
- ライター:印東 葵
- 大手メーカ系エンジニアを経て、2006年よりネットワンシステムズにてICTインフラの運用監視サービスの企画・提案・導入支援に従事。
2016年よりプロダクトマーケティング担当としてグループ会社のネットワンパートナーズにて活動。
・ワイヤレス(Cisco Meraki)担当として、主にリテール市場に対するIoTビジネス推進
・セキュリティ(PaloAltoNetworks)担当として、サイバーセキュリティビジネス推進
・コラボレーション担当として、デジタルワークプレイスのビジネス推進
2022年よりネットワンシステムズにてICTインフラの運用サービス提案・運用改善コンサルティングやカスタマーサクセス活動を中心に現在活動中。
■取得資格
・PMP
・ITコーディネータ
目次
はじめに
ビジネスを支えるICTシステムの安定稼働のために運用は欠かせないものですが、複雑化するICTシステムの運用現場には多くの課題があります。運用現場の抱える課題を解決し、「ビジネスを支え、成功させるために」効率化や価値のある運用を実現するにはどのように改善を行えば良いのでしょうか。
本ブログでは、弊社に蓄積されたICT運用の経験・ナレッジをベースに、日々の業務の中で自然に改善活動が進む、そんな運用状態を目指すための進め方、意識すべきポイントについてご紹介します。
ICT運用改善の必要性
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ICT運用現場の声
運用改善のお話の前に、弊社に相談されるお客様のICT運用現場では以下のような声が良く聞かれます。
(1)業務が多岐にわたり、全てを把握することが困難になっている。
(2)次々と新サービスが開発され、その運用に現場での対応が十分でないまま、次の新たなサービスの受け入れに追われている。
(3)運用のためのドキュメントがない。ドキュメントがあっても更新されていない。
(4)特定の人間にしかできない業務があり、その人に業務が集中している。
(5)属人化が進み、ノウハウの継承ができていない。
(6)突発的な業務が多く、計画通りに作業が進まない。
(7)トラブルが多く、前向きな改善に着手する余裕がない。
(8)新規のツールを設計したいが、どんな要求があるのか現場でも分かっていない。
(9)サービス設計導入時の検討漏れや実装が間に合わない部分を「運用でカバー」と言われる。
(10)コスト削減要求が強いが、どこをどう削減すべきなのかが見えない。
これらの運用現場の声から主に下記の3つの問題点「高負荷」「属人化」「不可視」に悩まされていることが分かります。

- ICT運用改善の目的は「生産性向上」
次に、実際のICT運用改善について考えてみます。運用改善にはデータ可視化、作業の標準化や作業自動化など、色々な活動がありますが、それらの活動は「生産性向上」のテーマで、ほぼカバーできます。そのため、運用改善の一番大きな目的は「生産性向上」になります。
ICT運用現場での生産性は、既に導入している機器や設備などでどれだけ効率的な成果を生み出したか?や、運用メンバーがどれだけ効率的に成果を生み出したか?などを定量化したものです。導入した機器や設備の利用率を向上させ、システム性能や冗長性などを向上させてサービス稼働率を向上させる施策や運用メンバーに新たな技術やナレッジ・経験を深めるといったスキル向上させる施策などが考えられます。
ICT運用改善の進め方
では、「どのように運用改善を進めればよいのか」ですが、先ずお客様業務を「可視化」し、可視化された業務について「標準化/手順化」します。標準化/手順化された業務について「文書化/周知」し、そして「自動化」します。これらを図式化したものが以下の実行サイクルイメージです。
次項より「可視化」、「標準化/手順化」、「文書化/周知」、「自動化」について説明します。

- 可視化
運用の見える化(可視化)は、単に集めたデータを公開するという単純な行動ではありません。弊社では独自の運用アセスメント手法を用いていますが、アセスメントなどで集められたデータは、明確な目的と意思を持って有意義な情報に加工され、それを必要とする人に提供されます。
可視化は、その目的と提供するターゲット(経営層、運用管理者、利用者)ごとに分類され、それぞれに可視化のポイントが異なります。この様に可視化とは、情報を公開する相手や目的によってその内容や手法を変える非常に高度な情報の運用管理・コントロール手法の1つです。
- 標準化/手順化
複数人で仕事をする場合、各人が勝手に行動すると結果のバラツキが大きくなり、品質も効率も悪くなります。そのため、そのタイミングで最も優れた手順を標準として定め、それに沿って行動するという行動原則になります。
仕事の進め方について、繰り返し使用するために定めた最も効率系な取り決めのことを標準化といいます。標準化されたプロセスにおいて、判断分岐の条件(意思決定条件)を明確(定量的、具体的、理論的)に定め個人特性(経験、スキル、性別、etc)に左右されない意思決定が出来るように定められたプロセスを手順化といいます。
- 文書化/周知
文書の存在しない作業は客観的には『業務が存在しない』に等しいです。そして、文書化するということは、管理するということに等しく、文書化されたものは周知されチーム内に共有されます。以下の図は文書化に係るポイントになります。

- 自動化
自動化は、小さなマクロレベルから大規模自動化システム、更にはロボティクスまで上を見ればきりがありません。しかし、規模の大小にかかわらず自動化にはやっておかなくてはならない自動化のベースラインの設定が不可欠です。闇雲に自動化を進めても思ったような効果は得られなかったり、新たな問題が発生したりする場合もあるでしょう。
自動化の様に開発と密接な関係性を持つ機能は、特に【計画され計画通りに実施され、検証されて改善される】と言うプロセスが整ってこそ自動化が出来ていると評価されます。
ネットワンの運用改善コンサルティングサービス
弊社運用改善コンサルティングサービスは、「お客様ビジネスの成功のために我々に何ができるか?」という「問い掛け」から始まりました。
お客様ビジネスを成功に導くのは、お客様自身の使命であると私たちは考えます。しかしながら、現実的には日々発生する作業や会議、そしてトラブルなど、「今」に追われ、戦略を策定する『時間』を創り出すことが難しくなっていませんか?
私たちには、お客様が将来の夢を語り、夢を現実にするための戦略を策定する『時間』なら創り出すことが出来ます。
運用改善コンサルティングサービスは、現行の運用業務を徹底的に分析し、もっとも効果的な改善策を提供することで、お客様ビジネスの成功の実現に必要な『時間』を創出します。

以下は、運用改善コンサルティングサービスの提供例になります。
弊社の経験豊富な運用コンサルタントにて、お客様との会話や運用アセスメントを通じて運用問題の整理や改善提案をいたします。また提案だけではなく、お客様と一緒に運用改善を進めるために改善施策の実行支援も可能です。

まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は「ICT運用改善の必要性~運用現場のよくある問題を解消するための進め方~」をご紹介し、ICT運用改善の進め方や弊社運用改善コンサルティングサービスを紹介いたしました。
ICT運用でお困りの方は、今回紹介した運用サービス以外にも弊社ナレッジや経験を生かした運用サービスもございますので、是非弊社担当営業もしくは弊社ホームページよりお問合せください。
今後もICT運用をキーワードに、皆様へのお役立ち情報をご紹介いたします。
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。