
- ライター:奥村 尚子
- Collaboration分野でのプリセールス活動に従事。
働き方改革関連ソリューションの開発、導入、利活用支援などに取り組んでいる。
目次
ダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)をキーワードにシリーズでお届けするブログ、今回のテーマは「介護」です。
ネットワンのD&Iに関する取り組みは前回のブログ【D&I】Sustainability Day テーマ:ダイバーシティでもご紹介していますが、労働者人口が減少していく中、「プロフェッショナル人財の活躍」には「多様な人財が相互に認め合い、個性を生かして活躍する」ための環境や制度の整備が重要と考えています。
弊社では、多様な従業員が活き活きと働ける環境を整え、多様な意見・視点をもってネットワンの付加価値創造を促進していくため、様々な観点でのD&Iの活動を推進しており、今回は「仕事と介護の両立セミナー」と題して、グループワークも含めたセミナーを開催しました。
はじめに
まだ自分は関係ない、まだ先のことだ、とつい考えてしまいがちなこの問題。経験者や専門家のみなさんは突然やってくる、と言っています。
介護する立場になった時に困らないよう、今回のイベントでは以下の3点がポイントです。
①介護に直面する前に介護の基本知識を得る(訪問サービスなどの知識)
②介護について相談しやすい職場づくり
③介護に直面しても活躍し続けられる職場づくり
今回のイベントもCisco社のWebex Meetingsを利用して開催しましたが、聴覚障がいを持つ社員にも一律な情報提供ができるようにという目的で、新機能であるリアルタイム翻訳(Real-time translation※以下RTT)を活用しました。
上の画像はそのRTT機能をONにした状態で参加した私のPC画面になりますが、画面下に登壇者の話した内容がそのまま文字起こしされています。
今回は登壇者も参加者も日本人だったので日本語字幕を使っていますが、リアルタイムの多言語翻訳が可能なので、国際会議や国際イベントを行う場合も、出席者側で自由に言語を選択し、 希望の言語で会議に参加できるようになります。
(【音声言語】13 言語 → 【字幕言語】108言語 ※2022年2月現在)
今回は聴覚障がい者の視聴を想定して利用しましたが、障がいのない人でも聞き逃した時や会議に遅れて参加した際、内容を遡って確認できるので、そういったキャッチアップのために使うのも便利かもしれません。
また会議を録音しておけば、内容を議事録保存することが可能です。
議事録作成する場合、メモをするのに必死で会議中発言する余裕がなくなってしまったり、会議後に作業時間を多く取られて困っているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
文字起こしされた文章の修正をするだけで済むので、WebexのRTT機能を使うことで議事録作成の大幅な負担軽減が期待できます。
介護の基本知識
さて、話を本題に戻しますが、この「仕事と介護の両立セミナー」は昨年度に続き、セントワークス社 一之瀬先生をお迎えして開催しています。
本セミナーは介護従事者のためだけでなく、介護従事者を部下に持つ可能性がある管理職が、そのような状況のメンバーにどのように配慮すればよいのか、どのような声がけが効果的なのかイメージを持つことも目的です。
一之瀬先生やネットワン人事部による講義+グループワークで「自分の家族の見える化」をしたり、実際に介護プランを作成したりと、参加者が実際に役立つように、介護従事者になる日が怖くなくなることをGOALに内容が構成されていました。
セントワークス社 一之瀬先生

一之瀬先生による講義では介護における現実として以下のような話がありました。
・75歳以上の約3割が要介護状態 → 介護は誰でも直面する可能性あり!
・「うつ」や「虐待」を防ぐために1人の介護に4人が必要 → 現在の日本社会の実態からみると現実的には2人で4人を介護する可能性が高い
・介護サービスを利用するにも多くのサービスが9:00~16:00の稼働である → それに合わせて仕事をするには10:00出社、15:00退社になってしまう
また、介護サービスといっても以下のように色々あり、介護保険サービス利用の流れについても今回の説明を聞くまでは全く理解していなかったことを気付かされました。
・地域包括支援センター(介護者の各種相談窓口)⇒資料内①
・居宅介護支援事業所(ケアマネジャーの事業所で在宅サービスの中心)⇒資料内⑤
・自宅に訪問してくれる介護保険適用サービス(訪問介護、訪問入浴、訪問看護、居宅療養管理指導、訪問リハ)
・新しい在宅介護サービス(夜間対応型訪問介護、小規模多機能型居宅介護、定期巡回/随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能居宅介護)※地域密着型サービス
ネットワングループの現状と制度
ここからはネットワンの人事部より、介護に関して会社が提供する制度/利用状況についての紹介です。
現在利用している社員はまだ少ないようですが、少子高齢化により、介護離職が社会問題となる昨今、ネットワンでも介護休暇や休業に関する問い合わせが増加傾向となってきています。
介護休暇・介護休業という制度の違いについて全く理解していなかったのですが、介護休暇は、事前に上長へ申し出のもと、人事部宛にメールで連絡すれば年5日(/対象家族1名)付与されるという比較的ライトに使えるもので、介護休業の方は事前に「介護のための就業に関する申請書」の提出が必要で通算365日(分散取得もOK)取得可能というものでした。
またストック休暇という制度では、使い切れなかった有休休暇が自動的に40日を限度として積み立てられ、介護以外でも自己啓発やボランティア、傷病時等、様々な用途で使用することが可能です。
その他にも、振替休日制度や休業中の短時間勤務制度といったものもありました。
冒頭に挙げたポイント③「介護に直面しても活躍し続けられる職場づくり」の基礎となる制度面は整えられてきているものの、ポイント②「介護について相談しやすい職場づくり」を実現するには、男性の育児休業と同様に制度を使う人だけでなく、使わない人も制度利用者の上司や部下、チームメンバーとして当事者意識を持てるような社内への啓蒙を行っていくことが重要だと感じました。
制度はあるけど、職場の雰囲気で使えない、使いづらい、という話は介護に限らず育児の場合でもよく世間で聞かれる話ではないでしょうか。
今後制度を必要とする人が増えてきた時に、実際に現場で使える、使われる制度であってほしいと思います。
グループワーク
ここからは前段の講義で学んだ国や会社が提供する介護に関する制度を踏まえて、実際の介護プランを作成するグループワークです。

グループワークでは父親が倒れ、要介護となった想定での事例をもとに、具体的にどのような介護保険サービスを利用していけばよいか、ケアプランについて参加者同士でディスカッションを行いました。
この事例には家族構成や要介護となった父親の要介護レベル、本人と家族が在宅介護希望であることなどが示されています。
その内容に合わせて1週間のスケジュール表の中で朝7時~夜7時まで、家族の誰が何時~何時まで対応する、またどのような制度を使って、それがいくらで、という介護プランを作成することで、実際にどのような生活になるのか、費用面についても具体的にイメージすることができました。
さいごに
ニュースなどで介護離職された方の辛い話を耳にすることもありますが、今回一之瀬先生がおっしゃっていた「介護サービスを活用しながら介護をマネジメントしましょう」というメッセージが、とても印象に残りました。
任せられるところはなるべく介護のプロに任せて、自分は自分の仕事のプロとしてしっかり働き続けること、このことが共倒れとならないためにとても重要なのだと思います。
「備えあれば憂いなし」と言いますが、お金の心配だけでなく知識もしっかり備えて、人生100年時代、しっかり平和な日常を守っていきたいです。
弊社の取り組みについて内容にご興味を持って頂けましたら、ぜひお気軽に弊社の営業までお声がけください。
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。