
本記事は、政府省庁が発信するIT関連の指針やメーカー情報を収集する等のマーケティング活動を担当している、弊社(ネットワンシステムズ(株))の増中隼斗と共著したものです。
- ライター:石井 駿
- 2019年入社。事業部にて自治体や文教市場のSEとして活動した後、全国横断の事業戦略部に異動。現在は自治体、文教市場をメインに市場動向調査やソリューション選定、自動化に取り組んでいます。ICT利活用を通じて、地域課題の解決に取り組んでいます。
目次
はじめに
2024/5/8~10東京ビッグサイトで行われた『第15回 教育総合展 EDIX 東京』に出展いたしました。EDIXとは学校・教育機関、企業の人事・研修部門など教育に関わる方に向けた日本最大の展示会です。
開催期間中、非常に多くのお客様にお立ち寄りいただきました。ネットワンブースにお越しいただきました皆様、誠にありがとうございました。
ネットワンブースでは、「学校ネットワーク環境アセスメントのネットワーク可視化ソリューション」を、デモを交えてご説明いたしました。今回のデモは、Extreme Networks 株式会社の無線アクセスポイント(AP410C)、スイッチ(5520シリーズ )、WAN回線用ルータ(ipe-2200axシリーズ)を使用して構築いたしました。
ここでは、EDIXでご紹介したデモ内容をお話ししたいと思います。

学校ネットワーク可視化ソリューション
文部科学省が発表した、「公立学校情報機器整備事業に係る各種計画の策定要領」によると、デジタル教科書の利用が開始されるなど、学校におけるネットワーク環境整備の必要性はますます高まっています。
ICT利活用が進んできている昨今、今までにはなかった様々な課題が生じています。
ここでは、学校現場での課題を3点取り上げました。
課題1:デジタル教科書のページ送りに時間がかかる
課題2:校務・学習システムの通信遅延状況を把握したい
課題3:ネットワークが遅くても何が原因か分からない
これらの課題の原因は、「学校内の通信機器の故障」、「学校に繋がっている回線の帯域ひっ迫」、「通信先の問題」など様々です。
この様な問題の原因特定には、学校環境のネットワーク情報が必要不可欠です。
そのため、日常からネットワーク情報の可視化はとても重要といえます。
この3つの課題に対し、どのような観点で原因特定の分析をしていくべきかをご説明いたします。
課題1:デジタル教科書のページ送りに時間がかかる
例えば、「デジタル教科書のページ送りが遅い」という問題は、様々な原因が考えられます。
学校内の通信機器や生徒の端末に問題がない場合は、校内ネットワークからインターネットへの遅延状況を確認します。
Webアプリケーションなどのパフォーマンスを考慮するためのRAILモデルによると、Webアプリケーションのレスポンスや動きなどが100msを超えるとユーザは「遅い」と感じるようです。そのため、WAN回線の通信遅延が常に100msを超えているような場合、インターネットの遅延が起きていると推測され、回線帯域の見直しといった検討が必要になります。図1の場合、WAN回線の通信遅延を示す黄色線は100msを超えていないため、WAN回線に問題がないことを示しています。
(参考:Google Chrome 開発チームの RAIL モデルより)
図1.回線の通信遅延状況
課題2:校務・学習システムの通信遅延状況を把握したい
WAN回線に問題がない場合、学校内の機器の状態を確認します。学校内の無線アクセスポイント(以降 無線AP)やスイッチ(以降 SW)、WAN回線用ルータ(以降 ルータ)といった機器のCPU使用率、メモリ使用率を確認でき、機器の健全性等の採点結果を見ることも可能です。
図2中の①では、学校ごとの無線AP全体ないしは、無線APごとのハードウェアのヘルス状態やファームウェアの更新状況などを把握できます。
図2中の②では、無線APごとの性能(CPU使用率、メモリ使用率、無線性能)を把握できます。
ネットワーク機器の性能に問題がある場合、機器交換の目安としても活用できます。
図2.学校無線環境の通信状況
校内の機器類に問題が無い場合は、通信先の通信状況を確認してみます。
図3のように、通信状況を確認すると、DNS項目にある「HC-Guest」が赤くなっていることがわかります。これは、「HC-Guest」というSSIDでDNSレスポンスが遅くなっていることを示しています。

図3.通信先のWeb画面表示速度
このように常に変化する情報を収集し、監視しておくことで、問題が起きた際の切り分けや解決が迅速に行えます。
課題3:ネットワークが遅くても何が原因か分からない
利用者の皆さんが、ネットワークが遅いと感じる原因も様々です。これまでご紹介してきた回線や機器類、通信先にも問題がない場合、遅いと感じている利用者端末の無線状況を確認してみます。例えば、教室に取り付けた無線APの位置が悪く、一部の端末に電波が届かないといったケースもあります。そのような場合は、図4のように教室の電波の届く範囲をフロアマップ上で確認することで、状況整理、問題の特定を行う事ができます。
現場の管理者の方でも理解しやすく、取り付け位置の変更など、迅速な対処が可能になります。
図4.無線の電波状況(学校のフロアマップ)
ネットワーク可視化機能付きNW機器のご提案
ここまでご紹介してきた課題をみても、原因は1つの理由だけではないことが分かります。そのため、ネットワークの可視化は大変重要だといえます。
しかし、測定器を個別に調達するとコストがかかりますし、特定の期間(導入時など)だけ測定することになるため、普段の状況が把握できず、参考になる情報とはいえません。
そこで、ネットワンでは可視化機能を有したネットワーク機器をご提案いたします。
今回の展示会では、Extreme Networks 株式会社の可視化機能付きネットワーク機器をご紹介いたしました。無線APやSW、ルータ等と、ライセンスを購入する事で、測定器がなくても、様々なネットワーク状況をいつでも簡単に把握する事で問題を迅速に解決することができます。さらに、現環境のネットワーク機器や回線を見直すきっかけとしても活用できます。
是非、ネットワーク機器更新のタイミングでご検討いただければと思います。
終わりに
デジタル教科書の段階的な導入や、校務・学習システムの活用など、学校におけるネットワーク環境の整備の必要性はますます高まっています。
文部科学省が「アセスメントを実施しないことは、一部の例外的な場合を除き想定されない」と述べているように、ネットワークアセスメントを実施した上で、ネットワークの整備計画を立てる必要があります。
都度、業者を呼んでアセスメントを行うのではなく、常にネットワークアセスメントを行える環境を作ることが重要です。
デモをご覧になりたい、説明を聞きたい等、ネットワーク可視化ソリューションにご興味をお持ちいただけましたら、是非お問い合わせください!
GIGAスクール構想に最適な環境をご検討いただく際に、各教育委員会・学校様のご参考としていただき、校務DX、教育DXの一助になれましたら幸いです。
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。