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Temiロボットと顔認証技術で実現する次世代スマートオフィスの構築方法

スマートオフィスの未来を拓くための革新的な組み合わせ、temiと顔認証技術を統合したスマートロックの仕組みを解説します。

ライター:吉田 将大
システムインテグレータでソフトウェア開発業務を経験した後、2018年にネットワンシステムズに入社。
前職での経験を活かした開発案件の支援や、データ分析基盤製品・パブリッククラウドの導入を支援する業務に従事。
保有資格: AWS認定ソリューションアーキテクトプロフェッショナル

目次

こんにちは。ネットワン吉田です。

近年、働き方改革の実現に向けた取り組みの一つとして「スマートオフィス」という概念が注目を集めており、従業員の生産性と満足度を向上させる新しい方法が模索されています。スマートオフィスでは、最新のテクノロジーが活用され、より効率的で柔軟な働き方を支援します。その中心となるのが、AIを搭載したロボットや先進的なセキュリティシステムです。

今回は、自律型パーソナルロボット「temi」と顔認証技術、そしてスマートロック開錠システムを組み合わせて、次世代のスマートオフィス構築について考えてみました。この革新的な技術の組み合わせがもたらすメリット、実装方法、そして今後の展望を通じて、あなたのオフィスを効率的でセキュアな未来型オフィスへと変貌させるための方法をご紹介します。

temi とは?

temiは、AIとロボティクスの融合により誕生した、オフィス環境に革命をもたらすアシスタントロボットです。
自律移動、音声認識、顔認識、空間認識などの能力を備えており、人と対話しながらフロアのナビゲーションをしたり、荷物の運搬が可能です。
temiを導入することで、繰り返し発生する単純作業を自動化し、従業員がより創造的な業務に集中できるようになります。

また、temiはAndroidベースのOSを採用しており、専用のSDK(software development kit)が用意されているので、サードパーティのアプリケーション開発者がtemiのセンサーやモビリティを活用したカスタムアプリケーションを開発可能です。

参考元: https://robotemi.jp/

顔認証技術とスマートロック

顔認証技術は、個人の顔の特徴をデジタル情報として分析し、身元を確認するセキュリティシステムです。この技術は、オフィスのセキュリティを強化すると同時に、従業員の入退室をスムーズにするために活用できます。

スマートロックは、従来の物理的な鍵の代わりに電子的な手段でドアや施錠装置を制御するシステムで、通常はスマートフォンやキーパッドを使用して施錠・開錠が可能です。スマートロックは、物理的なキーを使わないため、便利でセキュアな方法として注目されています。また、リモートからの施錠・開錠やアクセス履歴の追跡などの機能も持っていることが一般的です。

顔認証技術を統合したスマートロックでは、カメラで顔を認識し、登録された従業員のみがオフィスや会議室などにアクセスできるようにします。このシステムにより、キーの紛失や盗難のリスクがなく、セキュリティの向上が期待できます。

temiとスマートロックの統合

今回はtemi のSDKを使って、以下の2つの機能を持つカスタムアプリケーションを実装してみました。

  1. temiのカメラで捉えた人物の顔を事前に登録した人物情報と照合
  2. スマートロックのAPIを介して開錠・施錠リクエストを送信

temiには搭載されたカメラで前方の人物の顔を認識し、事前に登録された人物情報と照合する機能が備わっているため、サードパーティの顔認識サービスなどを必要としません

また、temiがスマートロックデバイスを操作するには、両システム間での通信基盤を確立する必要があります。今回はクラウドベースのAPIで操作可能な、Switchbot製のスマートロック製品を使用して、temiがAPIと通信できるように設定します。

今回開発したアプリケーションの画面イメージ

temiをつかったスマートロック開錠のながれ

  1. まず、ユーザーは操作可能なスマートロックの一覧から操作したいスマートロックを選択します。
  2. 次に、temiは選択されたスマートロックの設置場所の座標を取得し、ユーザーを設置場所まで案内します。
  3. 設置場所に到着したら、temiはカメラで前方の人物の顔を登録済みの顔写真データと照合します。
  4. 登録済みの人物と一致した場合は、スマートロックのAPIを呼び出し、施錠・開錠を実行します。

実際に開発したアプリケーションをtemiにインストールし、弊社オフィスでデモしてみました。

valley temi demo short.gif

いかがでしょうか?

肝心の顔認識機能に関しては、必要十分の精度があると感じました。認識までの時間も高速で、体感で前方に立って1秒以内には認識されています。また、認識した人物が視界から外れた際にもすぐに検知されるので今回のようなセキュリティ用途での利用も可能だと感じました。一方でマスクを着用した状態での認識には対応していないようです。

また、temiは空間認識センサーと自律走行機能も搭載しているため、スマートロック設置場所から離れている場合は設置場所まで誘導するという機能を追加で実装してみました。temiにはマイクやカメラに加えて、様々なセンサーが搭載されているのでいろいろな用途で活用できそうです。

まとめ

temiのセンサーやモビリティを活用したスマートオフィスは、未来の働き方の一つの形のように感じました。今回のように、その他のスマートデバイスやAPIと組み合わせることにより、オフィス環境はより安全で、効率的かつ快適な場所に変わる予感がします。

今後の展望ですが、個人的には、顔を認識したユーザの会議予定をAPIで取得し、自動で予約した会議室まで誘導してくれる機能を実装したいと思いました。テレワークが増加した昨今では、出社した際に、「あれ、○○会議室ってどこだったっけ?」となることも少なくありません。

また、事前に来客予定者の顔写真を登録しておいてチェックインを自動化し、訪問時に担当社員に自動でテレビ電話を発信するといった活用法も考えられます。

今後も技術の進化に注目し、スマートオフィス構築の最前線を追求していきましょう!

※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。

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