
目次
Cisco Meraki MT製品シリーズは、Merakiダッシュボードと統合されたクラウド管理型のセンサーになります。
今回屋内エアクオリティセンサーを測定するMT14がリリースされたのでご紹介します。
本Blogのダッシュボードの画像や値、仕様は2022年8月時点のもので、デザイン変更や機能追加などが行われている場合があります。
Cisco Meraki MT製品シリーズの紹介
対応センサーは拡充されており、2022年8月時点で6種類のデバイスがリリースされています。それぞれのデバイスは次の特徴を持っています
型番 |
特徴 |
MT10 |
温湿度計 |
MT11 |
プローブ型温度計(冷凍対応) |
MT12 |
水漏れ検知 |
MT14 |
屋内エアクオリティ(本Blogのデバイス) |
MT20 |
開閉センサー |
MT30 |
スマートオートメーションボタン |
表1 Cisco Meraki MT製品シリーズ
MT10、MT12、MT20は別のBlog(Cisco Merakiセンサー3種類と取得可能データ紹介)で紹介しています
Meraki MT製品シリーズは単体でネットワークに接続しません。BluetoothにてMeraki MR(無線アクセスポイント)もしくはMeraki MV(カメラ)に接続し、そこがGatewayとなりインターネット上へデータが送られます。MR/MVシリーズであっても対応していない型番もありますので、最新のドキュメントをご確認ください。対応型番であってもOSのバージョンによる制約がある場合もあります。
図1.MTシリーズのネットワーク接続について
Cisco Meraki MT14の紹介
このデバイスは屋内の温度、湿度、総揮発性有機化合物(TVOC)、PM2.5、周辺ノイズ(音)を測定し、室内空気環境(IAQ)スコアとして表示されます。
非常に良いから不十分までの5段階の定性的評価も行います。自動キャリブレーション(補正)機能があるため、手動での調整は不要です。
オフィスやサーバルームなど高気密化が進んでいることで、建材や機器から発する化学物質などによる健康影響「シックハウス症候群」の原因となる場合があります。
TVOCの継続した測定により室内環境の安全性に対する参考にすることができます。

図2.ダッシュボード上の表示・サマリ


図3.ダッシュボード上の表示・時系列
MT14は単3電池(AA)4本もしくは、USB-Cにて稼働します。電池の場合はどこにでも設置できますが、最大2年ごとに電池交換が必要となります。
また電池稼働の場合はPM2.5が測定されません。

図4.Cisco Meraki MT14と別売りのMA-PWR-USB-JP(USB-Cケーブルとアダプタ)
サンプリング間隔
環境データを取得するサンプリング間隔はセンサーにより異なっており、以下にタイミングを記載します。
また各センサーの対応環境と精度についても記載します。
MT14内のセンサー |
サンプリング間隔 |
対応環境 |
精度 |
本体とGatewayの接続 |
20分ごと |
― |
― |
温度 |
2分ごと |
0°C to +55°C |
+/- 0.3°C |
湿度 |
2分ごと |
0 to 95% RH |
+/- 2.5% RH |
周辺ノイズ(音) |
5分ごと |
20 to 120 dBA |
― |
PM2.5 |
5分ごと |
0 to 100ug/m^3 100 to 1,000ug/m^3 |
+/- 10 ug/m^3 +/- 10%の測定値 |
TVOC |
90秒ごと |
良好: <300 µg/m³ Inadequate(不十分): ≥ 10,000 µg/m³ |
1単位 |
表2.センサーとサンプリング間隔
例えば温度データは、20分のデータ(10件)が、20分ごとにクラウド上に送信されます。アラートの設定をした場合は、閾値から外れたら20分を待たずに即時通知されます。また屋内用のためゼロ度以下の環境には対応していません。

図5.サンプリング間隔と通知間隔のイメージ
アラート条件
ダッシュボードではアラートの設定が可能です。
値や定性評価が閾値を超えた場合、Eメール、SMS、Webhookにて通知が可能です。
サーバルームの温度が一定値を超えるとSMSで通知する、周辺ノイズが一定値を超えるとWebhook経由でサイネージに”静かにしましょう”と表示し、MerakiカメラのSnapshotAPI経由で画像を取得するなど様々なユースケースを作成できます。

