
ネットワンシステムズが提唱する次世代VMS「U-VDMS」コンセプト #03
今回の記事では、AI映像解析を導入するための手法について解説致します。
【バンクナンバー】
#01 - スマートマニュファクチャリングにおける最適な映像IoT基盤の在り方
#02 - ネットワンが提唱する次世代VMS「U-VDMS」ってなに?!
- ライター:佐々木 藏德
- フィジカルセキュリティ、サーバ、ストレージ、OSのプラットフォーム基盤関連業務を経て、2016年ネットワンシステムズに入社。
大手民間企業、重要インフラ施設の構築設計に多数関わっている。
現在はフィジカルセキュリティ製品に関する市場戦略策定に従事。
目次
初めに
昨今、AI技術は様々な分野で活用されています。
映像監視における映像解析技術もここ数年で関連技術が飛躍的に進化し実務で運用されることも増えてきました。
しかし、映像解析におけるニーズは活用シーンによって様々であり、更にどの様な解析結果を求めるかも其々異なるため、実際の検討から導入まで時間がかかることが多くあります。
今回は、ネットワンシステムズが提唱する映像データ集積管理基盤(U-VDMS)の利活用の一つである「AI映像解析導入」に関する情報をお届け致します。
AI映像解析導入の流れ
一つの製品につき一つの機能しか持たない従来の映像解析技術と異なり、AI技術を用いた映像解析の特徴は、必要なパターンを学習させることで様々なAIモデルを作ることができる点です。
特定の動作やシチュエーションに最適化し、汎用製品として展開しているAI映像解析製品も多数ありますが、これらの製品の多くは初期状態では認識精度に上限があり、更に精度向上が必要な場合は、その現場に合った特定のパターンを追加学習させることで認識精度を高め、現場ニーズに合致したAI映像解析結果を得ることができます。
しかし、自由度と汎用性が高い故に、これらの要素がAI映像解析における導入の障壁となることがあり、導入を検討しているもののなかなか実装までたどり着かないケースも多いと感じています。
実際にAI映像解析を導入するには、一般的に以下の3つのステップで検討が必要となります。
①点在しているデータを集める(各種データの集約)
既存設備なく、データを計測・集計する各種機器を新規で導入する必要があるケース以外、重要な点として、「まず現場に点在しているデータを集める」ことから始めることが望ましいです。
まずは今現在どのようなデータが現場にあるのか、それらのデータをどこまで利活用できるのかを検討することで、二重投資の抑制や今現在を振り返るきっかけにもなります。
ここでいうデータの定義としては、映像データ(IPカメラ)、数値データ(各種センサー)、テキストデータ(外部システムより提供される二次データ)等を指し、これらのデータを集約し、AI映像解析ができる形で出力できる様に準備する必要があります。
②AI映像解析ニーズの具現化・実証検証・集約データの分類
現在現場にあるデータの可視化ができた後は、改めて映像解析においてどのように利活用するかを具現化することとなります。このステップで重要なのは、必ず現場環境と一番近い形で事前テストを行い、その有効性を評価することです。
その過程で、複数のAI映像解析エンジンを用いて多くのパターンでテストを行い、有効性を評価しつつAI映像解析で得られる結果を確定させることで、導入する製品を選定することになります。
製品選定が完了したら、前段のステップで集約したデータの中から利活用できるデータを分類し必要なデータを提供する準備をします。
ここで追加のデータが必要な場合は、設備を増強するなどの対策を講じる必要があります。
③実装・解析結果の利活用・改善検討
事前準備が完了したら、次は実装フェーズに移行します。
このステップでは、前段で評価した製品を実装するとともに、実運用開始することを目標とします。
製品実装が完了した後も継続的に評価を行い、必要に応じて設備を増強または追加学習を行います。
AI映像解析導入における映像データ統合基盤の考え方“U-VDMS”構想
前段で説明した通り、AI映像解析を円滑に実装するには、まずは点在しているデータを集約する必要があります。
そして、データ集約に加え各種データを必要な形で提供できる基盤として、ネットワンシステムズでは次世代VMS「U-VDMS」構想を提唱しており、様々なAI映像解析に利活用できると考えています。
U-VDMSについては、前回のポスト「ネットワンが提唱する次世代VMS「U-VDMS」ってなに?!」のブログ中にて解説しておりますが、U-VDMSの機能では、各所に点在しているデータを一つのプラットフォームで統合管理し、さらに必要な形で必要なところに引き渡す仕組みを備えており、AI学習に必要なデータの前処理の工程に効果を発揮します。
更に、一つの集積統合基盤上にデータを管理することで、各種データを一つのAI映像解析エンジンではなく、複数のAI映像解析エンジンで利活用することができるようになり、重複投資を排除しながら様々なAI映像解析ニーズに対応することが可能となります。
まとめ

AI映像解析エンジンもマルチベンダーの時代であり、更にこれからも技術進化が予想されます。
今後、様々なベンダーで展開される新しいAI映像解析技術を簡単に取り入れるため、いかに簡単に各種データの利活用ができるのかが重要なポイントとなります。
当社もオフィス環境改善を目的としてAI映像解析利活用を検討しており、検討の前段としてU-VDMS基盤を導入致しました。
詳細については以下の記事も併せてご参照下さい。
マイナビニュース:
未来志向の働き方:他拠点統合管理の柔軟性とセキュリティの両立
ネットワンシステムズでは次世代VMS「U-VDMS」をはじめ、各種データデバイス(ネットワークカメラ・センサー)、AI映像解析製品、そしてU-VDMSを運用するためのインフラ基盤も併せて提供しております。
次世代VMS「U-VDMS」及び、AI映像解析をご検討される際は弊社までご相談ください。
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。