
360度カメラ(Insta360 Pro2)で録画した360度映像をVRゴーグル(Meta Quest Pro)に投影。新人講師がそれを装着しました。

○VRゴーグルを装着した新人講師の感想や反応
360度見渡せる映像と高品質な音声により、まるでその場にいるかのような臨場感を味わうことができました。
先輩講師の立ち居振る舞いや登壇時のポイントを映像越しに確認することができ、研修の流れを掴むのに役立ちました。
VRゴーグルという最新のテクノロジーを用いることで、ワクワクした感情を抱きながら研修登壇の練習が仮想空間ででき、学びの楽しさを感じました。今後も登壇の予行練習として活用していきたいです。

メリットと課題

【メリット】
○時間や場所に制限がない
VRゴーグルを用意するだけで、好きなタイミングで場所に縛られることなく登壇の予行練習ができます。

○繰り返し視聴ができる
VRゴーグルを装着さえすれば、いつでも繰り返し映像を確認することが出来ます。

○リアルな体験を通じた学びの楽しさ
これまで新人教育は言葉で指導することが多かったですが、VR映像を通じてリアルな体験をしてもらうことで、自身の気づきに繋げることや、学ぶことの楽しさを本人に感じてもらうことが出来ました。

他にも、研修改善に繋がる新たな発見もありました。
先輩講師もVRゴーグルを装着し、受講者目線から見た自分の立ち居振る舞いを確認したことで、研修提供の改善に繋げることができました。具体的には、受講者目線で話すことは意識していたものの、満遍なく受講者全員の顔を見ながら説明ができていなかったなど気づきを得ることができました。

【課題】
○技術的なハードル
専門のエンジニアの協力のもと、機材のセットアップから録画作業までサポートしていただきました。この取り組みは複数製品を組み合わせて実現しており、製品操作の理解が必要です。利用機会を増やし、使いこなしていきたいと考えています。また、2Kの映像で視聴していたため、映像の粗さが少し気になりました。4Kにアップグレードすることで、受講者の表情や研修風景をよりリアルに感じ取り、没入感を向上させる効果が期待できると考えています。
専門のエンジニアが技術機材の取り扱いについてまとめたブログを近日公開予定です。ぜひご参照ください。

未来への展望

○今後の可能性
今後はお客様向けにVRゴーグルを活用した新しい研修を提供したいと考えています。ネットワーク機器の構築作業を映像に残し、それを受講者に視聴してもらうことで、現場作業のリアルな仮想体験が可能になります。また、コース内の実機演習では、VRゴーグルを装着して機器のセットアップやケーブル配線を行う人と、遠隔から作業指示を出す人に役割を分担することで、よりリアルな現場作業を体験できます。これにより、学びの楽しさが増すと考えています。

○技術の進化とさらなる可能性
映像内の物体を精密に動かし、その感覚が実際の手に振動などで伝わる技術が進歩すれば、仮想空間で機器の構築作業が可能になります。これにより、新人講師の育成においても、仮想空間での研修登壇が実現し、没入感の高い体験が提供できるようになります。VR技術の活用方法には計り知れない可能性が見えてくるでしょう。

まとめ

○今回の取り組みの総括
VR技術を活用した新人講師育成は、従来の方法では解決できなかった課題を克服する新しいアプローチです。リアルな体験を通じて学びの楽しさを実感できるだけでなく、繰り返し視聴できる点や研修の改善に繋がる新たな発見もありました。

○教育の未来に向けた期待
今後、VR技術の進化とともに、さらに多くの教育現場での活用が期待されます。特に、技術的なハードルの問題が解決されれば、育成指導に悩む多くの人々が、この技術を活用することで効果的な育成をおこなうことができるでしょう。

結論

VR技術を活用した新人講師育成は、教育の新しい可能性を示しています。未来の教育現場がどのように変わっていくのか、今後の展開に期待が高まります。

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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