図6.アラート条件
省エネ対応
アメリカ暖房冷凍空調学会(ASHRAE)規格では、ほとんどのIT機器は10-35度の温度、20-80%の湿度であれば安全に稼働できるとしています。
データセンターやサーバルームの必要以上の温湿度調整を避けることで、エネルギー消費と二酸化炭素排出量の効果的な削減を目指すチャートになります。
管理対象の温湿度の結果をグラフにすべてプロットするため、一元管理が可能です。
IT機器に悪影響を与える可能性のある基準に準拠しないセンサーは緑の枠外に表示され確認することができます。
図7.省エネチャート
Cisco Meraki MT14のAPI連携
ダッシュボード上のグラフと、通知機能だけでも十分に活用できるセンサーですが、API連携をすることで他アプリケーションとの連携や、空調の制御、より高度な分析や条件付けなど活用の幅が大きく広がります。
ここではどのような情報が受信できるのかを紹介します。
アラート時に受信する情報
基準を超えたセンサー情報のみが送出されます。
センサーが紐づくカメラのシリアル情報なども含まれているのでカメラに対して画像の取得などの指示を出しやすくなっています。
(略)
"deviceModel": "MT14",
"alertId": "751538187822404369",
"alertType": "Sensor change detected",
"alertTypeId": "sensor_alert",
"alertLevel": "informational",
"occurredAt": "2022-08-01T03:40:31.000000Z",
"alertData": {
"alertConfigId": 751538187817515146,
"triggerData": [
{
"conditionId": 751538187817451991,
"trigger": {
"ts": 1659325231,
"type": "tvoc",
"nodeId": 216104030723792,
"sensorValue": 16
}
}
],
"startedAlerting": true,
"snapshotCameraSerial": "XXXX-XXXX-XXXX",
"snapshotCameraNetworkEid": "XXXXXXXX"
}
}
Get Organization Sensor Readings Latest の取得結果
API発行時点の最新のセンサーの値を取得することができます。
アラートがない場合、20分毎にクラウド上に送信されるため、各センサーの取得時間に注意が必要です。
各センサーは20分よりも短い間隔で測定しているのでそれらのデータが必要な場合は「Get Organization Sensor Readings History」にて取得する必要があります。
※Co2の値も取得できていますが、2022年8月時点では仕様上は記載がありません。
Meraki Developer HubからはWEB上で自身のMeraki環境へのAPIアクセスを試すことができますので、お試しください。
https://developer.cisco.com/meraki/api-latest/#!get-organization-sensor-readings-latest
今回はREST-APIを利用してMeraki側にアクセスし、情報を取得する方法について記載しましたが、MQTTにも対応しており、センサーが所属するGateway側からの情報配信する仕組みも構築できます。
(略)
"readings": [
{
"ts": "2022-08-01T05:10:34Z",
"metric": "battery",
"battery": {
"percentage": 100
}
},
{
"ts": "2022-08-01T05:10:34Z",
"metric": "tvoc",
"tvoc": {
"concentration": 21
}
},
{
"ts": "2022-08-01T05:10:34Z",
"metric": "co2",
"co2": {
"concentration": 581
}
},
{
"ts": "2022-08-01T05:10:04Z",
"metric": "indoorAirQuality",
"indoorAirQuality": {
"score": 97
}
},
{
"ts": "2022-08-01T05:10:04Z",
"metric": "noise",
"noise": {
"ambient": {
"level": 46
}
}
},
{
"ts": "2022-08-01T05:10:04Z",
"metric": "humidity",
"humidity": {
"relativePercentage": 61
}
},
{
"ts": "2022-08-01T05:10:04Z",
"metric": "temperature",
"temperature": {
"fahrenheit": 76.8,
"celsius": 24.89
}
},
{
"ts": "2022-08-01T05:05:54Z",
"metric": "pm25",
"pm25": {
"concentration": 0
}
}
]
}
]
まとめ
屋内エアクオリティセンサー MT14を利用することで、温度、湿度だけではなく、総揮発性有機化合物(TVOC)、PM2.5、周辺ノイズ(音)などより深い分析ができるようになりました。
オフィスに設置した場合、適切な環境の維持は従業員の安全性と作業効率の向上につながります。
データセンターなどに設置した場合は、総揮発性有機化合物(TVOC)や周辺ノイズ(音)などをモニタし健康被害に対応することができます。
Cisco Meraki MT製品シリーズを組み合わせて活用することで、幅広いユースケース開発が可能になります。
ネットワンシステムズはDevNetプログラマビリティを用いて早期のサービス提供と運用効率化、付加価値創造を実現しています。
内容についてご興味のある方がいらっしゃいましたら弊社営業までお問合せください。
参考
-
Meraki Dashboard API
https://developer.cisco.com/meraki/api-latest/#!introduction/meraki-dashboard-api -
MT14 Air Quality Sensor Metrics Explained
https://documentation.meraki.com/MT/MT_General_Articles/MT14_Metrics_Explained -
MT Frequently Asked Questions
https://documentation.meraki.com/MT/MT_General_Articles/MT_Frequently_Asked_Questions -
MT14 クラウド管理型屋内エアクオリティセンサー データシート
https://meraki.cisco.com/ja-jp/product-collateral/mt14-datasheet-japanese
Merakiは米国Cisco Systems, Inc.の商標または登録商標です
その他の会社名・商品名などは、各社の商標および登録商標です。本資料に記載されているシステム名、製品などには、必ずしも商標表示( (R)、TM )を付記していません
※本記事の内容は執筆者個人の見解であり、所属する組織の見解を代表するものではありません。