
目次
はじめに
ネットワンシステムズの川和です!
いつもPowerStoreのことばかり話しているので、今回はちょっと趣向を変え、デル・テクノロジーズ社のリモートサポートツールであるSecure Connect Gatewayをご紹介します。
概要
Secure Connect Gatewayって?
Secure Connect Gateway(以下SCG)はデル・テクノロジーズ社の製品で何か障害などが発生した際に、自動でメーカーサポートへ通報してくれる便利なツールです。これにより障害発生時により迅速な対応が可能になります。
同じようなツールとして、Secure Remote Service(以下SRS)やSupport Assist Enterprise (以下SAE)がありますが、SCGはこれらの後継ツールになります。
SRS、SAEはそれぞれ、ストレージ等のhEMC商品群、サーバ等のhDell商品群と対応製品が分かれていたが、SCGではそれらが統合され、サーバ、ストレージ、スイッチ等をまとめて管理することが可能となりました。
図1.SRS/SAEとSCGの比較
※SRSは2023年6月15日にサービス停止予定、SAEは2022年7月31日でサービスを停止していますので、ご注意ください。
実際に導入してみた
今回我々は、実際に起こりうるシチュエーションとして、SRSからSCGへの移行を想定し、実際に移行を実施しました。
その際の手順や注意点をご紹介します!
事前に確認しておく点
SRSをSCGにアップデートする際は、事前にSRS v3.52以上へアップデートする必要があります。
ちなみに、SAEからSCGへアップデートする場合は、SAE VE v4.06以上またはSAE AP v2.0.70以上へのアップグレードが必要ですのでご注意ください。
補足ですが、PowerStore、Unity製品でDirect Connect(リモートサポートツールを用いず、製品から直接メーカーサポートに通知する機能)を利用されている場合も、2024年6月15日にサービス停止予定となっております。この場合もSCGの導入が必要となりますので、ご注意下さい。
実際にやってみた
SRSからSCGへ移行する際の手順は以下の通りです
- SRSをv3.52へバージョンアップする
- SRSをSCGへアップグレードする
- SCGの初期設定
1つずつ詳細を見てみましょう
1. SRSをv3.52へバージョンアップする
ご利用中のSRSが、v3.52未満の際は、SCGへのアップグレードの前に、SRSをバージョンアップする必要があります。
アップデートの際は、WebブラウザからSRSにアクセスし、画面上部に表示されるバナー内のリンクをクリックするとアップデートページに移行できます(後述するSCGへアップグレードする際のリンクもバナー上に出てきます(図2参照))。
アップデートページでプリチェックを実施後、アップデートを実施してください。
図2. SRS のインターフェース
アップデート時は、画面の指示に従って、数回クリックするだけでアップデートが完了します。非常に簡単ですね!
2. SRSをSCGへアップグレードする
SRSをv3.52にアップデートできたら、いよいよSCGへアップグレードします。
手順は先程とほぼ同様で、SRSの画面上部のバナー内のリンクからアップグレードページへ移行し、画面の指示に従ってアップデートを実施して下さい(バナー内のクリックする場所が先程と若干違います(図2参照))。
こちらも、数回のクリックでアップグレードが完了しますので、特に難しい操作は必要ございません。
ご注意していただきたい点として、弊社環境ではSRS v3.52からSCGにアップグレードする際のプリチェック時に、VMのスペック不足のアラートが発生しました(図3)。
これは、SRSを構築する際の最低要件が、ディスク容量64GB、メモリ4GB、CPU1vCPU なのに対し、SCGの最低要件が、ディスク容量140GB、メモリ16GB、CPU4vCPU となっているため発生したエラーになります。
特に、サポートサイトからダウンロードできるovfファイルを使用してSRSを構築している場合、仮想マシンのスペックは、SRSの最低要件で構築されるため、このエラーが発生する怖れがありますので、ご注意下さい。
対処法としては、SRSのVMの電源を一度落とし、VMのスペックを上げることで解決します。
図3. SCGへのアップグレード時に発生したアラート
アップグレード完了後
SRSのアップグレード中は、インターフェースにアクセスできなくなります。
その際、アップグレードの完了通知は、SRSのSNMP設定で登録されているメールアドレスに送信されるため、SNMPを設定してない場合は、アップグレードがいつ完了したのかわからなくなってしまいます。
また、アップグレード後のSCGは、元のSRSとIPアドレスは同一だが、ポート番号が異なります。
例)
SRS:https://OO.XX.△△.□□:9443
SCG:https://OO.XX.△△.□□:5700
3. SCGの初期設定
SCGへのアップグレードが完了したので、SCGの初期設定に移りましょう!
SRSと同じIPアドレスに対し、ポート番号に5700を指定してアクセスすることで、SCGのインターフェースにアクセスできます。
なお、ログインする際のrootユーザのパスワードは引き継がれます。
ログイン後は、まず管理者パスワードを設定し、その後画面がSCGのインターフェースに切り替わります。
SRSにもともと登録されていた機材は、自動でSCGにも登録されますのでご安心ください(弊社環境では、SCGが立ち上がってから機材が登録されるまで少々のラグがありました)。
その後は必要に応じて、SMTPの設定や、Policy Managerの設定を行います。

図4. SCGのインターフェース画面
以上で、SRSからSCGへのアップデートは完了です!
使ってみた感想は?
SCGを触ってみた感想としては、非常に設定が簡単だと思いました。
基本的に、機器で障害が発生した際に、メーカーサポートに通知することが目的のツールなので、ユーザ側はSMTPなど、基本的な設定と機器の追加以外、特に操作を必要としません。
そのため、複雑な操作が必要ないというのは、非常にありがたいと思いました。
新しい機器の追加も、クリック数回とホスト名またはIPアドレスの入力など、単純な操作で実行可能です。
また、実際に弊社が検証用に利用しているPowerStoreでNodeがダウンした際に、メーカーサポートへその情報が自動で通報されサポートからご連絡をいただきましたので、動作も問題ないと思われます。
終わりに
今回は、デル・テクノロジーズ社のリモートサポートツールであるSecure Connect Gatewayについて、SRSからのアップグレードという形で導入手順と注意点をご紹介させていただきました。
最後に述べました通り、非常に操作は単純で、SRSからSCGへの移行もいくつか注意点はありますが、数クリックで完了する簡単なものになっています。
繰り返しになりますが、SRSをご利用中のお客様がいらっしゃいましたら、SRSは2023年6月15日にサービス停止予定ですので、ご注意ください。
もし、ご不明な点や気になる等ございましたら、お気軽にネットワンシステムズへご相談ください!
ネットワンシステムズでは、SCGはもちろんデル・テクノロジーズ社のサーバ・ストレージを中心に様々な機器を取り扱っており、機器を組み合わせたシステムの構築等、様々なソリューションに対応できる技術力を有しております。
Dell製品の導入を検討する際は、PowerStore以外もできる男がいるネットワンシステムズにご連絡ください!!
参考
- セキュア コネクト ゲートウェイ | Dell Technologies Japan
- SRSバージョンアップの参考資料:Secure Remote Services 3.52 Operations Guide
- アップグレードに関する参考資料:Secure Remote Services 3.52 Upgrade to Secure Connect Gateway Supplement Documentation
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。